可変配分型の投資信託の存在意義
「長期投資なら株式でいい」
これは、ある意味では正しいと思います。
10年、20年と使う予定のないお金で、途中の大きな値下がりにも耐えられるのであれば、株式を中心に資産形成することは合理的です。
では、私たちが持っているお金は、すべて10年、20年使わないお金でしょうか。
そうではありません。
ここに、可変配分型の投資信託の存在意義があるのではないかと思っています。

普通預金と株式の間が空いている
資産形成を考えるとき、話が両極端になりがちです。
「使うお金は普通預金」
「使わないお金はNISAなどを使って株式投資」
もちろん、この考え方はシンプルでわかりやすい。
しかし実際のお金には、その中間があります。
明日使うわけではない。
かといって、20年間絶対に使わないとも言えない。
3年後かもしれないし、5年後かもしれない。
あるいは特に使い道は決まっていないけれど、株式100%で運用するほどリスクを取りたくない。
そんなお金です。
このお金の置き場所として、多くの人が選んでいるのが普通預金や定期預金ではないでしょうか。
しかし、物価が上昇する時代では、預金残高が減らなくてもお金の実質的な価値は低下する可能性があります。
100万円が100万円のままでも、100万円で買えるものが減ってしまえば、実質的には資産が減っているのと同じです。
そこで考えたいのが、
「大きく増やすことを目的としない運用」
です。
投資は「増やす」だけではない
投資というと、
「何%増えたか」
「S&P500に勝ったか」
「オルカンより増えたか」
といった話になりがちです。
しかし、すべてのお金で高いリターンを目指す必要はありません。
お金には役割があります。
近いうちに使うお金なら、流動性を優先して普通預金。
長期間使わないお金なら、株式などを使って長期的な成長を目指す。
そして、その中間に、
「大きなリスクは取りたくないけれど、インフレにはできるだけ負けたくないお金」
があってもいいはずです。
私はここに、可変配分型の投資信託の役割があると考えています。
なぜ「可変」なのか
一般的なバランス型投資信託には、株式50%、債券50%など、基本となる資産配分を維持するタイプがあります。
これはこれで非常にわかりやすい仕組みです。
一方、可変配分型は市場環境などに応じて、株式、債券、現金、金などの資産や投資戦略の割合を変えていきます。
相場が良いと判断すればリスク資産を増やす。
リスクが高まったと判断すれば減らす。
もちろん、その判断が常に正しいわけではありません。
むしろ、そこは重要です。
可変配分型だから暴落を回避できるわけでも、元本割れしないわけでもありません。
それでも存在意義があるのは、「常に同じリスクを取り続けること」を前提としていないからです。
株式を持ち続けることそのものを目的にするのではなく、
「どの程度のリスクを取ればよいのか」
から考える。
ここが株式型の投資信託とは大きく違います。
「定期積金」の発想を少し変えてみる
私は、このタイプの商品を一括投資だけで考える必要もないと思っています。
例えば、毎月5万円を定期積金している人がいたとします。
目的は何でしょう。
おそらく、
「株で大きく増やしたい」
ではありません。
「将来のために少しずつお金を貯めておきたい」
という感覚でしょう。
だったら、その一部について、
「貯める」から「価値を守りながら貯める」へ
考え方を変える選択肢があってもいい。
普通預金や定期積金には元本保証という大きなメリットがあります。
一方、投資信託には元本保証はありません。
その代わり、複数の資産へ分散しながら、預金を上回る収益を目指すという選択肢が生まれます。
どちらが正しいという話ではありません。
お金の目的によって置き場所を変える。
それだけです。
「増やすお金」と「守るお金」を分ける
資産運用というと、すべてのお金について同じ利回りを求めてしまいます。
しかし、本来は違うのではないでしょうか。
生活費や緊急予備資金には、ほとんどリターンを求めなくてもいい。
20年以上先のお金なら、ある程度の値動きを受け入れて株式中心で運用してもいい。
その間のお金については、大きく増やすことよりも、
「物価上昇にできるだけ置いていかれないこと」
を目標にしてもいい。
私はこの発想が、これからますます重要になると思っています。
預金か投資か。
元本保証か株式か。
そんな二択ではありません。
普通預金 → 守る運用 → 育てる運用
お金の使う時期や目的に合わせて、この3つを使い分ける。
可変配分型の投資信託は、その真ん中を担うために存在しているのではないでしょうか。
資産運用とは、すべてのお金を最大限増やすことではありません。
必要な時まで、そのお金にどんな仕事をしてもらうのかを決めること。
そう考えると、可変配分型という少し地味な投資信託の存在意義が、見えてくるように思います。
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