見出し画像

専門家が作る教材が、往々にして失敗する理由

こんばんは、サイエンクリアです。

今回は、専門家が作る教材が、往々にして失敗する理由についてお話しします。

世の中には、不思議な現象があります。
その分野の「一流の専門家」が作った教材ほど、なぜか初心者には分かりにくいことが多い。

これは能力の問題ではなく、むしろ逆です。
優秀すぎることが原因で、教材が壊れてしまうのです。


■知識が増えるほど、「分からないポイント」が見えなくなる


人は、何かを長年やり続けると、その分野の思考が「自動化」されます。

・ここは説明しなくても分かる
・これは前提知識として共有されている
・この程度で躓くはずがない

こうした判断が、無意識に入ります。

しかし、初心者は違う。

どこが分からないのかすら、分からないのです。

この状態からスタートしています。

専門家は「山の頂上」から景色を見ているが、初心者は「登山口」ですら迷っている。
この 視点の高度差が、そのまま教材の分かりにくさになります。


■多くの教材は「作者の現在地」から説明してしまう


専門家が教材を作るとき、ついこうなります。

「自分が今、どう考えているか」

を基準に構成してしまう。

しかし、これは本質的に間違っています。

本当に必要なのは、

「自分がかつて、どこで躓いていたか」

という過去の視点です。

良い教材とは、知識の多さではなく、

初心者の認知の不完全さを、どれだけ正確に再現できるか

で決まります。


■良い教材を作れるのは「初心者の思考を再現できる人」


皮肉なことに、

「その分野が一番できる人」

が、

「一番うまく教えられる人」

とは限りません。

本当に良い教材を作れるのは、

・自分の思考を分解できる人
・「なぜ分からないか」を言語化できる人
・「最初はどこで混乱するか」を想像できる人

つまり、

自分を客観視できるタイプの専門家

です。


■教材の質は、知識量ではなく「視点の設計」で決まる


情報量を増やせば、教材は良くなります。
これは半分正しくて、半分間違っている。

本当に重要なのは、

「どこから」「どの順番で」「どこまで見せるか」

という視点の設計です。

・最初は単純化する
・後から例外で壊す
・不要な情報は一旦捨てる

この設計がない教材は、どれだけ正しくても「読めない」。


■専門家である前に、「翻訳者」であれ


良い教材を作る人は、単なる専門家ではありません。

専門知を、初心者の言語に翻訳できる人

です。

知識を持っていることと、
それを他人の理解可能な形に変換できることは、まったく別の能力です。


■だから、私は教材の作り方に異常にうるさい


私は、

・最初は単純化する
・構造を先に見せる
・後から例外で壊す
・試験用の世界と現実の世界を分ける

こうした設計思想を、意図的に使っています。

なぜなら、

「分かる」体験は、才能ではなく設計で作れる

と確信しているからです。


■最後に


良い教材とは、

「どれだけ知っているか」ではなく
「どれだけ相手の視点に降りられるか」


で決まります。

そしてそれができる人は、往々にして、

静かで、自己主張が少なく、構造を重視するタイプ

だったりします。

私は、そういう教材を作りたいと思ってこのプロジェクトに取り組んでいます。

「わからない」を「なるほど」に。


▼自己紹介はこちら

いいなと思ったら応援しよう!

サイエンクリア この活動は「暗記ではなく構造理解」で合格率を上げる教材作りに使っています。応援は図解の強化、誤解されやすい論点の補足、教材の精度向上に還元します。