成長のトリガーは、いつも「居心地の悪さ」の中にある。
最近、研修の冒頭で受講生のみなさんに、よくこんなアイスブレイクをします。
「大人の学びは●●が伴う」
さて、●●に当てはまるものは何だと思いますか?
1〜2分ほど時間をお渡して、グループで考えてもらいます。よく出てくる答えはこんな感じです。
「責任」
「時間」
「お金」
どれも正しそうですよね。間違っていません。 ですが、僕が用意している答えは違います。
答えは、【痛み】です。
▼変容の第一歩は「痛い思い」から始まる
これは、変容的学習理論で有名な教育学者、ジャック・メジロー(J. Mezirow)が提唱した概念に基づいています。
理論の詳細や人間が変容していく「10のステップ」といった学術的な話はここでは省きますが、彼の理論にはすごく納得感があります。人が根本から変わるプロセス(変容的学習)の第1ステップは、「惑わされるような試練(Distressing dilemma)」、つまり「自分のこれまでの前提が揺らぐような痛い体験」から始まるとされているからです。
考えてみれば、研修という場自体、受講生にとってはまったく「心地よい空間」ではありませんw。
初めて会う講師から耳の痛いことを、しかも偉そうにズバズバ言われる。
受講者の心の声→何様やねん!
自分の弱みや本音を、周囲に開示しなければならない。
受講者の心の声→なんで言わなあかんねん!
考えたこともなかった問いを突きつけられ、思考の浅さを痛感させられる。
受講者の心の声→そこまで突っ込まなくていいだろ!
正直、苦痛だし、居心地が悪いですよね。
でも、それこそが「自分にしっかり向き合う」ということなんだと思います。 自分が出来ていないこと、逃げていたことを直視する「謙虚さ・スタンス」を持たないと、人は脱皮できないのではないでしょうか?
▼研修で「強い刺激」を与え続ける理由
僕たちスタンスが提供している研修は、世の中の研修に比べてかなり刺激が強いようです(汗)。 だから時々、受講者の満足度評価が極端に割れることがあります。
「人生観が変わるほど学びになった」という人がいる一方で、「厳しすぎて受け入れがたい」と不満を覚える人もいる。
でも僕は、それでいいと思っています。 万人受けする「楽しかったね、勉強になったね」で終わる研修に、人は変わるほどの意味はないからです。
たとえその場で反発やモヤモヤが生じたとしても、受講者の心に何かしら一生残るような「引っかかり」や「違和感」を与えることができたのなら、研修講師として・人材開発のプロとして、価値ある刺激を投下できたのだと考えています(人事のご担当の皆様にはいつもご迷惑をおかけしていますが…)
▼時代遅れと言われても、伝え続けたいこと
今の時代、「得意なことを伸ばそう」「好きなこと、楽しいことに集中しよう」という風潮が主流です。 もちろん、それ自体は素晴らしいことですし、正しい側面もあります。
ですが、「成長」のもう一つの側面から目を背けてはいけません。
人が大きく成長するとき、そこには「自分のこれまでの考えや行動パターンを、強制的にアップデートしなければならない瞬間」が必ず訪れます。
その時は、たとえ自分の嫌いなことや見たくない現実であっても、逃げずに泥臭く向き合わなければならない。 これは、組織に属していても、独立していても、まったく同じです。
「好きなことだけやればいい」という主流派の波からは少し外れるかもしれません。時代遅れだと言われるかもしれない。
それでも僕は、「痛みを伴う自己変革こそが、人を一番遠くまで連れて行ってくれる」という真実を、これからも泥臭く発信し続けていきたいと思います。
自分の弱さと向き合うのは勇気が要りますが、その先にある変化は絶対に自分を裏切りません。この記事が、どなたかの壁を打ち破る「小さなキッカケ」になれば幸いです。
