「発達障害の困りごと説明書:障害特性を理解し、説明できるようにすべき3つの理由」
笹史です。私はASD(自閉スペクトラム症)およびADHD(注意欠如・多動症)と診断されており、障害者手帳3級を所持しています。現在、障害者雇用の事務職として働いていますが、仕事や日常生活において、障害による困りごとがあります。これらの困りごとは、ASDによるもの、ADHDによるもの、両方に起因するものに分類できます。ここでは、それぞれの困りごとがどのような場面で生じるかを説明し、その後に困りごとを説明できることの重要性もお伝えします。
私の困りごと説明書
ここからは、ASD、ADHD、ASDとADHD両方による困りごとと、具体的にどのように困るのかを私の例を挙げて説明します。
①ASDの特性で困ること
A:曖昧な指示が理解できない
仕事や家庭で、「ここ」「これくらい」といった抽象的な言葉で指示されると、何をどうすればいいのかわからず、混乱することがよくあります。無駄に動いた結果、結局もう一度説明してもらうことが多いです。
B:大人数での会話が苦手
大人数での会話では、リズムゲームのようなテンポの速いやりとりが求められますが、テンポよく話すことが苦手で、会話についていけません。
C:急な予定が苦手
知り合いからプライベートで遊びや食事に誘われたとき、事前に予定がわかっていないと対応できず、つい断ってしまいます。
例えば、独身の私を見かねた同僚から「相席屋」に誘われたことがありました。しかし、当日急に誘われた上に「相席屋」は大人数同士の会話が必要だとネットでに知っていたため、ASDの特性から難しいと感じ、断りました。
②ADHDの特性で困ること
次に、ADHDの特性によって困ることを説明します。
A:作業を中断してしまう
私の仕事では、電話対応や運送会社の訪問などで作業を中断せざるを得ない場面が毎日何度もあります。自分が名指しで呼ばれる場合は仕方ありませんが、誰でも対応できる場合でも、作業中にもかかわらずつい反応してしまい、作業が中途半端なまま対応してしまうことが多いです。他の人に任せるか、作業の区切りがつくまで待つべきなのですが、それが難しいです。
B:作業に集中できない
この文章を書いているときもそうですが、文章を書きながらスマホで別のことをしてしまいます。また、職場では一つの作業を中途半端にしたまま別の作業を始めてしまい、同僚や上司から注意されることがあります。
C:物をなくしたり忘れたりする
学生時代、忘れ物のせいで通知表の「関心・意欲・態度」の評価がAではなくBに下げられたことが何度もありました。また、運転免許証を紛失し免許センターで再発行した経験もあります。
③ASDとADHD両方の特性で困ること
マルチタスクが苦手
マルチタスクが得意な人の方が少ないかもしれませんが、事務職として働く私にとって、これは特に大きな困りごとです。仕事では、電話を聞きながらPCを操作したり、メモを取ったりすることが難しく感じます。
特に苦手なのは「車の運転」です。運転は、歩行者やバイク、標識を確認し、周囲の車のペースに合わせ、適切なタイミングでハンドルやアクセル、ブレーキを操作する、まさに「マルチタスクの王様」です。ASDとADHDの特性に加え、複数の情報処理が苦手なため、運転は本当に難しく、親や上司についてもらって練習しても一人で運転できなかった上、車庫の壁に車をぶつけて修理に出したことが何度かあります。そのトラウマもあり、現在はペーパードライバーです。
困りごとの説明が重要な理由 3つ
ここまで私の発達障害の特性による困りごとを説明しましたが、発達障害者にとって「自分の困りごとを説明」できることは、以下の3つの理由から重要です。
①発達障害の診断に必要
発達障害の診断は、精神科や発達障害専門外来などの専門医を受診し、①問診、②診断ツールを基に医師が総合的に判断します。その際、自身の困りごとを具体例を挙げて説明できることは、問診で医師に正確な情報を提供する上で非常に重要です。私も発達障害を疑って心療内科を受診した際、幼少期からの困りごとを具体的に医師に伝えました。
②障害者雇用において重要
発達障害の診断を受け、障害者手帳を取得した場合、障害者雇用を希望する人も多いでしょう。障害者雇用では、障害特性に応じた配慮を受けられますが、身体障害と異なり、発達障害は人によって特性や必要な配慮が大きく異なります。
面接では、自己PRや志望動機に加えて、
◎どのような特性があり、それによってどのように困っているのか
◎どのような配慮があれば困りごとが克服・軽減されるのか
という「自己の障害に関する理解」が重要な質問となります。学歴や職歴よりも優先度が高いため、文章で整理するのが難しい場合は、支援者や医師に相談するのもおすすめです。私も今後、「自己の障害に関する理解」に特化した面接対策記事を書く予定です。
③困りごとに対するライフハックのため
障害特性による困りごとは仕事に限りません。診断が必要なレベルで困りごとがある場合、プライベート(家族、恋愛、趣味)でも影響が出ることが多いです。
また、障害者雇用で配慮を受けられるといっても、他の社員には障害への理解が不足している場合もあります。障害に理解がある人でも、自身の業務の都合上、常に配慮してくれるとは限りません。
そして、発達障害には現時点で根本的な治療法がありません。ADHDには薬がありますが、症状を軽減する対処療法にすぎず、根本的な治療にはなりません。また、副作用もあり、すべての人に適しているわけではありません(そのため私は服用していません)。ASDについては、二次症状(例:抑うつや睡眠障害)を除き、薬は存在しません。
そのため、今も、そしておそらくこれからも、発達障害者は特性と向き合いながら生活するしかありません。このとき、障害の特性とそれによる困りごとを理解していれば、対策を立てやすくなります。
例えば、私は社員証を紛失したことがありました。「物をなくしたり忘れたりする」という特性を認識していたため、単に「気をつける」ではなく、「ケースを購入し、社員証と通勤用定期を1つのケースに入れる」という具体的な対策を取り、改善できました。特性を認識せず、単に「忘れ物が多い」と考えていたときは、「次は気をつけよう」としか思わず、なかなか改善しませんでした。
まとめ
この記事では、①私の障害特性による困りごとの説明、②障害特性とそれによる困りごとの説明がなぜ重要か、の2つについてお伝えしました。発達障害は、見た目でわかりやすい身体障害とは異なり、障害が気づかれにくいため、障害者雇用などで不利になりがちです。そのようなハンデを軽減するためにも、障害特性とそれによる困りごとを説明できることは非常に重要です。このスキルがなければ、今の私はここまでたどり着けなかったと思います。
この記事が、「発達障害かもしれない」と悩んでいる方や、診断を受けたものの障害特性や困りごとをどう説明すればいいか迷っている方に届けば幸いです。
笹史の自己紹介記事です。本記事で私に興味を持ちましたらこちらの記事もどうぞ!
