Nameless第43話 ポルトガルからの贈り物と新たな挑戦
よしたか(喜多川吉隆)は、ポルトガルから横浜の関内自宅に帰ってきた。現在の時刻は夜8時49分、旅の疲れを癒すように丁寧に淹れたコーヒーの香りが部屋に漂う。
出版社社長として世界中を旅し、オーサーを探すライフワークを続けるよしたかは、ポルトガルの農園のバックヤードで偶然出会った若手詩人の恋愛叙事詩に心を奪われていた。初恋のウタだな。吐息に混ざって呟きはコーヒーの湯気に溶ける。
帰国後、すぐに出版チームに連絡を取り、その詩をビジュアルブックとして出すことを決定した。
文芸畑で育った自分が、裾野の広いビジュアルブックに挑戦するとは驚きだったが、コンフォートゾーンを出るのも悪くないなと、彼は新鮮な感覚を味わっていた。
全てを終えると、よしたかは恋人の桜子(西川桜子)に会うため、横浜の彼女の自宅へ向かった。
シングルマザーでnote作家の桜子は、食育やジュエリーに情熱を注ぎ、よしたかとの日常を詩やショートショートに綴っていた。すっかりハマり、もうすぐ作品全体で1,000いいねなのよと笑う。
よしたかは、彼女のために旅の合間に探したお土産を手に持っていた。
ポルトガル伝統の美しい食器と、ポルトガル人アーティスト・ルイーザ・ロザスの「BE」という指輪だ。
BEは細胞の構造からインスピレーションを受け、細胞を再構築する事によって新しいデザインを作り上げるシリーズ。
シンプルかつ洗練されたデザインで、再構築、という単語が、一度元配偶者との別れを経験したのち新しい人生を歩む桜子の感性にぴったりだと感じた。
桜子はよしたかからプレゼントを受け取り、目を輝かせた。「よしたか、ポルトガル食器も指輪も…世界を旅する恋人が現地でしか買えないジュエリーを買ってきてくれて、私、蓬莱の玉の枝を貰ったかぐや姫みたい!」と、顔をくしゃくしゃにして喜びを爆発させた。
よしたかはその無邪気な笑顔に心を温め、「君が喜んでくれるなら、旅の疲れも吹き飛ぶよ。
ビジュアルブックも、君の詩と一緒にイメージしてるから、見てほしいな」と優しく答えた。
二人はよしたかが買ってきた食器にNamelessコーヒーを注ぎ、ルイーザ・ロザスの指輪を眺めながら、ポルトガルの恋愛詩と未来の創作について語り合った。
よしたかの新たな挑戦が、桜子との絆をさらに深める一夜となった。
