ゴールドコーストの沖200km、海鳥調査!その1
2025/3/12~14に、船上3泊の日程で海鳥調査に参加してきました!
場所はオーストラリアのゴールドコーストの沖200km、クイーンズランド海山と呼ばれるエリアです。船上泊ができる定員は6名です。現地の調査チーム4名とともに、夫氏と私も参加させてもらい、海鳥の分布を調べるお手伝いをしてきました!
今回は、船上生活とウミツバメ類にフォーカスしてご紹介します。
3/12(1日目)
この日は海山のエリアまでの移動日です!
普段は夕方に出港するそうですが、直前までのハリケーンの影響により、航路上に流木など障害物がある可能性があるため、少し早めの15時半ごろ出港しました。
船はGrinner Ⅱ!

長さ14m、幅4m、船室やキッチン、シャワーもあり、乗客6名までなら宿泊もできます。
私たちは二人組だったので、クイーンサイズくらいの広々ベッドの船室を使わせて頂きました。
ほかの方々は、二段ベッドで寝ていたり、甲板にビーズクッションを出して寝たりしていました。


50年ぶりにオーストラリア東海岸に上陸したサイクロンAlfredが直前まで居座っていたことにより、海は茶色く濁っていました。心配していた流木などの漂流物はそれほどなさそうで安心しました。
外洋に出る前には、オオアジサシやコアジサシ、オオソリハシシギなどが干潟にいるのを見ることができました。
ゴールドコースト中心部や、サーファーズパラダイスのビル群が遠くに見ながら、船はぐんぐんと沖へ進んでいきます。

サイクロンの雨の影響で海は茶色くなってしまっていた

沿岸で見られた海鳥は少なく、オナガミズナギドリ(Wedge-tailed Shearwater)とニュージーランドミズナギドリ(Hutton's Shearwater)が少し見られただけで、日の入り時間となりました。
波高は1.7m程度だったものの、サイクロンの影響が残り、間隔の短い風波と間隔の長いうねりが色々な方向から押し寄せていました。基本的に船が進む方向は向かい波となるような状況で、船は上下に、時々大きく揺れていました。19時過ぎには船室で目を閉じて無理やり寝てしまいましたが、体が浮いたり、船底が波にあたってバンバンと音をたてたりして、ごく浅い眠りのまま、翌日を迎えました。
3/13(2日目)
5時半ごろ、眠たい目をこすりつつぼんやりした頭で甲板へと出ていくと、皆さんすでに観察を始めていました。
ちなみに食事は、船長さんが全て準備してくれました。サイクロンの影響でスーパーが品薄な中、準備してくださり、ありがとうございました。
朝ご飯は、コーヒーを淹れてくれ、トーストを焼いてジャムを塗ってくれます。
昼ご飯は、チキンラップサンドでした。新鮮野菜が入っていて美味しい。
夜ご飯は、船長さんの奥さんがお家で手作りしてくださったというボロネーゼパスタと、アプリコットチキンライスがあり、電子レンジで温めていただきました。美味しい!
至れり尽くせりです☕
だんだん日が高くなってくると暑くなってきます。クーラーボックスで冷やしたジュースを飲んだり、日陰で休んだりしつつ、海鳥を探していきます。
この日はとにかくウミツバメ日和でした!!
まずは、アシナガウミツバメ(Wilson's Storm Petrel)が船の周りをぴょんぴょん飛び回り、餌をとっています。

繁殖地(亜種or種)によって体のサイズが少し違うようです。3羽ほどが同時に出現した際に、1羽だけ体が大きいんじゃないか?と調査チームの方々がお話ししていました。
アシナガウミツバメを見ていると、波間からクロコシジロウミツバメ(Band-rumped Storm Petrel)が現れました!今回、ターゲットにしていた種の一つなので、我々のテンションはかなり上がりました。この海域では、2月から4月に見られることが多いようです。オーストラリア周辺には本種の繁殖地はないので、北半球から渡ってきている可能性が高いのですが、どこで繁殖しているクロコシジロウミツバメなのか…、非常に興味のあるところです。

アシナガウミツバメよりも長い翼、がっしりとした嘴で、脚は尾羽から飛び出しません。

腰の白いバンドの幅は広く見えます。

アシナガウミツバメと比較すると警戒心が強いのか、船に近寄ってくる場面は少なかったです。
クロコシジロウミツバメの分類には非常に興味があり、ハワイで繁殖する個体群も観察しにいった経験があります。ハワイで繁殖するクロコシは翼がコンパクトで嘴が小さい傾向があり、アシナガウミツバメに近い印象をもったのに対し、日本で繁殖するクロコシは翼が長く嘴もがっちりしていて、コシジロウミツバメに近い印象があります。
今回のゴールドコースト沖で観察できたクロコシは、どちらかというと日本で繁殖するクロコシに近い外見の印象でした。今後の研究の発展がとても楽しみです。
大きくて黒いウミツバメがヒラッと現れると、みんなで「Matsudaira!!」と叫びます。クロウミツバメ(Matsudaira's Storm Petrel)です。世界でも日本の南硫黄島でのみ繁殖する種で、非繁殖期にオーストラリアの北西側、インド洋では観察されることがありますが、ゴールドコースト沖では稀な種です。ゴールドコースト沖では11月から3月に記録があるそうで、クロウミツバメの繁殖期にあたるこから、繁殖に参加しない個体が飛来しているのかもしれません。

