気づいてしまった、私が痩せない理由。
痩せたい、痩せたい、と言いながら痩せない理由がやっと分かった。
そこに至るまでの時間は、約45年。この世に産声をあげた時から痩せたいと思っていたかどうかはわからない。大げさすぎるから改めて思春期からだと計算しても、ざっと30年にはなるのではないだろうか。もしかすると、前世から痩せたいと思っていた可能性まで含めると、苦節180年かもしれない。
私はこの度、私が痩せない理由を理解してしまった。
いつ気づいたのか。
それは今日の晩ごはんの時だった。

今日の献立は唐揚げだった。前日から仕込んでおいた唐揚げを、帰宅後順調に揚げていく。油からあげた唐揚げを見つめていると、急に私は不安になった。
「── これ、ちゃんと揚がってる?」
私は自ら不安を解消するために、揚げたての唐揚げをつまんで口に放り込んだ。「あちっ。うまっ」とハフハフしながら、

帰宅後すぐにプルタブを起こしたビールを飲む。次の瞬間、「うんまっ」とキッチンで唸る。私はその勢いのまま、次から次へと唐揚げを揚げていった。そして私はこんがりときつね色に染まっていく唐揚げを皿に乗せながら、首を傾げる。
── こんなに美味しい唐揚げだから、きっともも肉四枚では足りないかもしれない。
私は口元に手を当て、唐揚げをあっという間に平らげる夫と息子二人の様子を思い描いた。唐揚げとわかめスープ、それにサラダと山盛りのご飯だけでは満たされない可能性に、自分の至らなさを感じてしまう。その時、私は稲妻に打たれたような衝撃を覚えた。
── 夫がもらってきた、たけのこがある!!!
私はすぐさまたけのこをカットし、下味をつけた。片栗粉をまぶし、油に潜らせる。パチパチと元気な音がして、私はニンマリと微笑みながらできたてのたけのこの唐揚げをつまんだ。そして、衝撃の事実に気づいてしまった。
── ビールがない!
たけのこの唐揚げをつまみぐいしたいのに、肝心のビールがない。私は音を立てないようにこっそりと冷蔵庫を開け、そしてビールを取り出した。グラスにとっとっとと注ぐと、ぶわわと泡が立つ。鍋の中でこんがりと色づくたけのこの唐揚げを皿にあげると、私は上顎のやけども厭わず、すぐさま頬張った。
ザクっとした食感。ほんのり塩気のついた柔らかい味。噛めば噛むほど、春の旨みが口の中に広がっていく。……最高。
幸せな気持ちに浸りながら、唐揚げを二種類、皿に乗せた。
家族に声をかけ、食卓を囲む。みんなで美味しいねと言いながら、食事を楽しんだ。気がつけばグラスは何度か空になり、その度に私は冷蔵庫から新しいビールを取り出す。
そこで私は気づいた。
私が痩せないのは、とにかく食事とビールが好きすぎるからかもしれない、と。前の晩と言わず、数日前から食べるものを決め、いつでも冷えたビールを飲めるようにビールを買う。食べる前は「今日は食べ過ぎないようにするぞ!」と意気込むのに、一口頬張った瞬間、私の些細な意気込みは唾液に溶かされ胃の中で消化されていく。まるで、そんな意気込みなんて存在しなかったかのように、私は飯を喰らい酒を飲むのだ。
痩せるわけがない。
