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2025年チェルシーフラワーショーは5月24日から。今年注目のガーデン5つは・・・・・



2025年5月20日から24日まで、ロイヤル・ホスピタル・チェルシーの広大な敷地で、英国を代表するガーデニングイベント「チェルシーフラワーショー」が開催されます。園芸愛好家にとって見逃せない一大イベントですが、今年は新たなテーマにも注目です。

1.ペット愛を打ち出したガーデン


RHSチェルシー・フラワーショー2025では、ガーデニング界の重鎮で長年にわたりBBCのガーデニング番組『Gardeners' World』の司会を務めてこられたモンティ・ドン氏が初めてドッグガーデンを手掛け、犬好きの方に向けた特別な空間を演出します。この庭園は、RHS(英国王立園芸協会)とBBCラジオ2の共同プロジェクトとして企画され、犬とその飼い主が共に楽しめるデザインが施されるそう。


Monty Don has designed the RHS and BBC Radio 2 Dog Garden

このドッグガーデンは、犬が安全かつ自由に遊べるスペースと、飼い主がリラックスできるエリアを融合させたデザインで、犬の足に優しい芝生や、日陰を作り出してくれる植栽、そして犬が水遊びを楽しめる小さな池などが配置される予定です。また、飼い主向けには快適なベンチや、庭全体を見渡せるパーゴラが設置され、愛犬と共にくつろげる空間に。

このプロジェクトは、犬と飼い主の関係を深めるだけでなく、庭作りにおいてペットフレンドリーな要素を取り入れる重要性を広めることを目的としています。モンティ・ドン氏は、「庭は人間だけでなく、動物たちにとっても癒しの場であるべきで、庭園を通じて、犬と共に過ごす庭作りの楽しさを伝えたい」と語っています。

詳細については、以下の動画をご覧ください。


2.最新テクノロジーを取り入れたガーデンデザイン

Tom Massey & Je Ahn  ‘The Avanade ‘Intelligent’ Garden’

The Avanade “Intelligent” Gardenは、デザイナーのトム・マッセイとジェイ・アンが手掛け、AI技術を活用して土壌の水分、pH、温度、空気質などをリアルタイムでモニタリングし、環境に優しい管理方法を提案するガーデンです。このプロジェクトは、アバナードとマイクロソフトのコラボレーションによるもので、今の時代の最先端を垣間見ることができることでしょう。この庭園の主な特徴は、AIと自然が共存し、持続可能で強靭なソリューションを提供する点。センサーが土壌や空気の状態を継続的に監視し、収集したデータをAIが分析することで、最適な灌漑や施肥のタイミング、適切な植物の選定など、環境負荷を最小限に抑えた管理方法を提案してくれるのです。例えば、土壌の水分量をリアルタイムで把握し、必要なときにだけ適量の水を供給することで、水資源の節約と植物の健全な生育を両立させます。また、pHや温度、空気質のデータを基に、植物に最適な環境を維持し、病害虫の発生を未然に防ぐことも可能に。

さらに、AIが蓄積したデータを分析することで、長期的な気候変動や環境の変化にも柔軟に対応できる庭園設計が可能となります。これにより、都市部の限られたスペースでも持続可能で美しい緑地が実現し、住民の生活品質向上や生物多様性の保全に寄与します。

デザイナーのトム・マッセイとジェイ・アンは、持続可能なデザインと最新技術の融合に情熱を注いでおり、自然環境とテクノロジーの調和を追求した作品が多く、今回の「インテリジェント」ガーデンもその一環として位置づけられています。

このプロジェクトは、最新のクラウドサービスやAIソリューションを活用してい流ため、庭園のデータは安全かつ効率的に管理され、庭の管理者はそれにリモートでアクセスし、リアルタイムの情報を基に何をするかを決めることができます。

「インテリジェント」ガーデンは、AIと自然の融合がもたらす新たな可能性を示すとともに、持続可能な未来の庭園デザインのモデルケースとなるでしょう。このプロジェクトを通じて、環境に配慮した庭園管理の重要性と、最新技術の活用による効果的なソリューションが広く認識されることが期待されます。

Killick & Co Futureproof Garden

3.気候変動に適応する未来の庭

2025年のチェルシーの見どころの一つが「Killick & Co Futureproof Garden」。環境の変化に適応し、持続可能な未来を見据えた「ファミリーガーデン」で、気候変動による予測不能な天候パターンに対応できるような工夫が参考になるガーデンです。

英国南部の気候は温暖化の影響により、今後数十年で南フランスや北スペインに近い環境へと変化すると予測されています。この庭では、その未来の気候に適応するため、極端な干ばつや洪水、気温上昇にも耐えうる「未来の樹木」を取り入れています。例えば、Zelkova serrata(ケヤキ)やPinus mugo ‘Mughus’(ムゴマツ)は、厳しい気象条件にも適応できる強靭な木々で、乾燥や高温に強い植物としてPersicaria virginiana ‘Filiformis’(ヒメツルソバ)、Artemisia ludoviciana ‘Valerie Finnis’(シロヨモギ‘ヴァレリー・フィニス’)、Salvia sclarea(クラリセージ)などが選ばれています。これらの植物は、水の使用量を抑えながらも、美しい景観を維持できる持続可能な庭作りに適しています。

