【温泉】奥津温泉「奥津荘」(岡山県鏡野町)
今日ご紹介する温泉は、岡山県鏡野町の奥津温泉の老舗旅館「奥津荘」さん。
こちらのお宿は、国の有形文化財に指定されている。本館の建築は、昭和2年にさかのぼる。また、こちらのお湯の歴史はさらに古い。江戸時代、津山藩の初代藩主である森忠政が、こちらのお湯を気に入って鍵をかけたことから「鍵湯」と呼ばれた。そのほかの偉人達にも愛されたようで、第29代内閣総理大臣であった犬養毅や、世界的版画作家であった棟方志功も、こちらのお宿を贔屓にしていたという。
2024年の晩秋に、こちらに2食付きで1泊したときのお話だ。
外観
こちらが、お宿の外観。木造総二階建。唐破風の玄関が堂々としている。


夜の佇まいも美しい。


お宿の向かい側にも、木造の古民家があり、そちらで食後のドリンクサービスを提供している。


館内
玄関をくぐると、すぐにお宿の方が出てこられ、ラウンジに案内された。明るく、木材の温かみを感じられる素敵な空間だ。

こちらで、抹茶とお菓子でのおもてなしを受けた。濃い抹茶がおいしい。

館内は、レトロな風情そのままに、上手にお手入れされている。





夜のしっとりした風情も、また良い。


客室(「桜」)
私達が宿泊したのは、1階の「桜」というツインベッドのお部屋だ。リニューアルされたばかりということで、とてもきれい。

広縁の大きな窓から渓流を臨むこともでき、清々しい気分になる。

洗面所もきれい。その奥には、源泉かけ流しのお風呂がついている。


浴槽はひとりサイズだが、ゆっくり浸かれる大きさだ。

こちらの源泉投入口から、24時間、絶え間なく源泉が投入されている。なんという贅沢!

浴衣に丹前、タオルに靴下。そのほか、各種アメニティーも揃っていた。


温泉
こちらの浴室は4つある。それぞれ、「鍵湯」「立湯」「泉の湯」「川の湯」という名前がついている。
そのうち「鍵湯」と「立湯」は、温泉マニア垂涎の、足元湧出のお湯だ。お宿のすぐそばを流れる吉井川の川底の温泉湧出部分に浴槽を造っているため、底の岩(花崗岩)は、現在でも、川底と一枚岩として繋がっているという。足元湧出の温泉施設は全国でも少なく、湧きたての空気に触れる前のフレッシュな温泉に入れるのは、とても貴重なことだ。
残りの「泉の湯」「川の湯」は、足元湧出ではないが、同じお湯を使った浴室で、24時間、貸切風呂として使える。空いていればいつでも、内側から鍵をかけて使うことができる。
以上の4つの浴室のうち、「鍵湯」「立湯」「泉の湯」は、こちらの階段を下った先にある。さあ、早速行ってみよう!

階段も壁も、レトロでカラフルなタイルで覆われている。

鍵湯
まずは、最も人気のある浴室である「鍵湯」。上述の森忠政が鍵をかけたというエピソードにちなんだ名前の浴室だ。足元湧出のお風呂で、複数人でゆっくり浸かれるサイズだ。男女交替制で、この日は、20:00から翌8:00までが女性用となっていた。




無色透明、無味無臭。やわらかで滑らかな肌触り。ふんわりとハグをされているような心地よさを感じる。後述のとおり高アルカリ性なのに、ぬるぬる感は、それほど感じられなかった。時折、下からぷくぷくと気泡が上がってくるのを眺めていると、いつの間にか時間を忘れ、無我の境地に入る・・・。
立湯
そして、同じく、足下湧出の浴槽のある「立湯」。自然の岩のくぼみを活かして作られた浴槽で、最大120センチの深さがあり、その名のとおり、立ったままで入浴する。2名くらいのサイズだ。上述の鍵湯と男女入れ替え制になっていて、この日は、20:00までと翌8:00以降が女湯になっていた。




鍵湯同様、素晴らしいお湯。立って入るのも、また味わいがある。ただ、深さがかなりあり、岩もゴツゴツしていて、お年寄りは注意が必要かも。
泉の湯
そして、貸切風呂のひとつ「泉の湯」。

仄暗い浴室内の壁には、ステンドグラスが設えられている。「鍵湯」「立湯」のようなゴツゴツした岩造りではないので、安心して入れる。なんとも落ち着く空間だ。湯量も豊富だった。

飲泉所
この地下のエリアには、休憩スペースがあり、そちらに飲泉所も設けられていた。まろやかな味で、いかにも体に良さそうだ。


川の湯(貸切)
最後に、もうひとつの貸切風呂「川の湯」。こちらは、上述の3つのエリアとは建物の反対側の、1階の食堂の近くにある。

その名のとおり、浴室のすぐそばに吉井川が流れている。大きな窓から山と川の眺めを楽しむことができる、なんとも素敵な造りだ。

温泉分析書など
こちらの温泉の泉質は、アルカリ性単純温泉。PH値は9.3。泉温は適温の42.6度、湧出量は、1分あたり247リットルという豊富さ。まるで神様が配合したかのような、奇跡のコンディションだ。これほどの極上のお湯を足元湧出や源泉かけ流しでたっぷり味わえるとは、感動ものだ。



食事
夕食
夕食は、お食事処で、18:00または18:30から開始。一品一品手の込んだ、美しく美味しい和食のコースだ。



そして、こちらは、作州名物「そずり鍋」。牛肉の「そずり肉」を使った鍋だ。

岡山観光WEBによると、そずり肉とは骨の周りの肉のことだ。マグロの中落ちのように、骨からそぎ落として使う。そぎ落とすことを、津山地方の方言で「そずる」ということから、こう呼んでいるそうだ。しっかりした味わいで美味しかった。
さらに、コースは続く。



どれも上品なお味で、量も多すぎず、ちょうど良い腹具合で食事を終えた。
そしてその後は、向かいの古民家で、セルフの無料ドリンクサービスを利用させていただいた。ワインも複数選ぶことができた。落ち着いた空間で、同行者とともにゆっくりと話ができた。
朝食
朝食は、お食事処で、8:00または8:30開始。渓流に面したお席で、清々しい雰囲気のなか、身体に優しいバランスの良い和朝食をいただいた。


総じて、大満足の滞在となった。お宿は歴史ある建物を上手に改装、整備されており、大変快適に滞在できた。お風呂は期待どおり素晴らしく、極上のお湯のおかげで、私も同行者も、ぐっすりと深く眠ることができた。
サービスも素晴らしかった。スタッフには若い方が多いようだった。きびきびと働いていらっしゃり、明るくハキハキしていて、とても気持ちの良い接客だった。到着後のお抹茶や、別棟の古民家での食後のドリンクサービスなども嬉しかった。公式サイトには英語版もあり、インバウンド対応もしているようだ。実際、この日もインバウンド風の外国人グループと一緒になったが、彼らのマナーは良かった。料金はお高めではあるが、これだけのクオリティーを考えると、妥当だと思った。
是非また季節を変えて伺ってみたい。そして、これだけの歴史ある建物や浴室を活かしながら、末永く営業を継続していただけるよう願っている。
いいお湯でした。お世話になりました!
こちらのお宿の公式サイトはこちら。
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