名詞の不可算・可算(単数・複数)⑤-3:限定詞2{CU&冠詞&形容詞(句)複合問題}
副題:可算不可算の理想と現実(英文法の理想と現実)
名詞の不可算・可算(単数・複数)[UC(SP)]の深掘り版18
今回も「いわゆる限定詞の深掘りへの挑戦」の第2弾です。名詞の不可算・可算(単数・複数)と冠詞(無冠詞/ゼロ冠詞・定冠詞・不定冠詞)が複合的に絡み合っていることに加えて、数・量の概念やそれを表す形容詞・形容詞句も含めた整理が必要で、全体像を正確に理解するのがかなり困難な文法項目(そもそも学術的な整理も未完成)。限定詞という用語を高校時代に習った人もいれば習わなかった人もいるようで、個人差・学校差があることも説明をさらに難しくしている要因です(しかも高校では分類するだけで、何故そうなるのかの深掘り解説はほぼなかったはず)。前回は不定冠詞と定冠詞を中心に考察し、「限定詞は名詞句の先頭に置かれる」原則の例外についてもご紹介しましたが、今回はもっと範囲を広げて考えてもらいます。
学術的には、「限定詞」は生成文法の主流である限定詞句仮説(DP hypothesis)を理解するのに必要な概念だと言われます。しかし、冠詞を「名詞そのものよりも重要な名詞句の中心(学術的に言うと"head")」と見るか、「形容詞のような修飾語」と見るか、現時点ではまだ最終結論が出ているとは言えない状態。言語学の奥深さを感じられる点であるとともに、言語学が未完成である証拠とも言えます。押さえておくべき重要ポイントは、限定詞の中心メンバーである定冠詞・不定冠詞はどちらも英語史において古英語期には確立されていなかった概念で、中英語期になって導入されたものであるという点。現代でも言語学的に不確定要素がまだ残っているのも、ある意味で当然と言えるかもしれません(厳しく言えば「付け焼き刃」:あくまで私の個人的な見方ですが)。
この記事に対するコメントは不要で、ご質問はUNIPAのQ&Aからお願いします。
ご興味のある方は、以下のWikipedia記事もご覧ください。当然かもしれませんが、英文法に関しては日本語版よりも英語版のほうが詳しく解説されています。
今回の検証内容
❶ 限定詞[determiner]とは何か?:限定詞の本質とは?(さらに深掘り)
❷ 限定詞の演習:分類と整理(学校英語の範囲外の限定詞を追加)
数・量を表す形容詞(句)を追加(many, much, a number of, a lot of, etc.)
❸ 限定詞は互いに排他的:限定詞を整理するのに重要な視点
冠詞2つは明らかに排他的、その他は理論よりも実例・慣例が根拠
(したがって、改めて言われないと排他性が理解不能かも)
同じ単語でも品詞が違うと限定詞か否かが変わる難しさも:whatの例
※今回の記事では、限定詞分類リストに項目を追加して、さらに深掘り
学校英語の復習+αを再掲示
❻限定詞
0. 冠詞の基本
a. 名詞の前に置き、後に続くその名詞の文法的な性質を左右する言葉
b. 不定冠詞・定冠詞(・無冠詞)は互いに排他的
c. 冠詞以外にもab両条件を満たす単語群をまとめて「限定詞」と呼称
1. 限定詞:原則、1つの名詞に限定詞は1つだけ(例外あり)
a. 冠詞と一緒に使えない単語群を分類
(1)冠詞そのもの:不定冠詞a/an・定冠詞the・無冠詞(見えないが冠詞の一種)
(2)指示語:this/these, that/those
(3)代名詞・人名の所有格:my, your, his/her, our, their, its, Tom'sなど
(4)不定代名詞:some, any, every, each, another, either
(5)数字を表す語:one, two, three, etc.
一般に、限定詞に含まれる語としてリストアップされているもの(Wikipediaなどをご参照ください)を多少修正しております。冠詞をベースにしているため、「名詞そのものではなく名詞を修飾する単語・フレーズ」という点を考慮に入れた分類になっております。
(1)冠詞そのもの:不定冠詞a/an・定冠詞the・無冠詞(見えないが冠詞の一種)
(これが入ることに異論がある人はいないはず:限定詞の出発点)
(2)指示形容詞:this/these, that/those
(指示語だと形容詞か名詞か曖昧、指示限定詞には後付け感)
(3)代名詞・人名の所有格:my, your, his/her, our, their, its, Tom'sなど
(所有代名詞mine, yours, his, hers, ours, theirsは除外、人名も同じ)
(4)数量形容詞:some, any, every, each, another, either, no, neither
(不定代名詞ではなく数量形容詞)
(5)数字を表す語:one, two, three, etc.
以上は一部修正や説明を追加した項目、以下は項目自体を追加
(6)疑問形容詞(which, what, whose):「名詞の前に置き、他の限定詞と排他的」
(疑問形容詞ではなく疑問限定詞と呼ぶ場合も)
"What a play!", "What a ballgame!"等の感嘆文ではwhatとaが共起可能
(7)特殊な形容詞:all, both, half, double, triple, twice, many, much, enough
(省略される言葉があったりすることで、文法的な整理・分類が混乱)
(8)数量形容詞句:lots of (a lot of), few (a few), little (a little), a number of
("a lot of", "a few", "a little"のaは冠詞と呼んでいい? "a little"は可算?)
今回は複雑なので問題作成はパスし、前記事の問題を以下に再掲示
問題1:原則、不定冠詞a/anと共起できないものを以下から選択
(この場合、共起できない=ofを含まない名詞句の前に一緒に並べて使えない)
① the ② this/these ③ that/those
④ some ⑤ any ⑥ one ⑦ two以上
⑧ my等の所有格
⑨ many ⑩ much
⑪ other ⑫ another
問題2:原則、定冠詞theと共起できないものを以下から選択
(この場合、共起できない=ofを含まない名詞句の前に一緒に並べて使えない)
① a/an ② this/these ③ that/those
④ some ⑤ any ⑥ one ⑦ two以上
⑧ my等の所有格
⑨ many ⑩ much
⑪ other ⑫ another
問題3:以下は、形容詞が例外的に限定詞(冠詞)の前に出る表現として有名
ある単語が省略されていると説明されることが多いのですが、それは何?
① all the people ② both my parents
③ half the time ④ half a mile
⑤ double/twice the size
限定詞は学校英語の範囲なのか微妙で、ここでリストアップしたもので全てではありません(Webで検索可能)。今回の記事の問題1と問題2(不定冠詞a/anと定冠詞theの比較)は、共起できない相手が違う点が重要(実は定番説明にやや欠けている視点と言っていいかも)。
いわゆる学校英語や学術英語で整理しきれていない部分を考えてもらうための教材、面白いと思っていただけると幸いです。
授業ではちゃんと解説しますが、一般公開はここまで。あちこちにヒントを散りばめてあるので、非受講生の方は辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。
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