見出し画像

1.コバノミツバツツジに魅せられて

 全国500か所を歩き、数万枚の野生ツツジを写真におさめた著者が、全国のツツジの名所、「万葉集」から語られる日本のツツジの原点であるコバノミツバツツジの魅力、とてもえる写真の撮り方などを、お伝えします。

 来年の3月末の開花に向けて、まだまだ季節が早いですが、野生ツツジ、とりわけコバノミツバツツジの魅力について、ネタがたくさんあるので、数十回の予定で精力的に連載します。
 我が家の庭には、タイトル写真のように、1~3mの高さのコバノミツバツツジが、100株ほどあります。庭といっても、斜度が20度を超える150坪ほどの裏山です。元々自生していたので、我が家を30年前に入手して、周りの雑木を伐れば、数年でコバノミツバツツジが成長して花付きが良くなってきました。3月下旬から咲き始め、早い株が4月1日ごろ、遅い株が4月20日ごろに満開となって、3週間にわたって庭を彩ります。

 ツツジは誰でも知っている花木です。だからツツジと聞くと、公園、社寺の庭、道路沿いに刈り込まれて、4月の後半から咲く情景を思い浮かべるでしょう。これらのツツジは、江戸時代以降に品種改良された常緑の園芸ツツジで、生垣にも利用されます。これに対して、我が家のコバノミツバツツジは、落葉で、園芸ツツジよりも早く咲くのです。

 コバノミツバツツジは、写真に撮ると、とてもえます。群生する満開の花、葉っぱがない根元から見上げた花、水滴の花や逆光の花脈 かみゃくのアップまで、多彩な撮り方ができます。葉脈はご存じでしょうが、聞きなれない花脈という言葉もあるのです。

 4ha見渡す限り、コバノミツバツツジの丘があります。

愛知県豊田市の古瀬間御嶽 2022年4月9日

 落葉で、葉っぱが出る前に咲くので、下から撮ると花が降ってきます。

滋賀県湖南市の自宅 2022年4月8日

 雨の日は、しべや花びらに付く水滴がきらめきます。

兵庫県加古川市の日岡山公園 2024年4月4日

 陽にかざすと、花脈 かみゃくが綺麗に見えます。

広島県北広島町の高崎城址 2024年4月15日

 根拠は後日の連載でお伝えするとして、コバノミツバツツジの特徴を、簡単に記します。

1.日本の文献で最初にツツジが記されたのは『万葉集』です。この「つつじ」と「岩つつじ」はコバノミツバツツジのことです。だから、コバノミツバツツジが、日本のツツジの原点です。

2.花と言えば、中国から来た梅でなくなり、平安時代からは桜を指すと、学校で習いました。ただし桜は、上流階級の人々が植えて愛でた花です。東海地方より西の農民にとって、春山行き、野遊びとして、1960年代までは柴としても利用され、圧倒的に多く咲いているコバノミツバツツジの花見が一般的でした。東日本・北日本では、春には他のツツジや花を、愛でる花見をしていました。

3.1970年ごろに、自治体の木・花を定める活動が盛り上がりましたが、この中で最も多く選ばれたのがツツジです。だから、最も身近で国民に親しまれている花木は、ツツジと言えます。

4.人が里山から木を伐り出し、柴刈りをしていた1960年代までは、コバノミツバツツジは西日本の山々を紅く染めていました。今日は少なくなったとは言え、まだまだコバノミツバツツジの名所は残っています。とりわけ、社寺、個人や環境団体、公園管理者などに熱中人のツツジ守が多くいます。

 連載では、コバノミツバツツジを中心に、万葉集以降の和歌・物語・庭園や、各地の民俗などの文化史から、種から育てる播種・育苗の園芸、各種のツツジの分類や全国各地の野生ツツジの名所なの内容を、わかりやすくお伝えします。少しでも多くの方が、野生ツツジの名所を訪れ、少しでもツツジ守となって、地域に豊かな風景を生み出していただければと思います。
 書き連ねた記事をもとに、全国の野生ツツジの名所のマップガイドブックや、写真満載のツツジの本を出版したいと考えています。そこで、SNSで記事を拡散していただいたり、出版社の方に繋いでもらえるとありがたいです。ツツジ仲間が、各地の野生ツツジの名所を盛り上げて交流を図るためにアドバイスしてくれた、クラウドファンディングも検討中です。感想、意見、質問などを、お待ちしています。


いいなと思ったら応援しよう!