中世の歴史を伝える首都 スイス・ベルン
ベルン(Bern)はスイスの首都だ。首都と聞くと近代的な建物がたくさんあるように思うけれど、ここベルンの中心地は中世の街並みがそのまま残されている。
ベルンへはチューリヒ空港からもチューリヒからも、電車で1時間とちょっと。電車でベルンの街に入って行くと、赤茶色の街並みと、その中央のひときわ目立つ塔が見えてくる。
旧市街は、蛇行したアーレ川の内側、まるい高台にあって、川にはとても背の高い橋が架かっていた。

駅を降りると、石畳に赤い路面電車(トラム)が走っている。道の両側は建物をアーチ状にくりぬいた歩道になっていて、さすが首都というべきキラキラした素敵なお店が並んでいた。

建物と石畳との間には両開きの地下への扉があって、地下倉庫かと思ったら、普通にその中で営業しているお店もたくさんある。面白い作りだ。
観光名所の一つ、時計塔は駅からすぐのところにある。文字盤に星座と天球があしらわれ、針には月と太陽が乗っている。毎時、時計のからくりが動くときにはそれを見ようと観光客の人だかりができる。

もう一つの観光名所は、遠くからも見えた大聖堂だ。塔に登ることもでき、頂上の展望台からは街を一望できる。

階段でしか登れないので、足が終わることは覚悟していたのだけれど、実際に登ってみると暗闇の中螺旋階段がずっと続き、目がそれはもう回る。
登る途中に隙間から見える景色も足がすくむほど高くて、もう勘弁してくれと思った頃ようやく上に着いた。景色は素晴らしかったけど、人と励まし合いながら登った方がよさそうだ。
あとは旧市街から対岸に渡ったところにある名所、バラ公園に向かって歩いていく。
中心部をすぎると道は川にくだっていくように坂道になっていて、道沿いには車が並び、地元の人の生活感が出てくる。赤茶色の屋根の並んだ町はほかにもあるけれど、小さな煙突のようなものが突き出ているのは、ベルンの特徴なのだろう。

バラ公園はその名の通り綺麗なお花の公園だ。だけど名所になっている理由はそれよりも、ここからベルン旧市街が一望できるという点にある。
街を見下ろす丘の斜面にベンチが並んでいて、景色を堪能しつつ、涼しい風を浴びながら足を休めることもできる。きっとどの時刻にきても、少しずつ町の色が違って綺麗だろうな、と思う。

ところで、バラ公園のベンチには、銅像がひとりぽつんと座っていた。アインシュタインだ。

アインシュタインはドイツ出身だが、スイス連邦工科大学を出ていてスイスにゆかりがある。20代でベルンに住み、ベルン特許庁で働きながらいくつかの重要な論文を提出していたという。
街の南にあるベルン歴史博物館にはアインシュタイン博物館が併設されていて、彼の歩いた人生を追いかけることができる。入口の階段から、まるで宇宙を彷彿とさせるような鏡合わせの空間が広がっていて、興味を引くようなギミックが色々なところにあり、とてもよい展示だった。

―――
帰り道、ラッキーなことに、ベルンの警備隊のパレードに出会った。美しい馬に乗って、衣装に身を包んだ人が、音楽隊の曲に合わせて街を行進していく。パレードの終点の広場では、徒歩の兵士たちが空砲を空に向けて撃つイベントもあって、かっこいい。

中世の街並みに、馬や音楽隊がとても馴染んでいる。これが現代の首都だと言うのだから信じられない。
スイスは交通もデジタルも金融も、とても発展し豊かな国だけれど、歴史や自然など土台になるものを大事にしているのがそこここで伺える。
その上にこそ、これほどの豊かさが成り立っているのかもしれない。

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