六番目の創造:ヴィシュヌの隠し味
第三巻第十話 十の部分の創造
ヴィドゥラは尋ねた。
「主が去った後、創造主ブラフマーはどれほど多くの生物を生み出したのですか? 偉大なる聖仙よ、どうか私の疑問を解いてください。あなたは知識ある者の中でも最も優れた方です!」と』
ー スータ(吟誦者)ウグラシュラヴァスは続けた ー
ヴィドゥラの質問にマイトレーヤは喜び、答え始めた。
「ヴィリンチ(創造者:ブラフマー神)は、主の命に従い、百年の神々の時をナーラーヤナに心を結びつけて苦行しました。彼は座っている蓮が激しい風に揺れるのを見ました。苦行と主へのマントラにより、ブラフマーの知識と創造力は高まり、広がる水と風を飲み干しました。そして、蓮が空高く伸びるのを見て、彼はこれを用いて消滅した世界を再生しようと考えました。蓮の花へ入り、それを三界の、地界(ブー)、中界(ブヴァ)、天界(スヴァ)に分けたのです。ジーヴァ(生類)が行為の結果(カルマパラ)を経験するのは、この三界の中であると聖典に説かれています。ブラフマー神の住むサティヤローカ、その下の三つの世界、マハーローカ、ジャナローカ、タポーローカは、私心なき行為の報奨として与えられる世界です」
ヴィドゥラは尋ねました。
「ああ、我が主よ、驚異の技をなすカーラ(時)の力について、詳しくお聞かせください」
マイトレーヤは答えました。
「カーラは本来、区分も始まりも終わりもなく(時間は連続する無始無終の原理)、物質世界の変化として現れます。主はこれを道具とし、遊戯として宇宙の姿を顕されるのです。
先の宇宙崩壊(プララヤ)の間、宇宙はヴィシュヌのマーヤーの中に溶解し、それはブラフマン(サット:純粋な存在)そのものとして存在していました(ヴィシュヌの内に回帰した状態)。そして区分されないカーラを媒体として、明確な実態をもつものとして姿を顕したのです。
今こうして宇宙があるように、それは過去にも存在し、未来にも存続し続けるでしょう。この宇宙の創造は九つの部分から構成されており、十番目としてプラクリティ(根源的なエネルギー,潜在するエネルギー)とヴィクリティ(プラクリティが変化し物質的な形へ展開する)の両者から発生したものがあげられます。
宇宙の吸収(崩壊)は、カーラ(時)、五大元素(パンチャ•マハー•ブータ)、グナ(サットヴァ•ラジャス•タマス)の三要素を通じて行われます。
一方、宇宙の創造は九段階に分かれ、最初にマハット・タットヴァ(純粋知性)が生じます。これは、主の意志によってグナの均衡が崩れたときにのみ現れます。
次に、自我意識(アハン•カーラ)が形成され、サットヴァ・ラジャス・タマスの三層に分かれます。
第三に五種の微細要素(タンマートラ)が発生し、これが後に五大元素を生み出します。
第四はインドリヤ(知覚器官•行為器官)が形成され、第五はサーットヴィカ(サットヴァ)の自我意識から生じた、インドリヤを支配する神々と心が生まれます。
第六にタマス(無知•アヴィデイヤーを生じさせる条件)が発生し、これはジーヴァの理性を曇らせ、心を迷わせる要因となります。
以上の六種の創造は、プラクリティ(原因の原因•ヴィシュヌの創造)から発生するものです。次にヴィクリティ(ブラフマーの創造)から生じる創造について説明しましょう。
ブラフマー神による創造も主の遊戯ですが、主はラジャスの性質を帯び、ブラフマー神として創造を行います。第七の創造は、木や植物など三種の動かぬ生き物(スターヴァラ)です。果実を結ばないが、花を咲かせる樹木(ヴァナスパティ)。一度実をつけた後に枯れる穀物などの草本植物(オーシャディ)。果樹など繰り返し実を結ぶ樹木、硬い樹皮を持つ植物、土の上を這う植物など(タル)。栄養は下から上へ流れ、識別能力に乏しく、触覚などの内的感覚のみを持ち、それぞれ特異な性質を備えています。
第八の創造は動物であり、栄養は水平方向に流れます。動物は二十八種に分類され、時間の概念を持たず、触覚が発達し、本能のみで生き、長期的な思考はできません。分類には 偶蹄類(牛,山羊など)、単蹄類(馬,ロバなど)。そして五本の爪を持つ動物(犬,猿,象,亀,鰐など)。さらに鳥類(鷺,孔雀,白鳥など)など空を飛ぶ鳥たち。
第九の創造は人間(マーヌシャ)であり、ただ一種のみ。栄養は上から下へ流れます。人類はラジャスの性質を多く持ち、活動的で感官の楽しみを求め、それが悲みの原因となっています。
植物、動物と鳥、人間の三つの創造と、これから語られる神々の創造はすべてブラフマー神から生じました。インドリヤを支配する神々は、既に述べたサーットヴィカの自我意識から生まれます。聖仙サナカたちはブラフマーの心から生まれましたが、ルドラやプラジャーパティたちより先に誕生したため、主とブラフマー神の両者から生まれたとされています。
天界の住人の創造は八種に分類されます。神々、ピトリ(祖霊)、アスラ(悪魔)、ガンダルヴァ(天界の音楽家)とアプサラス(天界の踊り子)、ヤクシャ(夜叉)とラークシャサ(羅刹)、シッダ(完全者)とチャーラナ(天界の吟遊詩人)とヴィディヤーダラ(賢者)、ブータ(亡霊)とプレータ(さまよう霊)とピシャーチャ(悪霊)、キンナラ(半人半馬)とキンプルシャ(半人半獣)とアシュワムカ(馬の顔を持つ者)です。ヴィドゥラよ、このように、主がブラフマー神の姿となり行う十種の創造について話しました。
次にマヌ(人間の始祖)が支配する王朝と、それらの時代について語りましょう。
各カルパの始め、シュリー・ハリはラジャスと結びつき、創造神ブラフマーとして顕現し、ご自身をご自身によってこの宇宙の姿に投影されるのです」
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ヴィシュヌが六番目の創造でアヴィディヤー(無知)を創り出し、それをジーヴァ(個の魂)の中に置いてしまう… これによってジーヴァは物質世界を展開させ、さまざまな経験をすることになりますが、なんともドラマチックなストーリーですね。まるで「ライオンキング」のように、我が子を千尋の谷に突き落とすかのような大胆な試練です。いやいや、当のジーヴァにしたらまさに「ちゃぶ台返し」ものですよ。
さて、一体無知はどこに置かれるのでしょう?ジーヴァのどの部分に収納されてしまうのでしょうか?
ジーヴァには大切なツール、アンタッカラナ(内的器官)が備わっています。そこには、マナス(心)、ブッディ(理知)、アハンカーラ(自我意識)、チッタ(記憶)という四つの要素があり、それぞれがどのように働いているのかが重要ですが、特に無知はブッディに関連して語られています。
