「緊縮財務省」に立ち向かう高市政権|実は同じ方向を見ていた○○政権
高市首相は「積極財政」を鮮明に打ち出し、財政規律を重んじる姿勢の財務省に立ち向かう姿勢を見せています。
これは、一見これまでの政権の動きとは違うように見えますが、実は同じような動きをしていた政権があります。
しかも、それは安倍政権ではありません。
実はこれ、岸田政権のことです。
「積極財政」のようにわかりやすく財政規律派の財務省と対峙してはいませんでしたが、実は実行していた政策はこれまでの財政規律重視を崩そうとするものでした。
今回の投稿はこの話を紹介します。
◆ 基金で複数年の大型投資
岸田政権下での目玉政策の一つが基金の積極活用でした。
この意味するところは「単年度主義からの脱却」と言われ、予見可能性を向上するという名目です。
実はこれ、規律を重んじる財務省の立場からは非常に厄介なものと言えます。
なぜかと言うと、一度決めてしまったら財務省の統制が効かなくなるから。
予算は単年度主義と言われ、財務省はその年の歳入と歳出のバランスを取ることに精魂を注いでいると言っても過言ではありません。
その中には国債発行も含まれますが、国債発行額の大きさは政治的にもマーケットにも大きな影響があるので、当然ながら安易な増額はできません。
そんな中、基金にすれば先々の約束をしてしまうので、見通しがつかつかなくなります。
なので、「基金は単年度主義の例外」と扱い、単年度主義に合わないものに限定したいという思惑がありました。
しかし、岸田政権では基金を積極的に活用することを打ち出します。
財務省としてはかなり抵抗があったのではないでしょうか。
今は基金の内容や執行状況に疑問が呈されている状況ではありますが、当時、財政規律を重んじたい財務省に対し、基金の積極活用を打ち出したことには重要な意味があるのではないかと思います。
◆ 財政規律色を薄めた「新しい資本主義」
岸田政権と言えば「新しい資本主義」を唱えていたという印象が強いかと思います。
しかし、終わってみても「新しい資本主義」の意味はよくわからなかったという声も多数。
しかし、そこには確かな意味があったようです。
この「新しい資本主義」を実現するために「新しい資本主義実現会議」が設置されました。
しかし、この手の会議は設置と掲げながらも看板の掛け替えというのが常で、この時も安倍政権・菅政権の時に設置されていた「成長戦略会議」を掛け替えたものという位置付けでした。
そして、この会議の成果文書として作り上げる「成長戦略実行計画」、岸田政権下では「新しい資本主義実行計画」の考えを、経済財政諮問会議によってつくられる「骨太の方針」に取り込み、次に向けた方針を決めていきます。
この「骨太の方針」ですが、菅政権までは「2025年度プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化目標」が書かれていたのですが、岸田政権での「骨太の方針」ではこの記述がなくなりました。
これは財政規律色を薄めたということに他なりません。
これまで財務省がこだわって入れてきた「骨太の方針」でのプライマリーバランス黒字化目標。
これが岸田政権でははじかれてしまったと言えます。
◆ 岸田政権は「静かな積極財政」
こうして見ると、岸田政権も十分に「積極財政」と言える姿勢だったということがわかります。
それでも、敢えて「積極財政」とは打ち出そうとしませんでした。
その理由の一つは、行政の長たる首相になることに対し、内部に敵は作りたくなかったのではないかと考えられます。
結果的に岸田政権も短命で終わります。
しかし、もしかしたら実はこの取組は「積極財政」を堂々と掲げる高市政権の地ならしになっていたのかもしれません。
