【読書録】『コーポレートガバナンス入門』太田洋
今日ご紹介する本は、太田洋著『コーポレートガバナンス入門』(岩波新書、2025年5月)。
著者の太田洋氏は、大手法律事務所の企業法務弁護士であり、コーポレートガバナンスの専門家だ。
「コーポレートガバナンス」という言葉は、昨今、企業の不祥事などの文脈で、メディアなどでよく見聞きするようになった。しかし、コーポレートガバナンスとは何なのか、今一つはっきりしなかった。
また、私は、外資系企業の日本法人に勤めているのだが、海外の本社からの社内向け情報発信には、本社の役員会のような会議体や、本社の役員などの情報が含まれている。しかし、そういった機関がどういった目的で存在しているのか、構成員の役割は何なのか、日本の株式会社の、たとえば取締役会のような機関とは、どのように違うのか、などが分からなかった。
さらに、日本の株式会社での役員クラスの人々の役割や責任についても、よく分かっていなかった。取締役、代表取締役、執行役、執行役員、社長、会長、CEO、監査役、監査等委員、などなど、株式会社には、実に様々な肩書をもった、役員クラスの人々がいる。こういった人々の役割や責任の違いを、正確に理解したいと思っていた。
本書は、これらの疑問を解消してくれた。
コーポレートガバナンスとは何か。著者は、経営者に対して「規律づけ」をするための制度的な担保及び具体的な制度運用の総体だという(p3)。
コーポレートガバナンスの目的、仕組み、企業の機関設計などについて、わかりやすく具体的に示す。
さらに、日本のみならず、米国、英国、ドイツなどの欧米諸国のコーポレートガバナンスの歴史の推移と、日本とそれら欧米諸国の機関設計の違いを俯瞰的に解説している。
特に、企業統治のモデルとして、マネジメントボード、モニタリングボードという性質の違いや、日本の株式会社の指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社、監査役設置会社という制度の違いについての説明が、とても分かりやすかった。それらを図示したページ(p92)は、それらを視覚的に理解しやすかった。
さらに、主要な東証上場企業の企業統治形態を、18のパターンに分け、どの企業が、どの統治形態を採用しているのかを列挙して図示しているページ(p195)は、大変興味深かった。この図は、東証の個別株に投資をしている投資家にとっても、大いに参考になるのではないだろうか。
本書を読む以前にも、「コーポレートガバナンス」については、いくつか書籍を読んだことがあった。法学研究者や弁護士の先生たちが書いたものだったと思うが、本書は、それらと比べて、随分とわかりやすかった。あちこち蛍光ペンでマーキングしながら読んだ。
新書であり、軽くて薄くて持ち運びがしやすいのも良い。Kindle版、Audible版もある。また、つい最近(2025年5月)発売されたばかりなので、最新の情報が盛り込まれているのもありがたい。
これからも本書を手元に置き、時々参照しながら、コーポレートガバナンスについて、さらに理解を深めていきたいと思っている。
ご参考になれば幸いです!
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