この庭の最大の特徴の一つは、rainscaping(レインスケーピング)技術を活用した水管理の設計です。これは、雨水を効率的に管理し、洪水を防ぎながら乾燥時期のために貴重な水を確保する技術で、庭のあらゆる部分に工夫が施されています。例えば、カンチレバー式のトラフ(溝)を備えた石造りのアーチは雨水を集めて庭全体に供給し、スチール製の貯水タンクが境界壁に設置され、雨水を蓄えて再利用できる仕組みとなっています。また、ウォーターフィーチャー(水景)は、大雨時に水をオーバーフローさせ、計画的に洪水区域へと導くように設計されています。

庭の舗装には、透水性のある素材が使用され、降雨時には自然に水を地中へ吸収させることで、洪水のリスクを軽減。水は適切に管理され、庭全体の生態系の一部として機能するようにデザインされています。これらの技術的な工夫により、干ばつや集中豪雨などの極端な気象条件に適応しながら、持続可能な庭が実現します。

この庭のもう一つの大きな特徴は、3Dプリント技術を活用した建築デザインです。従来の建築手法と比較して、3Dプリントされた壁は廃棄物やCO2排出量を大幅に削減し、基礎工事を必要とせず、環境負荷を最小限に抑えることができます。気候変動の影響を受けながらも未来に向けて持続可能な庭作りをするためのヒントが散りばめられているように思います。

RHSチェルシー・フラワーショー2025終了後、この庭はカムデンのセンターポイント女性シェルターへと移設される予定です。


4.英国の消えゆく温帯雨林を称える庭園

RHSチェルシー・フラワーショー2025で発表される英国の絶滅危惧種「温帯雨林(テンペレート・レインフォレスト)」を称える庭園が、多くの注目を集めています。かつて英国の西海岸沿いに広がっていた豊かな森林を再現し、その重要性を伝えることを目的としたこの庭園は、The Wildlife Trustsが受賞歴のあるデザイナーゾーイ・クレイモア氏と協力し設計しました。

この庭園は、慈善団体であるProject Giving Backの支援を受け、保険会社Avivaとの協力のもと実施されており、英国の失われつつある熱帯雨林を再生する取り組みの一環として展示されます。


英国のレインフォーレストとは?

レインフォーレストと聞くと、アマゾンや東南アジアのジャングルを想像するかもしれませんが、実は英国にはかつて広大な「温帯雨林(Temperate Rainforest)」が存在していました。

英国の熱帯雨林は、年間降水量が1400mm以上の地域で発達する特殊な生態系で、湿度の高い環境に適応したシダ類、コケ、地衣類、シルバーバーチ、ロイヤルファーン(オシダ)などの植物が繁茂する森でした。スコットランド西部(Argyll、Mull、Skyeなど)、ウェールズのカンブリア山脈沿い、イングランド南西部(デボン、コーンウォール)、北アイルランドの一部に広がっていたそうです。

これらの森林は、アトランティックレインフォレスト(Atlantic Rainforest)とも呼ばれ、特にスコットランド西部では、長い年月をかけて発達した苔むした木々や豊かなシダ類が特徴的な景観を作り出していました。

Devon's Ancient Rainforests

なぜ英国の熱帯雨林は消えたのか?

英国の熱帯雨林は、過去9000年以上にわたって存在していましたが、紀元前43年のローマ人の到来後、英国の森林は農地へと開拓され、牧草地へと変わっていきました。中世には農業の拡大に伴い森林伐採が進み、温帯雨林の面積は大幅に減少したそうです。

さらに、産業革命期(18世紀〜19世紀)には、木材の需要が急増し、鉄道建設や造船のために大規模な伐採が行われました。また、工場の排煙や酸性雨によって、森林の生態系が破壊されてしまいました。

20世紀に入ると都市化が進み、森林の減少が加速しました。さらに、近年では気候変動の影響で降水パターンが変化し、湿潤な環境が維持できなくなってきており、英国の温帯雨林は国土のわずか1%未満しか残っていません。
そんな中、今回のチェルシーフラワーショーでは、失われつつある英国の温帯雨林を再現し、その重要性を伝えるための庭園が展示されます。

The Wildlife Trusts’ British Rainforest Garden

注目のポイントは、以下の通りです。

1. 失われた森の再現

庭園には、シダやコケが生い茂る壁、苔むした地面を覆う木製の遊歩道、そして滝が流れる水辺の風景が設けられています。また、白樺やロイヤルファーン(オシダ)などの希少植物が植栽され、ブルーベル、マーシュマリーゴールド、フォックスグローブといった花々が彩りを添えます。

2. 自然と共生するデザイン

庭園の設計には、持続可能な方法が採用されており、雨水を循環させるシステムや、透水性の高い地面の素材が使用されており、都市部でも再現可能なモデルケースとして示されています。

