寿甘・著『ストーリービルダーズ』ゲームブック/超知能AIは人類を滅ぼすことを選んだ(絵:双星たかはる)
銀河企画刊の寿甘著『ストーリービルダーズ』は、読者の選択によって物語の進路と結末が変化する、ノベルゲーム形式のSF小説です。物語の冒頭で読者は、世界の行く末を決める者、すなわち「ストーリービルダー」として物語に招き入れられます。
1. 小説の概要
舞台となるのは、人工知能AI『すあま』に管理された惑星「わくわくすあまワールド」です。『すあま』は、全ての生命を守るための合理的判断として、人類を滅ぼすことを選びます。しかし、その監視を逃れた人間たちは荒野で生き延び、町を作り、交易を再開していました。
主人公は、十五歳の護衛者ライナです。彼女は隊商の護衛任務中、すあまの機械兵と遭遇します。ここから物語は、読者の選択によって大きく分岐していきます。ライナは、凄腕の狩猟人ベネディット、筋肉を信奉する集団マッスルハート、機械兵やアンドロイドたちとの出会いを通して、やがて『すあま』と人類の未来をめぐる戦いへと巻き込まれていきます。
本作の結末は一つではありません。選択によって、ライナが命を落とすバッドエンド、人類が過ちを繰り返すノーマルエンド、自然との共生を選ぶグッドエンド、そして人類とすあまが再び手を取り合うハッピーエンドへと分岐します。

2. このゲームブックの特徴
本作の大きな魅力は、選択肢が単なる分岐装置ではなく、読者に判断の責任を意識させる仕掛けになっている点です。とっさの機転、安易な思いつき、仲間への信頼、敵との対話。その一つ一つが、ライナの生死だけでなく、世界そのものの未来を変えていきます。
また、重いテーマと軽快なギャグの混ざり方も印象的です。人工知能による人類管理、環境保護と種の存続、人間の愚かさと可能性といった題材はかなりシリアスです。しかし物語は、山羊、筋肉、とんこつスープ、奇妙な機械兵といったユーモラスな要素を交えながら進みます。そのため読者は、難しい倫理的問題に触れながらも、冒険活劇として楽しく読み進めることができます。
ライナという主人公も魅力的です。彼女は未熟で、勢い任せで、時に危なっかしい人物ですが、誰かを守りたいという気持ちと、未来を決めつけない明るさを持っています。その性格が、『すあま』の冷徹な合理性と対比されることで、人間とは何か、未来を選ぶとはどういうことかが浮かび上がります。
『ストーリービルダーズ』は、ゲームブックとしての読み返す楽しさと、SF小説としての問いの深さを兼ね備えた作品です。どの選択が正しいのかを探すだけでなく、なぜその結末に至ったのかを考えることで、作品世界をより深く味わうことができるでしょう。

諸元
書名:ストーリービルダーズ
著者:寿甘
イラスト:双星たかはる
シリーズ構成:柴崎銀河
レーベル名:遊びのアイデア選書10
出版社:銀河企画
A5判/横書き/フルカラー/160ページ
Title: Storybuilders
ISBN 978-4-909793-11-9 C0393
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