上面。体羽や風切羽は摩耗が進んでいるようです。

下面。下雨覆も摩耗や脱落があるようです。尾羽を開くと尾羽の切れ込みが浅く見えます。

日本では見ることができないような面白い取り合わせでした。クロウミツバメはやはり大きいなあと実感させられます。
アシナガウミツバメの間を細長いウミツバメがひらひらと飛んできます。うおおおー!!!!!ニューカレドニアウミツバメ(New Caledonia Storm Petrel)だー!!!!!
2019年に参加した西太平洋縦断の船旅(The Western Pacific Odyssey)で観察したことはあったのですが、その時は鳥がとても遠かったこともあり、ぜひもう一度観察したいと思っていました。今回の海鳥調査に参加させてもらった一番の目的も、この、ニューカレドニアウミツバメを観察することでした。

腹の縦斑が超絶カッコいいです。
ニューカレドニアウミツバメは2008年にニューカレドニアの沖で初めて観察されました。腹に縦斑のあるウミツバメといえば、ニュージーランドウミツバメが2003年に洋上で初めて観察され、19世紀に標本が採集されていた種だったと判明した出来事が有名です。その5年後、ニューカレドニアの沖で、腹に縦斑があり、ニュージーランドウミツバメより大きい、ミステリアスなウミツバメが観察されたのです。
その後に、標本の計測値などの検証がなされ、ニューカレドニアの沖で観察された腹に縦斑のあるウミツバメは、Fregetta lineataという種であることが2022年に発表されました。

とにかく細長い!という印象の鳥で、双眼鏡で見ているとこの写真のような感じに見えることが多かったです。ニュージーランドウミツバメほどは上下左右複雑に飛ぶことはないですが、直線的に速いスピードで飛んでいました。

上面。ニュージーランドウミツバメやアシナガウミツバメと比較すると、腰の白いバンドが狭いように感じられました。

アシナガウミツバメよりも二回りほど大きく、翼も長いです。

ニュージーランドウミツバメは頭が大きくてかわいい印象ですが、こちらはカッコいい印象です。
これまではニュージーランドウミツバメが一番好きなウミツバメでしたが、今回の観察で、ニューカレドニアウミツバメが一番好きになりました。
急に、船の近くに腹の白いウミツバメがひらりと現れました。シロハラウミツバメ(White-bellied Storm Petrel)です。

ずんぐりとした体形で、Fregetta属特有の幅の広い翼です。

上面。尾羽から足は突出しません。

水面を片足で切るskiingという行動を頻繁に行います。
シロハラウミツバメの基亜種Fregetta grallaria grallariaは、オーストラリアのロードハウ島で繁殖するほか、ノーフォーク島近くのフィリップ島、カーマデック諸島でも繁殖しているだろうといわれています。
西太平洋縦断の船旅に参加した際には、観察できる可能性はあったものの見ることができなかったので、ようやく基亜種を見ることができ、感無量でした!!
調査チームの方々が、遠くにノドジロウミツバメ(Polynesian Storm Petrel)らしきものを見つけたものの写真が撮れず、みんなでモヤモヤしていたところ、夫氏が「Polynesian!!」と叫ぶ。まじで?と思い同じ方向を双眼鏡で覗くと、マジです!!ノドジロウミツバメです!!

和名の通りのどが白い、大型のウミツバメです。翼も幅広く、かなり存在感があります。

ひるがえって体下面が見えると、かなり濃い縦斑が見えました。

体下面の左側にも濃い縦斑が入っています。
ノドジロウミツバメには、体下面が白い淡色型から、真っ黒の暗色型、そして縦斑が入る中間型が存在するといわれています(暗色型は標本はあるものの、確実な観察例はまだありませんが…)。今回観察できた個体は、中間型の中でも、かなり縦斑の濃い個体でめちゃくちゃかっこよかったです。
ノドジロウミツバメは中央太平洋の島々で繁殖しますが、その生態の多くは謎に包まれています。オーストラリアでは、今回が5例目の記録となるようです。調査チームの方々と貴重な記録の機会を共有することができ、とても嬉しかったです。

水面を脚で蹴ってゆったりと飛ぶ、特徴的な行動をします。効果音としては、ポイーンっという感じ。
ウミツバメだけで6種類も観察することができ、びっくりやら嬉しいやらで、大興奮の2日目でした。
ミズナギドリ類やトウゾクカモメ類など、ほかの海鳥については次の記事に続く…はずです🐥
いいなと思ったら応援しよう!
もしも記事を気に入って下さったら、応援頂けると嬉しいです!もっともっと海鳥を見に行って、もっともーっと皆さんに海鳥の魅力を発信していきます🐥!