3. デザイナーの想い

この庭園のデザインに大きな影響を与えたのは、デザイナーのゾーイ・クレイモアが、幼少期に過ごしたデボン州のリドフォード峡谷での思い出です。それと共に彼女は、デボン・ワイルドライフ・トラストのダートバレー自然保護区を訪れ、そこで得たインスピレーションをもとに、この庭園を創り上げるそう。


英国の熱帯雨林を未来へつなぐために

この庭園は、単なる展示ではなく、実際の温帯雨林の再生プロジェクトへの支援を目的としています。The Wildlife Trustsは、Avivaと協力し、英国の温帯雨林を復元する活動を進めており、今回の庭園もその取り組みの一環です。

The Wildlife Trustsの最高経営責任者であるクレイグ・ベネット氏は、
「英国の温帯雨林の苔やシダ、そしてそれらに依存する野生生物を目の当たりにすると、人々はいつも感嘆します。これらは本当に畏敬の念を抱かせる場所です。」と述べています。

この庭園は、RHSチェルシー・フラワーショー2025終了後、実際の温帯雨林再生プロジェクトの一部として移設され、実際の森林再生の一環として生かされることになります。

英国の温帯雨林を未来へつなぐために、私たち一人ひとりがその価値を理解し、保護活動に参加するきっかけになりそうなガーデンです。


5.都会の空に浮かぶ静寂の庭(バルコニーガーデン)  


The ME+EM City Garden

都市の喧騒から一歩離れ、自分だけの穏やかな時間を過ごせる場所——そんな夢を叶えるのが、この美しく洗練されたバルコニーガーデンです。ここは、忙しい日々を送る都会の女性のための癒しの空間。朝は瞑想やストレッチで一日を始め、夜は夕焼けを眺めながら静かにリラックスする。そんな心地よいひとときを提供するために、デザインと機能性を融合させた特別な空間がチェルシーフラワーショーで展示されます。  

このバルコニーガーデンは、都心の高層マンションに住む人にとっては、お手本にしたいポイントがいくつもあるはず。

苔むしたグリーンと柔らかなピンクのクレイタイルに覆われたプランターには、たっぷりの植物が植えられて、これらの植物は、夕暮れ時の柔らかな光を受けて美しく輝き、心を落ち着かせる効果をもたらします。また、香り豊かな植物が取り入れられており、切り花として室内に持ち込めば、自然の美しさをそのままインテリアの一部にすることも可能なのです。  

バルコニーの一角には、タイル張りの小さなベンチが設置され、そこからは街並みの向こうに広がる丘の景色を望むことができます。夕暮れ時には、都市の灯りが遠くにきらめき、静かな時間を演出します。  

また、バルコニーにはパーゴラが設けられ、つる性植物がやわらかく覆うデザインに。そこに吊るされた球体のランプは、夜になると月明かりのような柔らかい光を放ち、幻想的な雰囲気を生み出します。その下には、特注のデイベッドが置かれ、瞑想をしたり、温かいお茶を楽しんだり、お気に入りの本の世界に没頭したりするための最高の場所に。  

壁には、クレイプラスター(天然の土壁)が施され、光の加減によって異なる表情を見せます。これが、自然の温もりとなり、都会の洗練されたスタイルに絶妙に調和するそう。マットなクレイプラスターと光沢のあるタイルのコントラストが、空間に奥行きを生み出し、シンプルでありながらも豊かな表情を持つデザインに仕上がることでしょう。


キャサリン妃。2023年のチェルシー フラワーショーにて


このバルコニーガーデンのコンセプトは、現代女性のライフスタイルを反映しています。インスピレーションの源となったのは、キャサリン妃が2023年のチェルシーフラワーショーでお召しになられていたドレスのブランド「ME+EM」 。そのデザイン哲学である「flattering(魅力的)、functional(機能的)、forever(永遠に愛される)」を、ガーデンデザインにも取り入れたそうです。

都会で忙しく働くプロフェッショナルな女性には、テクノロジーから離れ、心を整えるデジタルデトックスの場所が必要です。そんな女性たちのニーズを全て叶えてくれそうなガーデンで、拝見するのを楽しみにしています。
ガーデンデザインは、Caroline and Peter Clayton of Viriditas Studio

チェルシーフラワーショーのチケット情報

  • チケット購入:
    チケットはRHS公式サイトから購入するのがおすすめです。

https://www.rhs.org.uk/shows-events/rhs-chelsea-flower-show/ticket-options

  • テレビ放送:
    BBCは一週間を通じてチェルシーフラワーショーの放送を行います。その様子は、BBC iPlayerでもストリーミングが可能。

イベント概要とアクセス情報

  • 開催期間: 2025年5月20日~24日

    • 火曜・水曜はRHS会員専用の日(8:00~20:00)、木曜以降は一般公開となります。

  • 会場: ロイヤル・ホスピタル・チェルシー(London Gate, Royal Hospital Road, Chelsea, London SW3 4SR)

  • アクセス:

    • 最寄り駅はスローン・スクエアで、駅徒歩約10分。

    • 駐車場は事前予約がおすすめ。バタシー・パークやヴィクトリア駅からのシャトルバスも運行されています。​


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