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「日米安保を解消して独力で守る」という甘い罠――日本共産党が語らない、防衛力なき「外交」の破綻

報道番組『ABEMA Prime』に日本共産党の山添拓参院議員が出演した際、安全保障を巡って極めて象徴的な激論が交わされました。

#アベプラ ①何が変わる?自衛隊の「新司令部」設立に賛否の声
2025年3月31日(月) 21:00 〜 22:00

https://abema.tv/channels/abema-news/slots/F2Ae5tL6dmNeLw

該当の公式動画は非公開となってしまったため、大変恐縮ながら、該当の議論が記録された動画へのリンクを設置します。
https://www.youtube.com/shorts/sJ-hBjOEogY
テロップ等の演出が加えられている側面もありますので、フラットな視点でご参照いただければ幸いです。


ジャーナリストの佐々木俊尚氏が、共産党の掲げる日米安保廃棄の方針に対して「在日米軍なしで日本を守れると思っているんですか?」と極めて現実的な問いを突きつけた時のことです。山添議員は迷うことなく、こう言い切りました。

「守れると思います」

これ以上防衛費を増やすな、日米同盟も廃棄せよ、しかし万が一の時は現状の自衛隊(あるいは軍縮した自衛隊)だけで独力で日本を守れる。そう涼しい顔で語るその姿は、一見すると「自分の国を自分で守る強い覚悟」のように映るかもしれません。

しかし、感情を排し、現代戦のミリタリー・ロジックと地政学的ファクトからこの言葉を検証したとき、浮かび上がるのはあまりにも致命的な構造の破綻です。「防衛力を増やさなくても外交と同盟廃棄で守れる」というロジックは、現代の安全保障の仕組みを根本から見落とした、あまりにも無責任な「詭弁」であると言わざるを得ないと考えます。


1. 「盾」のない自衛隊:防衛力を増やさなければ数日で干上がる現実

まず直視しなければならないファクトは、「現在の自衛隊は、日米安保(米軍のサポート)が存在することを前提とした『片肺』の組織として設計されている」という現実です。

自衛隊は「専守防衛」という国是のもと、攻撃のための「矛(長距離打撃力や核抑止力)」をアメリカに依存し、自らは「盾(迎撃)」の役割に特化してきました。

もし日米安保を廃棄し、防衛力も現状維持(または軍縮)のままであれば、日本は明日から単独で戦わなければなりませんが、その時点で自衛隊の防衛能力は機能停止します。

  • 情報の目隠し:自衛隊のミサイル防衛や敵の動向察知は、米軍の持つ軍事衛星ネットワークや早期警戒情報に深く依存しています。安保を解消した瞬間、日本は宇宙からの「目と耳」を失い、敵のミサイルがどこから飛んでくるかも分からない盲目状態に陥ります。

  • 弾薬と部品の即死:自衛隊の主要兵器(戦闘機やイージスシステム)の多くはアメリカ製です。現代の戦争は数週間で膨大な弾薬を消費しますが、米軍からの緊急補給ルートを絶たれ、自前の防衛予算(備蓄)も増やさないままでは、有事の初動からわずか数日で「弾切れ」「部品不足」を起こし、全ての最新兵器がただの鉄の塊と化します。

「安保をなくし、防衛力も増やさないが、万が一の時は自衛隊で守れる」という主張は、パソコンからコンセントを抜いてバッテリーも空にした状態で、本体があるから動くだろうと言っているのと同じレベルの論理破綻ではないでしょうか。

2. 外交の裏付け:「軍事力」のない外交はただの懇願である

共産党が最も強調する「防衛力を増強する代わりに、対話と外交でアジアの平和をつくる」という主張には、国際政治の歴史が証明してきた決定的な盲点があります。それは、「実効性のある外交力とは、それを裏付ける軍事的な抑止力があって初めて成立する」という普遍的なルールです。

国際社会における外交交渉とは、善意の話し合いではありません。お互いが「もし決裂して武力衝突になれば、こちらもタダでは済まない(割に合わない)」というリスクを計算し合うからこそ、譲歩や対話のテーブルが維持されます。

もし日本が同盟を破棄し、自らの防衛力も凍結・縮小させてしまえば、周辺の覇権主義国から見た日本は「外交交渉をする必要すらない国」に格下げされます。対話をするまでもなく、軍事的な威嚇を少しチラつかせるだけで、日本の領海や領土、あるいは経済的な権益をいくらでもむしり取ることができるからです。

防衛力(抑止力)を放棄した状態で行う外交は、対等な「交渉」ではなく、相手の慈悲を乞うだけの『懇願』にしかなり得ないのではないかと考えます。これでは平和を守るどころか、かえって周辺国の侵略のハードルを極限まで下げる結果を招きかねないと言えます。

3. 核抑止の消滅:周辺の「核大国」を前に、どう対抗するのか

さらにシビアな現実は、日本が置かれた地政学的な位置関係です。日本の周辺国を見渡せば、中国、ロシア、北朝鮮という、核兵器を保有し、かつ独自の覇権主義を隠さない「核大国」がズラリと並んでいます。

これまで日本がこれらの国々から直接的な核の脅迫を受けずに済んできたのは、自衛隊が強いからではなく、アメリカの「核の傘(拡大核抑止)」がバックに控えていたからです。

もし日米安保を解消し、日本独自の防衛力も増強しないとなれば、日本は世界で唯一、「核を持たず、核の同盟も持たず、自前の防衛力すら手薄な剥き出しの先進国」になります。

山添氏の言う「(万が一の侵略には)守れると思います」というロジックは、相手が「核による恫喝(お前が降伏しなければ、都市に核を落とす)」を仕掛けてきた瞬間に、1秒で完全に無効化されます。核兵器の脅威に対して、増強すら拒んだ通常兵器の自衛隊だけで持ちこたえる手段など、この地球上のどこを探しても存在しないのではないかと考えます。

まとめ:「平和の果実」にタダ乗りした空論を排せ

「軍事同盟や防衛力の増強が戦争を呼び込む」という主張は、同盟と自衛隊の存在のおかげで、他国から一歩も領土を侵されずに済んできたという「平和の果実」に、最も安全な場所からタダ乗りしているからこそ言える、内向きの情緒論です。

日米安保を廃棄し、防衛力の強化も拒んだ瞬間に日本が直面するのは、東アジアの平和の安定ではなく、情報の目と耳を失い、弾薬の補給を絶たれ、周辺国の核と通常戦力の圧倒的な格差の前に無抵抗で平伏すしかないという、防衛の完全な崩壊です。

テレビの前の視聴者に向けて「守れると思います」と甘い言葉の罠を仕掛ける政治家に対し、私たちは地政学的なファクトと現代戦のロジックを突きつけなければなりません。同盟を維持し、相手が手を出せないレベルの防衛力を実質的に備え続けることこそが、今この国が直面している最も現実的で、かつ傷の浅い『生存の選択』であるという事実に、今こそ立ち返るべきではないでしょうか。


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