病院は高くて連れて行けなかった。ごめんね。──母の切ない気持ち
私は「見えない貧困」をテーマに発信しています。このテーマを発信しようと決めたのは、自分の幼少期からの貧困の経験があったからです。育児を通して、どんな家庭の子どもであっても、「泣かせたくない。つらい思いをしてほしくない」と強く思うようになりました。
私にできることは、ほんのわずかです。実体験エッセイを通して、少しでも多くの人に「見えない貧困」があることを知ってもらえたら嬉しいです。今回は、「病院に行けない」というエピソードをお話ししたいと思います。
他の記事でも少し触れましたが、我が家は国民健康保険の支払いを滞納していた時期があり、その間は病院に行けませんでした。
「病院は高いからごめんね」と言った母の言葉を、今でも覚えています。
夏休みに入ってすぐ、原因はわかりませんが、私は全身に蕁麻疹が出ました。
真っ赤に腫れ上がり、ぼこぼこと繋がるように広がっていき、痒みは耐えがたいほど。
温めると痒さが倍増するので、お風呂はつらく、代わりに水風呂に入ったり保冷剤で冷やしたりして、なんとかしのぎました。
夏休みの間、1ヶ月以上ずっと痒みと痛みとの闘いでした。
痒い、痒いと叫ぶ私に、母が必死に保冷剤をあててくれていた姿が忘れられません。
また、兄も私もインフルエンザにかかったことがあります。
私は比較的すぐ熱が下がるタイプですが、兄は気管支喘息の持病があり、体が弱いので重症化してしまいます。
病院に通っても高熱が5日間続くこともあります。
子ども2人がインフルエンザにかかったときに、
「これ以上、子どもを病院に連れていけないのはまずい」と思った母は、借金をして国民健康保険料を支払いました。
保険料を払う前に医療機関から届いた請求は、たしか3万円ほどだったと記憶しています。
母子家庭になってからは、医療費が無償となり、病院にかかれるようになりました。
今は子どもの医療費が無償となっている地域が多く、このような経験は減ってきているのかもしれません。
それでも、制度があっても相談に行けない人は少なくないでしょう。
見えない貧困は、家庭の状況を打ち明けなければ支援に繋がりません。
そこには、プライドや恥をさらす覚悟も必要です。さらに、相談先で向けられる冷ややかな視線が、その一歩を阻むこともあります。
子どもを守るためには、親が安心して助けを求められる、やさしい社会環境を整えていくことが何より大切だと思います。
