【温泉】後生掛温泉(秋田県鹿角市)
今日ご紹介する温泉は、秋田県鹿角市の八幡平国立公園内に位置する後生掛温泉。昨日記事にした後生掛温泉自然研究路のすぐそばにある。
標高約1000mの山の中の一軒宿で、開湯以来300年以上の歴史を有する。古くから「馬で来て、足駄で帰る、後生掛」と謡われ、古くから諸病に効能のある湯として言い伝えられてきた。
現在、旅館部と湯治部があるが、私はこちらの旅館部に、2024年初夏に2食付きで1泊した。今日はそのときのお話だ。
外観
こちらが、お宿の外観。周りは深い山で、ここまでは、車がなければアクセスは困難だ。2024年宿泊当時は、路線バスのバス停までお宿の方が迎えにきてくれた。2025年現在では「ドラゴン号」という予約制のバスがあるらしい。
こちらが、旅館部の玄関。


日帰り入浴は、この坂を下る。

大浴場への入り口。

館内
旅館部の玄関を入ると、広々としたロビーエリアだった。


館内は広くてきれいだ。ところどころに休憩スペースが整えられていた。



客室
私が宿泊したのは、ひとり泊用の客室。


トイレ、洗面の設備は新しくて、きれい。

シングルベッドにソファ。機能的であり、落ち着いた雰囲気で、居心地もよい。

温泉
それでは、お待ちかねのお風呂へ行ってみよう。
大浴場
階段を下って別棟へ。

こちらが、男女別の大浴場入り口。

浴場は、総木造。山小屋のように天井が高く、とても広い。その中に、なんと7つものお風呂があった。
後生掛伝統の「箱蒸し風呂」(木箱から首だけ出して温まる)、泥パックもできる「泥風呂」、気泡の吹き出す「火山風呂」、自然の蒸気を浴びることのできる「蒸気サウナ」など、珍しいものが多かった。あちこちと移動して、たくさんの種類のお風呂を楽しんだ。

以下、大浴場の写真はすべて公式サイトからお借りしました





お湯は、薄めの白っぽい灰色、たくさんの湯の花が舞っている。なめてみると、意外にもあっさりとしていた。ギシギシとした肌触りで、とても力強いお湯だと感じた。
掲示されていた温泉分析書(令和5年7月27日)によると、源泉名は「オナメ・モトメ」の湯、泉質は、単純硫黄泉(チオ硫酸イオン9.6mg)、泉温は93度、PH値は3.2ということだった。また、お宿の案内によると、複数ある浴槽は全て源泉かけ流し(温度調整の為の加水あり)ということだった。
宿泊者専用「ぶなの湯」
客室の近くには、宿泊者専用の「ぶなの湯」という浴場があった。

このときは独泉。大浴場と同じお湯を、心行くまでゆっくりと堪能することができた。



この「ぶなの湯」には、休憩コーナーが設けられていた。おしゃれなチェアに座り、大きな窓から緑を眺めることができた。とても素敵な空間だった。


オンドル
このお宿の温泉は、上記の大浴場や「ぶなの湯」だけでも十分素晴らしいのだが、この後生掛にはさらにユニークな温浴施設がある。それが「オンドル」だ。
私がこの後生掛温泉のことを知ったのは、つげ義春先生の作品を読み、オンドルに興味を持ったのがきっかけだった。

後生掛付近一帯は、非常に火山活動が活発なエリア。この豊富な天然の地熱や蒸気を、直接または木樋などで床下に通して、部屋を床から温める仕組みが、後生掛式オンドルだ。
オンドル室内は通年で30℃以上になる。地熱や木樋を伝う蒸気により温められた床と、温泉成分を含んだ適度な湿度により、オンドル室内で横たわっているだけで、温泉の恵みを享受することができる。岩盤浴の土間版のようなものだ。
宿泊者は無料で利用できるため、夕食後の時間帯に行ってみた。なお、日帰り客も有料で利用できるようだ(※常に最新情報をご確認ください)。
オンドルエリアに入ると、そこは、照明を絞った、薄暗い不思議な空間だった。
通路の左右に、簾で仕切られたオンドルスペースが並んでいる。

こちらが、私のスペース。バスタオルを敷いて、横たわる。

なんという、落ち着く空間だろう。

確かに、背中からじんわりと温まってくる。これは、気持ちが良い! つい、うとうとと寝落ちしてしまった。
ちなみに、お宿の公式サイトによると、昔のオンドルはこのような雰囲気だったらしい。昔から湯治客に愛されてきたことがうかがえる。

食事
夕食
食堂のひとり用に区切られたスペースで、ゆっくりと夕食をいただいた。ひとつひとつがとても美味しく、手の込んだお料理だった。


朝食
ヘルシーな和朝食。こちらもとても美味しかった。

コーヒーなどのドリンクサービスも嬉しかった。

お宿のすぐ近くで絶え間なく噴出している源泉に恵まれた、稀有なロケーション。その力強い源泉をそのまま利用した、贅沢な温浴施設。「箱蒸し風呂」「泥風呂」「火山風呂」などのユニークなお風呂や、昔ながらのオンドル。館内はリニューアルされた快適な空間であり、食事のレベルも高い。
歴史と伝統を維持しながらも、ゲストの快適な滞在のために、おもてなしに心を砕いてくださっているのが良く分かった。とても素晴らしい施設だ。アクセスが不便ではあるが、温泉愛好家の方には、特に強くお勧めしたい。そしてお宿には、ぜひ末永く営業を続けていただきたいと願う。
いいお湯でした。お世話になりました!
こちらのお宿の公式サイトはこちら。
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