全国水族館の旅【48】浜名湖体験学習施設ウォット
海とつながる浜名湖は、他に類を見ないほど特殊な環境を擁する湖です。海水と淡水が入り混じる水域の中では、たくさんの生命が独特な生態系を構築しています。
これほどまでに不思議な湖には、きっと謎と神秘があふれているはず。浜名湖の生態系を学ぶために、現地自然のプロである体験学習施設を訪れました。
不思議すぎる湖・浜名湖を大探検
先述の通り、浜名湖の地理環境はとても複雑です。南端では遠州灘にて海とつながっており、海水が湖の中にダイレクトに流れ込んできています。海と淡水が出会う環境、とっても魅力的ですね。
さっそく筆者は浜松市内レンタカーを借りて、浜名湖を目指して西へと走り出しました。

生き物好きならば、浜名湖の水棲生物の観察は欠かせないところ。目を凝らして水中や岸辺の探索開始です。
いきなり出会って驚いたのは、真っ青なビゼンクラゲ! 汽水域ゆえにクラゲの出現は珍しいことではなく、鮮烈なブルーのクラゲたちがたくさん水中を漂う光景には脱帽です。特殊な地理環境の浜名湖は、観察スポットによって出会える生き物の種類も様々なので、ぜひいろいろな場所で生物探索をしてみましょう。




生物観察を楽しみつつ、浜名湖の幸もしっかりと味わいましょう。
浜名湖名物と言えば、超おいしいウナギです! 地元の名産ということで、浜松市や湖西市にはウナギ料理の専門店がたくさんあります。不思議いっぱいの湖で育ったウナギは、究極的に美味と言っても過言ではありません。



湖の水域探索を満喫したら、浜名湖につながる遠州灘を見に行きます。湖の南端は海と直に接しているので、浜名湖には海水と共にたくさんの海洋生物もやってきます。浜名湖を理解するために、湖に強く影響を及ぼす海の光景も目に焼きつけておきましょう。



知的好奇心は最高潮に暖まってきました。ワクワク感全開で、弁天島の浜名湖体験学習施設ウォットへと向かいます。ウォットは浜名湖に棲む生き物や現地の独特な水域環境について学べる水族館であり、浜名湖を深く理解するための大きな知識を授けてくれます。
海に臨む湖には、いったいどのような生命の世界が広がっているのでしょうか。


浜名湖の知が詰め込まれた環境学術施設
神秘の湖とつながる多様な生命たち
MAXの好奇心を抱いて入館。来館者は浜名湖の生態系を本格的に学ぶ前に、ユニークな水族展示と出会います。
その1つが好適環境水を用いた水槽です。岡山理科大学で開発された好適環境水は、淡水魚も海水魚も飼育できる特殊な水。低予算で精製できるコストパフォーマンスの高さ、病気が発生しにくい水質が注目されており、養殖の分野での活躍が期待されています。
近い将来、好適環境水で育てられた魚たちが私たちの食卓にあがるかもしれませんね。



それでは、浜名湖の水域環境学習へどっぷり飛び込みたいと思います。本館1階では様々なタイプの水槽が立ち並んでおり、淡水域・汽水域の水棲生物が大集合しています。さらに、解説パネルなどの資料が壁面に多数配置されているので、館内の隅から隅まで学びがいっぱい!
全ての展示をじっくりと拝んで、浜名湖の魅力を知ってください。




浜名湖を理解するためには、清らかな水を運んでくる都田川について学ばなくてはなりません。浜名湖の源流となる水は標高710 mの鳶ノ巣山で生じ、浜名区を流れる都田川によって運ばれてきます。都田川水系の生き物たちの生体展示を通して、本地域の水域生態系の豊かさを知ることができます。
ちなみに、浜名湖は地理的には湖(汽水湖)ですが、河川法では都田川の一部として見なされます。




淡水魚の次は、汽水域の生き物たちです。浜名湖には海水魚もたくさんやってきていて、海と陸の境界にある事実を改めて認識させられます。
海洋生態系とみまごうほど、海の魚たちが豪華に舞う湖。水族展示の海水魚たちを観覧しながら、浜名湖の中の世界を想像してみてください。




前述の通り、汽水域である浜名湖では様々な海産の魚介類が獲れており、ウナギの他にも数多くの幸が味わえます。浜名湖のおいしい魚介類の生体展示を見れば、強く食欲をそそられることでしょう。観覧後の夕食は魚料理で決まりですね!





魅力的な水族展示のラッシュはまだまだ続きます。本館では水量120 tの大型水槽があり、多様な魚たちの舞をじっくりと観察できます。ダイバーさんの餌やりタイムが始まったら、ぜひ魚たちの摂食の様子を細かく見てみましょう。
大水槽の奥に並ぶ展示区画にも、不思議な魚たちがいっぱい。濃密な生体展示から一瞬たりとも目が離せません。





浜名湖とつながる遠州灘も、とても興味深い海域です。本館では遠州灘の深海生物たちが飼育されており、愛らしく風変わりな姿を見せてくれます。たくさんの環境の影響を受けて生まれる浜名湖の生態系は本当に素敵ですね!



