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【読書録】『天使の囀り』貴志祐介

今日ご紹介する本は、貴志祐介のホラー小説『天使のさえず』(2000年、角川ホラー文庫)。

私は、ホラー系の物語は、映画であれ小説であれ、あまり好きではない。この著者についても、この本についても、最近まで知らなかった。偶然この本を手に取ったときも、正直言って、おそらく自分の好みには合わないだろうと思っていた。

ところが――。読み進めるにつれて、ぐいぐいと引き込まれていった。怖い。けれど、面白い。謎の行方が気になって仕方がなく、ページを繰る手が止まらない。気がつけば、一晩で一気にラストまで読んでしまった。

物語は、恋人同士のメールのやり取りから始まる。冒頭には、恐ろしさの気配はほとんどない。しかし、物語が進むにつれ、奇怪な事象が次々と現れ、主人公・早苗とともに、得体の知れない不安に包まれていく。やがて展開は一気に加速し、いつの間にか身の毛もよだつ事件の渦中へと引き込まれていた。終盤は、背筋の凍る思いでページを追うことになった。

読み終えて感じたのは、これは単なるホラーではない、ということだ。むしろ、緻密な取材に裏打ちされたSF小説に近い。科学的知見や仮説が随所に織り込まれ、フィクションでありながら、「もしかすると現実にも起こり得るのではないか」と読者の危機感を静かに刺激する。物語を構想した着眼点、練り上げられた構成、説得力ある描写――そのいずれもが見事だ。

この作品については、ネタバレは絶対に避けたい。あらすじの紹介は控え、代わりに文庫版の裏表紙に掲載されている出版社の内容紹介文を引用しておく。

北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症タナトフォビアだったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように、自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンで、いったい何が起きたのか? 前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

ご参考になれば幸いです!

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