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「下手になった気がする」は、上達の合図

「先生、最近なんだか下手になった気がするんです。」

先日のレッスンで、生徒さんがぽつりとおっしゃいました。

実は、こういうことおっしゃる生徒さんよくいらっしゃるんですよ。

むしろ、上達している生徒さんほど、よく口にします。

以前は気にならなかった音の濁り。

リズムのわずかなズレ。

メロディーが思ったように歌えていないこと。

そんな細かなことが、わかり始める。

でも、それは演奏が悪くなったわけではありません。

耳が育ったのです。

今までは「弾くこと」で精一杯だったのが、少し余裕が生まれ、自分の音を客観的に聴けるようになった。

音符を場所としてしか認識していなかったのが、音として分かり始めてる。

だから、今まで気づかなかった課題が見えてくる。

私はよく生徒さんに、

「1年前の演奏を聴いてみてください。」

とお話しします。

本人は「変わっていない」と思っていても、聴き比べると驚くほど成長しています。

毎日の変化は小さすぎて気づけません。

でも、積み重ねた時間は、ちゃんと演奏に表れています。

「下手になった気がする。」

その言葉が出てきたら、落ち込む必要はありません。

それは、自分の演奏を聴く耳が育ち始めたサインかもしれません。

ピアノは、指よりも先に耳が成長することがある。

だからこそ、「下手になった」と感じる時期は、次のステージへ進む入り口なのだと思います。

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