爆発音のする追い焚きのお風呂
私は「見えない貧困」をテーマに発信しています。このテーマを発信しようと決めたのは、自分の幼少期からの貧困の経験があったからです。育児を通して、どんな家庭の子どもであっても、「泣かせたくない。つらい思いをしてほしくない」と強く思うようになりました。
私にできることは、ほんのわずかです。実体験エッセイを通して、少しでも多くの人に「見えない貧困」があることを知ってもらえたら嬉しいです。今回は、「爆発音のする追い焚きのお風呂」というエピソードをお話ししたいと思います。
借家のお風呂はとても狭く、大人が体操座りでようやく肩まで浸かれるくらい。追い焚きの部分に足が当たると熱くて火傷しそうなので、注意しながら入っていました。
たまに油断すると「熱っ」ってなりました。
壁のペンキは剥がれてボロボロ。でも一度祖父が水色に塗ったおかげで、見た目だけは多少ましに見えました。(ただ、目が悪かった私には細かいところまで見えていなかったのかもしれません。)
排水口は後付けのように不自然で、そこからナメクジや黄金虫、蟻が出てくることも。
成長するにつれ、お風呂は“恐怖の場所”になっていきました。
借家のお風呂では、入浴の手順も決まっていました。
蛇口を全開にしてタイマーを6分にセット。これでちょうど湯船に水がたまります。
次に追い焚きのレバーを横に倒して、タイマーを5分にセット。タイマーが鳴ったらお湯をかき混ぜる――これが我が家のお風呂のルーティンでした。
この記事を書きながら、当時の情景が鮮やかに思い浮かびます。
こんなお風呂でも夏は水風呂にして、昼間っから遊んだのも、なんだかんだ良い思い出です。(苦い?辛い?思い出なのかな。だけどそこまで悲観的にはなっていないから良い思い出であっているのか?)
祖父母宅のお風呂も借家で、条件は似たり寄ったりでした。でも、まだ祖父母宅のお風呂の方がましでした。
ある日、いつものように追い焚きのレバーを横に倒した瞬間、
「ボンッ!」と大きな爆発音が。実際に爆発したわけではありませんが、お湯は温まらず、ただ音だけが響くようになりました。ガス屋さんに来てもらっても直らず、結局その日から祖父母宅でお世話になることに。
祖父母宅では、外のガス栓を開けて種火を「ボッ」とつける作業が必要でした。最初はとても怖かったです。母は過去にこの作業で大火傷を負ったことがあったそう。祖父が寝る前にガス栓を閉め忘れ、翌朝、母が気づかずに種火をつけて爆発。肩まで火傷したそうです。幸い傷跡は残らなかったものの、その話を聞いていた私は恐怖心を抱えたまま作業していました。
もちろんシャワーはなく、かけ湯で洗います。そんな日常の中で、胸に突き刺さった言葉があります。
「お兄ちゃんが入った後のお風呂に入って、そのお湯で洗うの?汚くない?」
そんな言葉を投げかけられて、お風呂の話は誰にもしない方がいいなと思った瞬間でした。
子ども同士の言葉は残酷です。相手を傷つけようとしたわけではなくても、思春期の女の子にとって「汚い」という言葉は鋭く突き刺さります。
けれど、考えてみてほしいんです。もし自分の子どもが「お父さん汚い」と言ったら、どう伝えますか? あるいは何かを見て「汚い」と言ったら、どう教えますか?
そういう瞬間が「言ってはいけない言葉がある」「人を傷つけることがある」と教えるきっかけになるのかなって思います。
