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日常のギモン|海外旅行客の消費税が免税されるのはなぜ?

先の参議院選挙以来、外国の方々に対する政策が議論の注目を集めています。

その中でも注目を集めている話題の一つが、オーバーツーリング対策です。
元々、食を中心として物価が安い日本。さらに円安効果があり、海外の方にとって安く感じやすくなっています。
それが結果としてオーバーツーリズムを引き起こしています。

しかも、国内の人モノを買えば消費税がかかるのに、海外旅行客の方は一部免税されています。
そうなると海外の方の優遇制度とみられてしまっても仕方ないでしょう。

今回は、なぜ海外旅行客の消費税が免税されるのか、何となく日常で感じながらも理由がわかりにくいギモンについて調べてみました。


どこの国で課税するかという国際的な考え方は必要

旅行客によるモノの購入・消費は国境を跨ぐものです。
国境を越えたモノに対する課税には世界レベルで考え方の統一があった方が良い、ということになります。

それは何故か。
考え方の統一がないと、至るところで二重課税が起こるからです。

海外旅行から帰国する際、税関に取得した物品の額を申告しますよね。そこで20万円を超えるモノに対しては税がかかります。

それでは旅行先でも買い物に対して課税されていたらどうでしょう。
20万円以上の場合にはなりますが、旅行先の国で課税され、日本に帰る時にも課税され、二重課税になります。

このようにありとあらゆるところで二重課税にならないよう、
あくまで原則的な考え方として、
国際機関であるOECDが、付加価値税制度の国際標準として、
消費地で課税されることが原則(destination principle)とされています。

つまり、この考え方に則れば、海外旅行先で何かモノを購入したとしてもそれを日本国内で消費するのであれば、日本国内で課税されるべきということになります。

帰国時に20万円以上のモノに対して課税されるのはまさにこの考え方です。

旅行先で免税されていないけど?

いや待って、海外旅行したけど免税なかったよ、ということも多いでしょう。

ここには二つの考え方があります。

1.あくまで原則なので絶対の話ではない

まず一つ目の考え方は、OECDで定めているのはあくまで「原則」ということです。
つまり、例外として購入地(旅行先)で課税することもダメというわけではありません。

2.付加価値税でない税方式には適用されない

例えばアメリカの場合、こちらは原則に従っていないのではなく、税方式が異なります

アメリカでの税方式は付加価値税ではなく売上税方式です。
先ほどのは付加価値税の考え方なので、売上税に対しては適用されない考え方です。
(ただし売上税方式を取っているのはアメリカが世界で唯一のようです)

売上税の場合は原則として販売された地で課税されるというものになります。

なぜ日本は付加価値税方式?

え、でも日本は消費税でしょ。
付加価値税方式ではないんじゃないの、と思われるかもしれません。

が、消費税というのは単なる名称で、
その考え方はまさに付加価値税方式です。

それでは、付加価値税方式と売上税方式は何が違うのでしょうか?
また、なぜ日本は売上税方式を取らないのでしょうか。

実は日本も消費税導入前に導入しようとした税方式は売上税方式でした。
が、日本では売上税方式が合わずに断念し、その後付加価値税方式を取る消費税が導入されました。

それは日本では特に製造業でサプライチェーンが長いためです。
サプライチェーンが長いと、生産、加工、流通、販売と各段階で税込み価格が混ざりやすく、税が積み上がってしまい小売り段階で価格が相当に高くなりやすいということになります。

一方の付加価値税方式は、付加価値だけに課税され、企業間の取引の段階では税の積み上げにならないよう調整される仕組みになっているので、サプライチェーンが長いからといって税が積み上がることはありません

また、消費税導入の検討時の世界の潮流も付加価値税方式だったため、付加価値税を導入したという経緯があるようです。

外国人優遇ではないが…

よく海外旅行に行かれる方や海外との取引をされる方には周知の事実かと思いますが、このように、海外旅行客の消費税免税は優遇したいということではありません。

ただし、この制度を見直そうという動きに対しては、今の海外旅行客の旺盛な消費に冷や水を浴びせたくないと、小売関係者を中心に反対の声が多いようです。

制度の由来に重きを置くとプロっぽくなりますが、一般感覚とはどんどん乖離していくという難点もあると思っています。

少なくとも日常で免税の列に海外旅行客が殺到していてもこのような制度の由来にまで思いをはせることはあまりないということに対して、どこまで対応していくのかというのはとても難しいということでしょう。


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