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多様性のある社会を目指す本質的な理由

「あなたは本当に普通ですか?」

もしこう問われたらあなたはなんと答えますか?

私は仕事として障害者支援の仕事を行っています。

そして日々、なぜ障害を持っている方々が現在生きにくさを感じていたり、偏見の目にさらされたり、場合によっては差別的にみられてしまうのかを考えてきました。

そして私は数年前に「障害」を個人に帰属すると考える「疾病モデル」と、「障害」を個人の問題としてとらえるのではなく社会の側にあるとする「社会モデル」という考え方があることを知りました。

そしてこの「社会モデル」という考え方が私がこれまで感じていたことを近しい考え方であることが分かりました。

今回は「社会モデル」について考えてみたいと思います。

社会にある障害とは何か?

では社会にはどんな障害があるのでしょうか?

例えばわかりやすいところではバリアフリーの問題があります。(最近では心のバリアフリーという考えがありますが、ここでは物理的な問題として話します)

車いすの方にとっては道路の小さな段差や電車とホームの隙間を乗り越えることは相当難しい作業です。これは設計段階で車いすの方のことを想定せず「人は二本足で歩くことが出来る」という前提で設計していることで起こっている問題です。

もしこの時に、車いすの方や、もしかしたら足の力が弱まった高齢者の方のことまで考えてデザインをしていたら、道路の段差や、電車とホームの隙間を無くして作っていたかもしれません。(こういった発想でデザインを設計することを「ユニバーサルデザイン」と言います)

また他の障害としては、これを読んでいる多くの皆さんは職場で口頭で会話していると思います。

しかし、音の聞こえない方にとっては、その会話している内容を正確に理解することは相当な困難さがあります。

また実は音の聞こえない方だけでなく、人の話している言葉を正確に理解することが苦手な特性を持っている方にとっても、口頭だけでやり取りすることは、実はとても苦痛を感じているのです。

もし、職場が口頭だけのコミュニケーションではなく、文書化したものをベースに議論することを推奨していたり、会議では必ず議事録を作成することにしていたり、指示を出すときには口頭だけでなく簡単なメモを作って渡すことをルール化していたら、音に対して困難さを抱えている人たちにとって問題は小さくなるはずです。

つまり、障害というものは、その人個人に帰属する問題ではなく、その特性を持っている人が暮らしている「物理的な環境」や社会に存在している「普通」や「常識」と言われる「ルール」が障害になっていると考えるのが「社会モデル」の発想になります。

「普通」や「常識」を疑ってみる

もう少し「社会モデル」を考えてみると、問題は私たちが当たり前に暮らしている社会の中にある「普通」や「常識」という考え方に課題があることが分かります。

例えば職場で私たちが無意識に受け入れている「普通」や「常識」には

・日本語で会話できる
・1日8時間は連続で働く
・五体満足である
・性別は男性か女性である
・・・・

こういった私たちが当たり前だとして受け入れているルールがあるはずです。これは日本全体としてのものもあれば、その会社の独自のルールもあります。

そしてこのルールを前提として採用活動は行われるので、このルールに当てはまらない人は、この段階でその会社で働くことが出来ないのです。

つまり、障害を社会モデルとしてとらえて変えていこうと思うと、私たちが普段当たり前だと思っている「普通」や「常識」をいったん疑ってみなければいけないのです。

「え、でもそれって自分たちで気づくの難しいよね」
「それを変えるのってすごい大変じゃない?」

そう思われる方も多いと思います。

ただ、実は私たちは既に「日本人の普通、常識」を疑う経験を何度もしています。

それは海外に行ったり、海外から日本を評価されたときに、私たちはその文化や言葉、その国での普通、常識と比較して、私たちのほうが特殊であることに気づかされることがよくあるはずです。

つまり、私たちはその中にいると、自分は「普通」と思っているだけで、実際には自分たちが「普通」ではない「特殊」な状態である可能性が十分にあるのです。

社会は多様性でできている

突き詰めて考えると、この世の中は初めから「多様な状態」で出来上がっています。

現在日本でダイバーシティやインクルージョンという言葉が使われるようになり、「多様性を受け入れる」という言い方をすることがあります。

しかし私はこの言い方は正しくないと思います。

「多様性を受け入れる」だと、前提として自分たちの「普通」「常識」の中に、今までは入れなかった人たちを入れてあげる、というニュアンスが含まれます。

そうではなく、そもそも世の中は「多様な状態」なので「多様性を受け入れる」のではなく「多様になる」「多様な状態にする」という発想が大事だと思います。

もちろん、今までやってきた方法や、上手くいっていることをゼロベースで全て作り変えるというのは現実的に難しいでしょう。

ただ、少しずつでもいいので、自分たちが今までやってきた方法の前提を疑ってみることが大事なのだと思います。

もしかしたら口頭だけで行っていたコミュニケーションを「言葉の見える化」をしようと変えてみるだけで、大きな変化があるかもしれません。

私が知っている会社でも「言葉の見える化」をしたら、これまでは人の頭の中にしかなかった知識や経験を文書として残すことが出来るようになり、全員でナレッジの共有が出来るようになった、という企業もありました。

つまり「多様な状態」を目指す一番の目的は

「これまでの常識を疑い、それを改善することで、新しい発想、イノベーションの種に気付くことで、社会の進化を促進する」

ことなのではないかと思います。

ぜひ皆さんも、自分が普段当たり前と思っていることに疑問を持ち、さらに多様な状態で使いやすくすることはできないだろうか?と考えてみると、面白い変化に気付けるのではないかと思います!!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。もし今回の記事が参考になったと思っていただけましたら「スキ」「フォロー」いただけるととても励みになります!!

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