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「レスキューロボ大作戦!」当日レポート──名古屋国際工科専門職大学と市邨高校の学生・生徒が先生役を務めました

2026年7月29日(水)、名古屋国際工科専門職大学の学生と市邨高校の生徒が、防災体験イベント「つくって!走らせて!レスキューロボ大作戦!」の初日を実施しました。会場は、株式会社名鉄スマイルプラスが運営するTELACO藤が丘校です。当日の様子を報告します。

《PDFでの簡易版報告書はこちら》

イベントの内容

子どもたちは、自分のレスキューロボットをつくり、段ボールで立体的に再現したまちの上で走らせます。水やがれきに見立てた危険をよけながら避難所を目指すことがミッションです。
準備の様子はこちらをご覧ください。

企画・運営を担当したのは大学生と高校生

企画と運営は、名古屋国際工科専門職大学の4年生が担当しました。大学のカリキュラムである臨地実務実習の一環として、企画づくりから当日の進行までを学生が進めています。当日は市邨高校の生徒もスタッフとして参加し、高校生・大学生・企業が同じチームで小学生に教える高大連携の体制で実施しました。
開始前には、使う道具と進行の手順を全員で確認しました。

開始前の打ち合わせ

機材の動作確認も一つずつ行いました。

機材の状態を確認

ロボットは参加人数分を用意し、コントローラーの配線と材料の仕分けを開始直前まで進めました。

人数分のレスキューロボットを準備


ロボットのデコレーション

子どもたちが集まったあと、大学生が当日の流れを説明しました。

大学生が当日の流れを説明

高校生も各テーブルに入り、組み立ての手順を実物で示しながら進めました。

高校生が組み立ての手順を実演

ロボットの外装には、白い紙の箱と段ボールのパーツを使いました。子どもたちはマーカーで色をぬり、シールを貼って、それぞれのデザインに仕上げていきました。組み立てにはmakedoを使っています。ねじ込むだけで段ボールを固定できるため、刃物を使わずに子どもだけでも作業できます。

マーカーとシールでデコレーション


手順シートを見ながら組み立てます

同じ材料を配っていますが、できあがったロボットはすべて違う形になりました。

完成した外装をロボット本体に取り付けます


操縦の仕組み

走行部分には、タミヤの「楽しい工作シリーズ No.108 タンク工作基本セット」のキャタピラを使っています。キャタピラを駆動する左右のモーターにはTTモーターコネクターを接続し、これをスクーミーのオレンジボードにつないでいます。
操作側は、段ボール製のコントローラーに取り付けたフェーダーコネクターを2個、同じくオレンジボードに接続しました。フェーダーを動かすとその位置がオレンジボードに入力として送られ、値に応じて左右のモーターが回ります。コントローラー本体の組み立てにもmakedoを使っています。

段ボール製のコントローラー。フェーダーコネクター2個で左右のモーターを別々に動かします

左のフェーダーが左のキャタピラ、右のフェーダーが右のキャタピラに対応しており、両方を前に倒すと前進し、片方だけ倒すとその場で向きが変わります。左右を別々に動かす操作には慣れが必要ですが、子どもたちは何度か試すうちに思った方向へ動かせるようになりました。

立ったまま操縦する子どももいました


防災ミッションマップ

ロボットが完成したあとは、床に広げた防災ミッションマップで走行しました。このマップは、段ボールを等高線に沿って切り出し、積み重ねてつくっています。
地図部分は、東京カートグラフィック株式会社 技術開発部企画室 主任技術者/地図地理エンタメプロデューサーの村松様にアドバイスをいただいて作成しました。実際の地形をどのように読み取り、立体に落とし込むかについて助言をいただいています。

《東京カートグラフィック様のプレスリリースはこちら》


段ボールを積層してつくった立体の地形

マップは色で危険を判別できるようにしました。
- :海・川・浸水エリア
:高台・安全なエリア
:がれきなどの危険エリア

白い線で描いた道をたどりながら、避難所を目指します。散らばった段ボールの小片は、道をふさぐがれきを表しています。坂をのぼり、がれきをよけて高台の避難所に向かうコースです。キャタピラ式のため、凸凹のある地形でも走行できます。

高台の頂上には避難所を示す旗を立てています


2台のロボットが同時にマップを走行


走行中に起きたこと

走行中は、がれきに乗り上げて止まったり、急な坂をのぼりきれずに下がったりする場面が何度もありました。そのたびに子どもたちは、いったん後退して別のルートを探したり、助走をつけて坂に挑んだりして、進み方を変えていました。危険をよけて安全な道を選ぶという防災の考え方を、実際の操作を通して確認できたと考えています。

