【温泉】夏油温泉「元湯夏油」(岩手県北上市)
今日ご紹介する温泉は、岩手県北上市の夏油温泉のお宿「元湯夏油」さん。
栗駒国定公園の北端、ブナの原生林に囲まれた夏油渓谷に臨む秘湯。慈覚大師が斉衡3(856)年に発見したと伝わり、江戸時代の温泉番付では東の大関と記されたこともある。
夏油という珍しい地名の由来には諸説あるが、アイヌ語の「グット・オ(崖のある所)」に由来するという説が知られている。
渓流沿いには5つの露天風呂が点在し、全国でも貴重な自噴泉を楽しむことができる。敷地内には古い宿泊棟が並び、昔ながらの湯治場の雰囲気を色濃く残している。温泉好きなら一度は訪れたい、憧れの秘湯である。
2025年夏に、こちらに2食付きで1泊する機会を得た。今日はそのときのお話だ。
外観
お宿へは、北上駅からの送迎を利用した。曲がりくねった山道をひたすら進む。人里を離れた山奥に、ようやく目的地が見えてきた。


お世話になった送迎車。


こちらの建物で、チェックインを行う。

こちらの旅館には複数の棟があり、小径の両側に並んで建っている。宿泊客はそれぞれの棟から出て、小径を歩きながら点在する露天風呂を巡るのだ。
古びた建物が並ぶ光景は、まるで大昔の山奥の小さな集落のよう。ここでは時がゆっくりと流れていた。









館内
本館ロビー。

本館とつながっている別館へ。レトロな雰囲気の廊下。

休憩コーナー。

共用の洗面所。

共用のトイレ。

客室
こちらのお宿には、旅館部と自炊部がある。私が宿泊したのは、旅館部に属する別館の客室だった。
お部屋は昔ながらのシンプルな和室。トイレや洗面台はないものの、タオルや浴衣などは用意されており、不便さは感じなかった。


温泉
こちらが温泉めぐりの地図。館内には全部で7つのお風呂がある。まるで、温泉のテーマパーク!

4つの露天風呂は混浴だが、女性専用時間帯が設けられている。そのほか、女性専用の露天風呂が1つ、男女別の内湯が2つある。
1泊の滞在ですべてのお風呂を攻略するべく、この地図とにらめっこしながら湯巡りに出かけた。
①大湯
本館から最も遠い露天風呂。宿泊棟を両側に見ながら小径を進み、階段を下った先にある。


川のすぐそばにある、大きな岩風呂だ。


泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。硫黄の香りが漂う、透明なお湯。
チェックインの際に、お宿の方から、とにかく熱いお湯だと聞いていた。それでも、このお宿を代表する名湯なので、ぜひ頑張って入ってみるように、と勧められていた。
女性専用時間帯に訪れてみると、多くの女性客で賑わっていた。しかし、そのほとんどが熱さに苦戦している。掛け湯をしただけで退散する人、手足を浸けただけで諦める人も少なくない。
私も、指先でお湯に触れてみたが、かなり熱い。激アツだ。それでも、入らないのはもったいない。意を決して首まで浸かってみたが、あまりの熱さに、1分と持たなかった。それでも、全身がシャキッとして、血の巡りが良くなったような気がした。
②疝気の湯
次は、大湯と同じ川沿いのエリアにある、疝気の湯へ。

湯船は、川のすぐ近くに設置されている。


足元からぷくぷくと泡が上がってくる。湯船の底から源泉が自噴しているのが、はっきりと分かる。

泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。大湯と異なり、温度はぬるめだった。川のせせらぎを聞きながら、ゆっくりと浸かることができた。
③滝の湯
大湯、疝気の湯に向かう階段の途中に設置されている小屋がある。こちらが「滝の湯」で、女性専用の露天風呂となっている。

中に入ると、2つに仕切られた浴槽が鎮座していた。湯口側が熱い源泉の注がれる「あつ湯」で、湯口と反対側が適温の「ぬる湯」となっている。

泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。ほのかな硫黄の香りがした。あつ湯のほうは、大湯ほどではないが、かなり熱かった。そのため、主にぬる湯のほうで湯浴みを楽しんだ。

④真湯
真湯は、大湯、疝気の湯、滝の湯のエリアとは別のエリアにある。本館から見て手前側だ。やはり、長い階段を下りた先にある。


こちらが、入り口。なお川の反対側(写真左手)にあるのは、後述の「目(女)の湯」。

緑に囲まれた大きな露天風呂だった。

泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物泉。ほのかな硫黄の香りが漂い、やや白みを帯びたお湯。適温で肌触りも良かった。
女性専用時間帯に訪れたのだが、多くの女性客でにぎわっていた。皆さんかなりの温泉好きらしく、自然と「どこの温泉が好き?」という温泉談義が始まった。一期一会のお喋りが楽しく、気づけば、すっかり長湯をしてしまっていた。
⑤目の湯
残念ながら、このときは閉鎖中で使用不可だった。再開されたら、是非入ってみたい。
⑥小天狗の湯
男女別の内風呂のひとつ。

泉質は、ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。適温で、やさしいお湯だと感じた。

⑦白猿の湯
もうひとつの男女別内湯。

泉質は、カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉。適温。滑らかな肌触りながらも、濃厚なお湯だと感じた。

食事
お食事は大広間でいただく。古き良き温泉宿のスタイルだ。

夕食
岩手県の食材を使ったお料理が並ぶ。品数も多く、お味も美味しく、大満足だった。

朝食
ヘルシーな和朝食。ハードな湯巡りで酷使した身体に、栄養がじんわりとしみ込んでいくようだった。

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まさに、桃源郷だった。深い山々に囲まれたこの地には、昔ながらの湯治場の風景と文化が今も残されている。まるで、時が止まったかのように。
古びた建物が並ぶ光景に胸を躍らせ、「次はどのお風呂へ行こうか」と地図を片手に湯巡りを楽しむ。そんな私は、さながらテーマパークを巡る子供そのものだったと思う。
今回は1泊という短い滞在だったが、できれば連泊するのが理想だろう。山奥の鄙びた湯治場で神秘の名湯に浸かり、静かに時を過ごす。それだけで、心も身体も軽くなっていくに違いない。
温泉好きなら、一度は訪れる価値がある。私もまた、この桃源郷に帰ってきたいと思っている。
いいお湯でした。お世話になりました!
こちらのお宿の公式サイトは、こちら。
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