ハッセルブラッドを選ぶ本当の理由
こんにちは!
現在は上野のギャラリーにてハッセルブラッド使い限定の展示に参加しています。

せっかくなので、僕が普段アート作品の制作で使っているカメラ、ハッセルブラッドについてお話ししようと思います。
「なんでハッセルブラッドを使っているんですか?」
写真が好きな人や、機材に興味がある人から、よくそんな質問をされます。
中判ならではの圧倒的な描写力とか、ハッセルブラッドナチュラルカラーソリューションとか、理由はたくさんあります。
でも、僕がこのカメラを選んだ一番の理由は、もっと別のところにあります。
「月に降り立ったカメラだから」
これが、僕の最大の理由です。
思想とかコンセプトと言うと少し難しく聞こえるかもしれませんが、僕の作品の根っこにある、宇宙とカメラの話を少しだけさせてください。
あ、スペック的な話とかはまた需要があれば書きますね。
そういうのを求めていた方はここで戻っていただいて大丈夫です。
一応5年以上ハッセルを使っているので、純正現像ソフトの使い方や、今発生しているバグなど結構色々知っているつもりです。
今回はコンセプト的な話がメインです。
・圧倒的な「記録」への敗北
僕には、ずっと心の底にある欲求がありました。
それは、「宇宙の神秘性を撮りたい」というものです。
未知のロマンが大好きなんですね。
オーパーツとか、都市伝説とか大好きなんです。
でも、あるとき気づいてしまったんです。
世界最高峰の技術が詰まったジェイムス・ウェッブ宇宙望遠鏡の写真や、アポロの宇宙飛行士が月面で最初に撮った写真。あるいは、国際宇宙ステーション(ISS)から切り取られた地球の姿。
それらを目の当たりにしたとき、
あ、これは無理っす!!
レベルが違いすぎる!!
自分が今から頑張ってなんとかなる領域じゃない、と思いました。(当時30歳)
「誰も見たことがない宇宙の深淵を写す」
そういう
記録写真の方向では、彼らに絶対に勝てない、
と悟ったんです。個人がどれだけ頑張っても、歴史的な記録の価値や、国家レベルの機材が捉える圧倒的なディテールには届きません。
ここで僕は、一度立ち止まりました。
今から2兆円くらい稼げるようになって、
宇宙望遠鏡を打ち上げ、それを個人所有する・・・
という道は流石に選ばず、
表現の世界でやっていく
のを選びました。
詳しく説明すると・・・
・カメラの2面性と、表現性での勝負
そもそも、カメラという道具には「記録性」と「表現性」という2つの側面があると思っています。
目の前にある事実をそのまま写し取る、記録性。
自分の中にある思想や感情を形にする、表現性。
記録性の観点では、どうあがいても宇宙の専門機関には勝てない。それを痛感したからこそ、僕は「表現性」の領域で勝負しよう、と決めました。
宇宙を直接写すのではなく、自分の表現を通して、宇宙の壮大さを想像してもらう。そういうアプローチに変えたんです。
そこで僕は宇宙の始まりや、現在の宇宙開発に関して色々な調べ物をしました。
そこで僕の中でつながったのが、物質の始まりや生命の歴史でした。
宇宙の物質の始まりは、エネルギーのほんの小さな「揺らぎ」だったと言われているそうです。
その揺らぎから物質が生まれ、やがては生命になって今になっている・・・
カールセーガンの「私たちの身体は星屑でできている」という有名な言葉の通り、僕たち人類も、地球上の生命も、すべてはその揺らぎから生まれた奇跡の存在です。
つまり、目の前にいる人間を撮ることは、宇宙の歴史の先にある奇跡を撮ることと同じではないか、と思ったんです。
人間というものは僕は勝手に、この世でかなり複雑な物質だと思っているので、人間を撮るということは原初の揺らぎから始まった複雑な物語の一つの到達点のようにも思えるのです。
「ゆらぎ」という表現
この思想を形にするために行き着いたのが、水とスモークを組み合わせた人物写真、今の「ゆらぎ」の作品です。

水も煙も、人間の手で完全にコントロールすることはできません。
その不自由さの中で、偶然に美しい形が生まれる瞬間があります。
そのコントロールできないゆらぎの中に現れる美しさは、まさに何百億年という時間のなかで、偶然と奇跡が重なって生命が誕生したプロセスそのものに思えるんです。
また、生命の誕生確率が低いことを表す話にも影響を受けています。
「バラバラの時計のパーツをプールに投げ込み、水をかき混ぜた時、偶然時計が組み上がる確率」
これを人間でやってみようと思ったわけです。
宇宙そのものをカメラの枠に収めることは諦めました。
けれど、水とスモークの中に生まれる一瞬の揺らぎを通して、見てくれる人に宇宙の果てしない広がりを感じてもらうことはできるかもしれない。そう信じてシャッターを切っています。
道具とコンセプトが重なる場所
宇宙をテーマにした表現をする。
だからこそ、
かつて人類の夢を乗せて宇宙へ行き、月に降り立ったハッセルブラッドというカメラで撮る。
僕にとってこの選択は、単なる機材への興味を超えて、作品のコンセプトと道具の歴史が完全に一致する、必然の組み合わせなんです。
……と、少し格好をつけた話をしましたが、純粋にこのカメラのデザインや色がめちゃくちゃ好き、というのも本音です。お気に入りの道具を握るワクワク感は、やっぱり何事にも代えがたいですよね。
ということで、
今週の土日まで俺のハッセル展はやっていますので、
お近くの方はぜひ!
僕はゆらぎ作品と、着物作品を展示しております!
作品も買えますし、オーダーもできます。
写真集とトートバッグも買えます!
それでは!
あ!7月から写真うまくなりてー!って人のために、
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