【読書録】『ブッダ』手塚治虫
今日紹介する本は、手塚治虫著の長編漫画『ブッダ』。私が読んだのは、潮出版社の新書サイズの新装版(全14巻)。
手塚治虫先生については、詳しい説明は不要だろう。「漫画の神様」と称される日本漫画界の巨匠だ。『火の鳥』『鉄腕アトム』『ブラック・ジャック』などの名作を多数生み出した。
本作品『ブッダ』も、手塚治虫先生の代表作のひとつだ。仏教の開祖である釈迦(ゴータマ・シッダールタ)の生涯を描いた長編歴史漫画である。
私が本作品を初めて読んだのは、小学生か中学生の頃だ。田舎の祖父母の家の本棚にあった叔父の蔵書コレクションに本作品が並んでいて、好奇心から手に取った。大作だし、壮大なテーマだが、漫画の形式をとっているため、子どもの私にも読みやすく、その不思議な世界観に引き込まれた。ご飯を食べるのも、お風呂に入るのも忘れ、夢中になって読み進めた。
子どもだった私は、「死んだら人はどこへ行くのか」と考えては、恐怖を感じることが多かった(いまもその不安は消えてはいないが)。この作品を通じて輪廻転生というテーマに触れたことで、その問いに対するひとつの答えを見つけた気がした。
最近、ふと、この作品のことを思い出した。久しぶりに読みたくなって、14巻セットを大人買いした。
本作品は、仏教という難解なテーマを親しみやすく伝える、稀有な漫画だ。輪廻転生や因果応報といった仏教の根幹にある概念を、具体的なエピソードとして描いている。シッダールタが王子という恵まれた立場にありながら、生老病死の苦しみに直面し、苦悩を経て悟りに至る過程は、「人はなぜ苦しむのか、どうすれば救われるのか」という普遍的な問いを投げかける。
史実に基づきながらもフィクションが織り交ぜられていて、人間や動物などのキャラクターが生き生きと描かれている。奴隷のチャプラや盗賊のタッタといったオリジナルキャラクターも強い存在感を放っていて、彼らの人生が仏教の教えと絡み合うことで物語に厚みを与えている。
約40年ぶりに再読して、昔と同じように、物語に引き込まれた。難解な仏教のポイントを、ここまで分かりやすくストーリーにできるとは、手塚治虫先生の構想力と緻密さには、驚くばかりだ。登場人物の感情表現が豊かで、読みながら笑ったり泣いたり、憤ったり、心を揺さぶられたりした。
この作品は、仏教の思想をやさしく学べるだけでなく、人間の苦しみと救済について深く考えさせられる傑作だ。仏教に興味がある人はもちろん、生きるとは何かについて考えたことのある老若男女すべての人におすすめしたい。
なお、私の読んだ新装版は、コンパクトな新書版で、軽くて持ち運びにも便利で、読みやすかった。セットで買えば専用の箱もついてくるので、保管もしやすい。また、漢字にはふりがな(ルビ)も付いているので、お子さんへのプレゼントにも良いだろう。私も、これを、自分の愛する姪っ子たちに引き継いでいこうと思っている。
ご参考になれば幸いです!
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