国際会議で生き残るための、日本人の英語(その2・出張手配編)
その1からの続きです。
国際会議と一口に言っても千差万別であるから、まずは場面設定をしてみたい。
場面設定
外資系企業に転職して数ヶ月のサザヱは、本社での年に一度のチームミーティングに招かれた。今回の開催地はニューヨークである。
同一グループの複数の外国拠点から、同じ職種の同僚たちが20人程度参加する。彼らと会うのは初めてだ。日程は、3週間後の月曜日のウェルカムディナーに始まり、火曜日、水曜日は終日会議で、水曜日の夕方に解散だ。
日本の状況について、1時間の枠で発表担当を頼まれたが、あとは、他の参加者のプレゼンを聞くセッションと、ワークショップ形式のセッションに参加することになる。ランチ、ディナーのほかに、チームビルディング(懇親行事)の時間もあるらしい。
さあ、何から始める?
出張手配の重要性
まずは、いの一番に、出張の手配である。そんなもの、事務の方や旅行会社に全部任せておけばよい、という人もいるだろうが、私は、けっこうこだわりがあるので、じっくり検討する。
ニューヨークは遠い。直行便でも飛んでも14時間である。ドアツードアでは20時間以上かかる。遠い外国での会議に参加するとなると、長時間のフライトの疲れと、時差ボケのダブルパンチをくらう。英語でハンディキャップを負っているのみならず、さらに体調面でもハンディキャップを負うことになる。アメリカ国内やヨーロッパなどから参加するメンバーと比べて、とても不利である。この、万全であろうはずがないコンディションを、会議本番までに、できるだけ回復することが大きな決め手となる。歳を取れば取るほどその重要性は増す。
私は、欧米での会議を何度も経験してきたが、いつも眠気やだるさに襲われて、思ったほどのパフォーマンスがあげられず、悔しい思いをしてきた。旅の手配の選択如何で、現地での体のコンディションは大きく違ってくる。アウェイで国際会議に参加するときの戦いは、旅の手配のときから始まっているのだ。会社での出張規定と予算の許す範囲で、移動での体力の消耗を極力押さえ、機内で十分に睡眠を取り、できるだけリラックスできるように最適なアレンジをすることである。
フライトの手配
会議の日程が決まったら、とにもかくにも、真っ先にフライトを予約する。予約が遅くなると概して料金が高くなる。特に、秋の学会のシーズンなどだと、ものすごく跳ね上がることもある。そして、直前になればなるほど、より便利な時間帯の便や、よりよい条件の座席の空席がどんどん少なくなってゆく。
旅程
まず、旅程は、ニューヨークへの直行便ならば、便によっては、月曜日に出て、同日のディナーに間に合うように現地入りすることも不可能ではない。しかし、可能ならば、少し余裕を持って前乗りし、多少自腹の支出になろうとも、土曜日か日曜日にはニューヨーク入りして、時差ボケを少しでも緩和させたい。
飛行ルート
直行便か、乗継便か。乗継便のほうがお安いこともあるが、もし予算が許すのであれば、断然、直行便一択である。乗り継ぎで体力を消耗している余裕はないし、万一、乗継便に乗れなかったりしたら最悪だ。ロストバゲージの確率も高まってしまう。
航空会社の選択
これも重要である。ビジネスクラスであれば大抵ゆっくり休めるが、航空会社と機材によって、リクライニングの角度が異なったりして、快適度は大きく異なる。JALとANAの、パーティションで仕切られ、座席がフルフラット仕様になるビジネスクラスに乗れればラッキーである。また、エコノミークラスであっても、マイレージで上級会員になっているアライアンスに属している航空会社を選ぶと、待ち時間にラウンジが使えて体を休められ、チェックイン、荷物のピックアップに時間を節約できて大変ありがたい。
座席の選択
14時間の長旅である。自分の好みの座席を確保できるかどうかが、リラックスの度合いに直結する。私の場合は、好きなときに隣席の乗客に気兼ねなくトイレに立ちたいため、いつも、通路側一択である。最近ではビジネスクラスでは全席通路に面しているエアラインも増えてきて、嬉しい限りである。
