19.シラカバ林のコバノミツバツツジ
本州でゴールデンウィークにコバノミツバツツジを見に行ける場所は、信州木曽谷の標高1000m、大桑村村営のぞきど森林公園ぐらいです。標高が低い地域ではコバノミツバツツジは既に散っています。標高が1000mを超えると、樹皮が美しいシラカバが現れます。

2021年4月24日、始めてのぞきど森林公園を訪れました。気さくな管理人のFさんは、滋賀県湖南市の著者の自宅のすぐ近くで働いていた経験もあり、大歓迎されました。「コバノミツバツツジは、まだ早く、ゴールデンウィークが満開です。そのあと、ヤマツツジも同じぐらいの多さで咲きます。シラカバとコバノミツバツツジが一緒に見られるのは、ここぐらいではないか」と教えてくれました。

公園面積は、66.5haで、オートキャンプ場、バンガロー、ケビン、フィールドアスレチック、つり池、ブルーベリー園などがあります。入口近くにある総合案内所、ログハウス、釣り池、駐車場に面した10haほどの丘の斜面に、コバノミツバツツジとヤマツツジが密生し、クマザサが茂っています。

元自衛隊の職員が、気合を入れて雑木を伐採して、コバノミツバツツジとヤマツツジを整備を徹底しているとのことでした。

釣り池の後ろの丘の上に、シラカバが並んでいます。また、釣り池の水面に映りこむ倒景写真が撮れます。

2度目に訪れたのは、満開を見計らって、2023年4月29日です。最寄りの野尻宿からの取り付け道路が工事で閉鎖されていたので、木曽川沿いの国道19号に戻り、三留野宿から中山道木曽路の迂回路の、与川道に入りました。野尻宿と三留野宿の間の中山道は、木曽川が増水すると通行できなくなったので、遠回りにはなりますが、左岸側の山を越える与川道があったのです。与川道の峠越え、根の上峠沿いにも、コバノミツバツツジが咲いています。旅人を迎えてきたツツジです。

与川道は、舗装道になっている区間と、昔ながらの街道の区間とがあります。街道沿いでは、草が刈られ、お堂や、石仏、石神が残されています。木曽路を歩く旅人は、ここから西でコバノミツバツツジを見て、東でホンミツバツツジやトウゴクミツバツツジを見て歩いたのかと思うと、想像がふくらみます。もっとも、ミツバツツジ類はいずれも違いはわかりにくく、いずれも「岩つつじ」と呼んでいましたが。

のぞきど森林公園は閉園でゲートが閉まっていたので、1.5km歩いてコバ園内に入り、満開の写真を撮りました。鈴鹿山脈以東の山地に分布するトウゴクミツバツツジが、シラカバ林の中に咲いている場所はいいくつかありますが、コバノミツバツツジとシラカバが共演するのはここだけでしょう。

ちなみに、九州のツクシコバノミツバツツジという亜種は、標高1000m以上でも分布していますが、本州・四国ではコバノミツバツツジは1000m程度がほぼ限界です。

トサノミツバツツジが咲いていた四国の石堂山で、分布していないはずのシラカバに出会ったときは驚きました。もちろん、そのシラカバは、人が植えたと記されていました。著者にとって、4月までのコバノミツバツツジ中心の旅は、5月から各種ミツバツツジ類の山旅に移ります。