うまく進まないときは高校生・大学生が一緒に考えます


複数のチームが同時にマップ上を走行しました


大学生・高校生と子どもたちの関わり

小学生がロボットをつくって走らせ、大学生と高校生がその補助にあたり、企業が素材と技術を提供する形で当日を運営しました。立場の違う参加者が同じマップを囲んで作業する場になりました。

大学生が子どもたちと同じ目線で操作を確認します


マップを囲む子どもたちと大学生・高校生


ミッションクリアの認定証

すべてのミッションをクリアした子どもには、その場で認定証を渡しました。「あなたは、すべてのミッションを見事にクリアしました。その勇気とがんばりをたたえ、ここにジュニアレスキュー隊として認定します」という文面で、漢字にはふりがなを振り、低学年でも自分で読めるようにしています。差出人は「つくって!走らせて!レスキューロボ大作戦! スタッフ一同」としました。

走行がうまくいかない場面を自分で乗り越えた結果として、手元に残るものがあります。当日の体験を家庭で話すきっかけになればと考えています。

高校の地理・情報への展開

このフィールドマップは、地形図の等高線に沿って段ボールを切り出し、積層してつくっています。平面の地形図から立体を復元する作業であり、高校の授業に接続できると考えています。

地理:地形図・等高線・都市地理

「地理総合」「地理探究」では、地形図から尾根と谷を読み分け、等高線の間隔から斜面の傾きを判断します。都市地理の視点では、その地形の上に市街地や道路・鉄道がどのように広がり、人がどこに集まり、避難所がどこに置かれているかを読み取ります。
立体マップをつくる作業は、この読図を実物に置き換えたものです。等高線の間隔が狭い場所は段ボールが密に重なり、そのまま急斜面になります。地形図の上では記号として扱っていた起伏が、ロボットが登れるかどうかという結果として現れます。

情報Ⅰ・情報Ⅱ:走行データの取得と分析

オレンジボードにセンサーコネクターを追加してロボットに載せると、地形を数値として記録できます。傾き、走行距離、明るさ、温度などを取得し、整理・可視化して考察する流れは、「情報Ⅰ」のデータの活用、「情報Ⅱ」のデータサイエンスやモデル化・シミュレーションの内容と重なります。
- どの斜面で速度が落ちたか:傾斜角とモーターの負荷の関係を測定する
どのルートが妥当か:距離の短さと通行の難しさを数値で比較する
地形図の読み取りが正しかったか:等高線から予想した傾斜と実測値を照合する

地理で読み取った内容を、情報で取得したデータによって検証できます。ひとつの地形を2つの教科から扱える点が、このマップの利点だと考えています。

地域連携

扱う地形を自分たちのまちにすれば、この学習は地域の課題に接続します。自治体が公開している地形図やハザードマップをもとに高校生がマップを設計し、走行して得たデータを地域や行政に共有する形が考えられます。地図の専門家や自治体、地元企業と一緒に検証まで行えば、教室内で完結しない探究学習になります。高校生が地域の防災に当事者として関わる形まで含めて、今後の設計を進めます。

ロボにセンサーを乗せてデータ取得

今後のミッション拡張──センサーで「探す」

今回のミッションは、危険をよけて避難所を目指すという走行だけで構成しました。次の段階として、ロボットにセンサーを搭載し、「探す」要素を加えることを検討しています。

磁気センサーで鉱物を探す
フィールドマップ上の障害物に磁石を仕込んでおき、ロボットに磁気センサーコネクターを搭載します。マップ上を走りながら反応のある場所を探していくことで、鉱物探索に見立てたミッションになります。見た目では区別できないものを、センサーの値の変化から見つけ出す形です。

音センサーで音源を探す
マップのどこかにスピーカーを置いて音を鳴らし、ロボットに音センサーコネクターを搭載します。音が大きくなる方向へ進んでいくことで、がれきの下から助けを呼ぶ声を探す救助活動に近い体験になります。

いずれも、キャタピラ部分に追加で別のオレンジボードを用意して、コネクターを追加するだけで構成できます。走行の操作に加えて、センサーの値を読み取って判断するという要素が入るため、学年に応じて難易度を調整しやすくなります。取得した値を記録すれば、後述する情報Ⅰ・情報Ⅱでのデータ分析にもそのままつながるのではと検討しています。
今後もこの形式での事例を検討していただきたいと思います。

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