なお、エコノミークラスの飛行機で、3-4-3(ABC-DEFG-HJK)という座席配列のときは、私は、通路側は通路側でも、CでもHではなく、DかGを狙う。何故なら、Cの座席であれば、AとBの人がトイレに立つとき、私が席を立って通してあげなければならない。これでは眠りが妨げられる。Dの座席であれば、Fの人はふつうG側から出入りするだろうから、通してあげるべき人はEの1人だけである。そうするとかかる手数は半分で済む。それに、頭上のコンパートメントも、Cの乗客よりもDの乗客のほうが、自分の座席の真上のスペースをゲットできる確率が高くなると思うのだ(同じスペースを狙っているライバルの数が、ABの乗客2名か、Eの乗客1名かの違い)。
また、可能であれば、できるだけ前方の座席を選ぶ。いうまでもなく、着陸したら早く機材から下りて入国審査に迎えるし、エコノミークラスの後ろのほうは、団体ツアー客の皆様が多くて、宴会のような状況になっていて、騒がしいことも多いからである。
ホテルの手配
同じ理由で、ホテルの手配も大変重要である。
立地
会議場まで公共交通機関を使うときは、交通の便がよいこと。ただ、ヨーロッパなどでは、鉄道駅に近いエリアは治安がよくないこともあるので、事前に十分リサーチをする。タクシーに乗れるのであれば、それほど関係ないかもしれない。私は、基本女一人で行動するし、別稿で書いたように、外国で朝ジョギングをしたいので、ホテルの周囲の治安には特に気を付けている。
グレード
治安の面からも、クオリティの面からも、ある程度のグレードは確保したい。最低でも3つ星以上、できれば4つ星以上。ベッドや枕の質がよくないと、睡眠の質も下がり、翌日の国際会議でのパフォーマンスに影響する。4つ星クラス以上のホテルであれば、ジムやプール、エステなどの施設があることも多く、長丁場になるときにはリフレッシュになる。
部屋のタイプ
ホテル予約の際には、こだわるポイントをリクエスト事項として伝える。私のこだわりは、まず、第一に、バスタブ("bathtub")である。私は、毎日、朝と寝る前に、シャワーだけではなく、お風呂に首までつかって入浴をしたい人である。欧米人にはシャワーで済ませ、入浴しない人も多いようである。だから、海外では、高級ホテルであっても、部屋にバスタブがなく、シャワーブースだけの場合も結構多い。でも明確にリクエストをすれば、大抵は、空きがあれば手配してくれる。
私は、海外出張のたびにバスタブをリクエストしていていて、入浴の習慣のない外国人の同僚たちから珍しがられていた。だから、泊りがけの会議で、朝、彼らから受ける挨拶は、「おはよう、サザヱ。お風呂入ったかい?("Did you have a good bath"?)」である。まるでドリフターズである。ふつうは、「よく眠れたかい("Did you have a good sleep?")」なのにね。
また、エレベーターから遠い、静かな部屋を希望する。騒音で眠りを妨げられないためである。さらに、タバコが苦手なので、ノンスモーキングルームを必ずリクエストする。もっとも、最近は、喫煙可能な部屋はかなり減ってきているようだが、念のために書いておく。
現地での交通手段の手配
これも、現地であたふたして、貴重な体力を使わないように、できるだけリサーチして、準備しておく。タクシーなど、予約できるものは事前に予約していく。空港についたらネームカードをもって迎えにきてもらえるのが、タクシー待ちの長い列に並んで疲弊するよりずっと良い。
荷物づくり
また、空気や水や食べ物が違うと、喉が痛くなったり、おなかの調子が悪くなったり、肌が荒れたり、髪がパサパサになったりする。アウェイの地でできるだけ普段通りに戦えるよう、出張荷物は厳選する。
・・・と、このまま続けてきたいところだが、旅の荷物づくりについては私なりのこだわりが沢山あるので、長くなりそうだ。このままいくと、まるで「旅ブログ」みたいになってしまい、なかなか本題の「国際会議の英語」に入れなくなりそう。ということで、それはまた別稿で書いてみたい。
以上、出張の手配について長々と書いてしまったが、要は、出張の手配の段階から、勝負は始まっている、ということが言いたかった。次回から、いよいよ英語でのプレゼンの準備のことについて書いていきたい。
※本シリーズの次の記事はこちら↓です。
※本シリーズの前の記事はこちら↓です。
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