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通り過ぎて行った風 《詩》

「通り過ぎて行った風」

流した涙も静かに冷たくなっていく
大切な本当の心と偽りと

途切れたのは真夏の午後を
通り過ぎて行った風

私と手を繋いでください 
確かに君はそう言った


僕が愛情を寄せる対象の中には

いつも決まって何かしら
間違ったものが

何かが損なわれたものが
見受けられる

その未完成のものが持つ
異常性に似た感覚が
いつも僕の心をかきたてる

貴女の詩の言葉のつらなりが
ある音楽の一節の様に

僕の内面の奥底に通じる扉を開き
音を呼び起こす

その言葉は誰にも言った事のない
僕自身の隠していた
秘密が暴かれた時の感じに似ていた

僕の背筋を駆け抜ける衝撃は
激しい喜びを含んでいる

その言葉は僕自身の想いと
同じ意味を持つものだったからだ

不思議なもので

世の中には生み出された
作品そのものより

それを生み出した人物の方に
興味がかき立てられる

そんな種類の作品がある

そこには形にする事の出来ない

自分ひとりだけが知覚出来る
何かがあり

そこに輝きに似た何かを生み出す

貴女は独りぼっちではない 
そして僕も


流した涙も静かに冷たくなっていく
大切な本当の心と偽りと

途切れたのは真夏の午後を
通り過ぎて行った風

私と手を繋いでください 
確かに貴女はそう言った

僕等が泣くのは 
きっと大人になり過ぎたからだ

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