他の水族館ではなかなか見られない本館独特の工夫として、魚たちとの「ふれあい水槽」があげられます。水槽の中の魚に直にタッチできる体験展示であり、水の生命との触れ合いを楽しめるのです。本水槽で飼育されている魚たちはおとなしくて小さな種類が多いですので、ご安心して触れ合いタイムを楽しんでください。



可愛くてかっこいい水棲生物たちの展示ラッシュは続きます。浜名湖の生命の多様性にはどこまでも驚かされ、この湖が数々の奇跡によって生まれた特殊な環境だとわかります。歩みを緩めず、浜名湖に棲む仲間たちにどんどん会っていきましょう。





水族館展示は非常に濃密であり、各種資料による浜名湖の環境解説も情報満載で学びごたえ抜群です。本館には順路が決まっていませんので、心ゆくまで観覧して浜名湖への理解を深めていただきたいと思います。

超多数な生体と標本による至高の学術体験
濃密な環境学習はさらに続きます。本館2階では水族展示に加えて、環境科学に関する様々な資料で浜名湖への理解を深められます。浜名湖を含めた自然界の環境問題について、あらためてよく学んでいきましょう。




2階の水族展示にも人々の注目を集めるスターがたくさんいます。すさまじいボリュームのオオウナギや麗しいアカエイの白色個体には、誰もが目を奪われるでしょう。浜名湖の大型生物たちはみんなかっこいいですね!



2階の生体展示エリアで筆者が最も興奮したのは「開放実験室」。その名の通り、理科実験室を展示室として活用した区画であり、膨大な数の飼育生物と学術資料をお目にかかれます。好奇心が極限まで高ぶり、筆者は終始興奮状態でした(笑)。





開放実験室の展示生物はとってもたくさんいますので、本記事では一部の子たちをピックアップして紹介します。みんな魅力的でかっこいい(可愛い)子であり、ぜひ本館を訪れて全ての生体をご覧になっていただきたいと思います。きっと、生物マニアなら胸の底から感動することでしょう。





開放実験室には、各種生物標本も多数展示されています。標本は科学の発展のために役立てられるものであり、本館の所蔵の資料は素晴らしい価値に満ちていると言えます。
生物を理解するためには生体の観察はもちろん重要ですが、標本による研究も欠かせません。本館の学術標本から得られる学びはとても大きいのです。





2階通路にも生体の展示水槽が配されています。可愛い爬虫類たちのラッシュにはうっとりしてしまいます。我々の身近なところに彼らは息づいていますので、野外に出たら注意深く探してみてください。



体験学習施設である本館の強みは、数多くの屋外展示です。海水魚の飼育されている水路やタッチプールに加え、ウナギたちの飼育区画も観覧エリアとなっています。浜名湖の空気を感じながら魚たちを観察する時間は、とても特別な体験となるはずです。




本館の通路や階段には、多数の学術資料が設置してあります。環境学習において超重要な知識が得られるので、ぜひ全ての資料に目を通していただきたいと思います。浜名湖の環境を考えることは、地球規模の問題の解決へとつながっていくのです。



浜名湖の自然環境の奥深さ、本館を訪れて濃密に学ぶことができました。すさまじい量の知識と学術体験が得られて、生物マニアの心は喜びでいっぱいです。
浜名湖観光に際して、本館は絶対に訪れていただきたい学術施設です。美しい浜名湖の尊さを学術的に知れば、さらに地球が愛しく感じられます。

浜名湖体験学習施設ウォット 総合レビュー
所在地:静岡県浜松市西区舞阪町弁天島5005-3
強み:浜名湖・都田川・遠州灘に生息する水棲生物の膨大な生体展示、超ハイクオリティな質と量を誇る数々の環境学習資料、ふれあい水槽や屋外タッチプールなど生命を感じられる工夫満載の体験展示
アクセス面:湖上の人工島の中に位置しているので、自家用車かレンタカーがベストなアクセス手段です。旅行者の方は、浜松駅前でレンタカーを借りて向かうのが吉だと思います。車があれば、ウォットのみならず、浜名湖全体のドライブ旅を楽しむことができます。公共交通機関をご利用の場合、JR弁天島駅からタクシーで向かってください。スムーズにタクシーに乗るために、スマートフォンに配車アプリを入れておくといいかもしれません。
浜名湖の水域生態系に特化した水族館であると同時に、とても濃密な環境学習ができる学術体験施設です。魅力的な生体との出会いを通して、浜名湖の環境や生命についての学術的理解を深められます。さらに、浜名湖が直面する問題が常設展示としてピックアップされており、非常に意義深い環境学習をさせていただけます。
海水魚の屋外飼育水路やふれあい水槽など、子供も大人も楽しんで学べる体験展示が盛りだくさんであり、水族館としての総合力はとても高いと思います。加えて、ユニークな生体や各種生物標本が多数展示されていて、生物マニアの方々も超大満足して観覧できるでしょう。
本館には、すさまじい量とクオリティの学術情報が詰め込まれています。ぜひ子供も大人も本館を訪れて、浜名湖の生命との出会いから、地球環境保全において大切な心得を学び取っていただきたいと思います。

