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組織の壁、理不尽な左遷、100年前にすべて突破した北里柴三郎の「マネジメント論」



新紙幣の顔となり、誰もがその名前を知る近代日本医学の父・北里柴三郎。

https://s-kitazato.jp/about/より


彼は、世界で初めて破傷風菌の純粋培養に成功し、抗毒素(血清療法)を発見してノーベル賞候補にまでなった「世界のキタザト」です。

しかし、彼の生涯を「歴史上の偉人の成功譚」として片付けてしまうのはもったいなさすぎます。なぜなら、彼の本質は「既存の巨大組織(学閥・政府)に潰されかけながらも、圧倒的なビジョンと突破力で自らエコシステムを創り出した、日本近代史上最強のアントレプレナー(起業家)」だからです。

社内政治、不条理な左遷、イノベーションへの抵抗、優秀な人材の引き留め(リテンション)……。現代のビジネスパーソンが直面するあらゆる課題を、北里は100年以上前に「突破」していました。

今回は、彼の泥臭くも熱い足跡から、現代のビジネスに活きるマネジメント論をひも解きます。



1. 「正論」が「政治」に敗れた日:世界的天才、まさかの村八分


北里柴三郎のキャリアのスタートは、絵に描いたような「異端児の挫折」でした。

ドイツへ留学した北里は、近代細菌学の開祖であるロベルト・コッホに師事。そこで世界を驚かせる大業績を連発します。当時、誰も成功していなかった破傷風菌の純粋培養に成功し、さらに「血清療法」という画期的な治療法を開発したのです。名実ともに世界のトップ研究者となった北里ですが、帰国した彼を待っていたのは、レッドカーペットではなく「冷徹な村八分」でした。

原因は、帰国後に彼が放った「正論」にありました。

当時、日本の医学界の頂点だった東京帝国大学(現・東京大学)医学部は、「脚気(かっけ)の原因は細菌である」という説を唱えていました。しかし、ドイツで最先端の科学を学んでいた北里は、データと実験に基づき「いや、それは細菌ではありません。東大の説は間違っています」と、かつての母校・東大教授の説を真っ向から論破してしまったのです。

科学としては北里が100%正しかったのですが、組織の「メンツ」を潰された東大医学部は激怒。帰国した北里に、研究室はおろか、まともな職さえ与えませんでした。

【現代ビジネスへの換言】
どれだけ正しいデータ(正論)を持っていても、組織の力学や「メンツ(政治)」を無視すると、現場から干されてしまう。
大企業や古い業界で、若きイノベーターが直面する「不条理」そのものの構図がここにありました。

これって、昔から変わりないんですね。

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