麻生太郎氏は令和の藤原氏か?皇室典範改正の思惑と愛子天皇への壁を徹底解説 宇山卓栄氏 2026年8月10日放送分
#麻生太郎 #皇室典範 #愛子様 #男系 #女性天皇
(ゲスト) 宇山卓栄氏:著作家
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【目次】
00:00 01.オープニング
00:36 02.麻生太郎氏は令和の藤原氏か?
02:25 03.皇統の継続を重視した改正皇室典範が国会で成立
05:35 04.血統と血縁の違い
12:03 05.なぜ血統が重視されるのか
13:11 06.女性皇族の結婚後の身分保持について
16:10 07.人工授精などの最新医療利用は検討されないのか
21:37 08.庶民とは異なる皇族系統の重み
23:16 09.愛子様・女性天皇の可能性
24:26 10.女性天皇を政治利用されないための規制
29:35 11.ノブレス・オブリージュ
33:24 12.女性皇族・眞子様の民間への転出
(深田)
皆さん、こんにちは。政経プラットフォームプロデューサー深田萌絵です。今回は、作家の宇山卓栄先生にお越しいただきました。宇山先生、よろしくお願いいたします。
先日、皇室典範の改正問題についてお話しいただきましたが、最近ニュースなどでよく話題になっているのが、麻生太郎衆議院議員の妹さんである三笠宮妃信子殿下(※1)のことですね。今回の法改正によって、麻生家の血を引く方が将来の皇位継承者として皇室の系譜に入ってくるのではないかという懸念が示されていて、それに対して「麻生さんは令和の藤原氏(※2)ではないか」という批判も起きています。そうした議論を目にすると、私たち一般国民としては、なんとなく不快な感情を抱いてしまいます。
総理大臣を選ぶのも、天皇を選ぶのも麻生さんなのかと思うと、「冗談ではない」といった嫌な気持ちになってしまうのですが、今後の皇室典範改正はどうなるのでしょうか?
※1)三笠宮妃信子殿下:寬仁親王の妃。寛仁親王は大正天皇の皇孫で、上皇陛下の従弟。

▶︎ 参照元:宮内庁 皇室の構成図
※2)藤原氏:平安時代に娘を天皇や皇太子と結婚させ、皇室との外戚関係を深めて権勢を振るった。藤原道長の娘は3人が天皇の中宮、1人が東宮妃。
(宇山)
よろしくお願いいたします。
結果的に、麻生さんの妹君の家系が注目を浴びることになる法改正という側面はあると思います。しかし、私は麻生さんともお話ししていますが、ご本人にそのような意図があり、こうした動きを操作しているのかといえば、そのようなことは全く感じられません。
「自分としてはこうした問題に関わるのではなく、ほかの人にやってもらえればよい。しかし、最後までこれをやり遂げようという覚悟のある人間が自分しかいないため、やらざるを得ない。俺の目の黒いうちは。」といった趣旨のことをよくおっしゃっています。麻生さんのお話はお聞きしていますが、ご本人にもいろいろな葛藤がおありです。
今回、皇室典範に関する法改正が衆議院を通過して、参議院でも通過する見込みとなっています。まず、良かった点についてお話ししたいと思いますが、今回の法改正は「半歩前進」だと考えています。
(深田)
どのような部分が前進なのですか?「皇統の断絶を避ける」という点でしょうか?
(宇山)
そういうことです。今回、皇統の断絶を防ぎ得る可能性を何とか残すことができました。具体的には、養子縁組によって旧宮家などの男系男子、つまり皇統に属する男系男子を皇籍に復帰させることが決まったのです。私は男系派ですが、これは男系派が長年求めてきた事でしたので、今回、そこが認められたことは良かったと思います。
例えば、旧宮家の男系男子の方が常陸宮家に養子として入られるケースが考えられます。常陸宮殿下はご高齢で、お子様はいらっしゃいません。そこに養子として入ることで、常陸宮家を存続させることができるのです。
ですから、仮に将来、秋篠宮家が断絶するようなことになったとしても、将来、常陸宮家に養子として入られた方のお子様が皇統を引き継ぐことが可能になるという点で、良かったと考えています。ただし、私たち男系派が何度も申し上げてきたのは、「養子の子に皇位継承権を与えなければ意味がない」ということです。
(深田)
その「養子の子」には、今のところ皇位継承権はあるのですか。
(宇山)
はい、あります。
(深田)
「養子の子に皇位継承権がある」という方向で改正されるわけですね。
(宇山)
そう改正されたので、その点は良かったと思っています。2021年12月22日に示された政府有識者会議の報告書、つまり皇族数の減少を食い止めるための報告書には、「養子の子に皇位継承権を与えるかどうか」についての言及がなく、2021年の段階では、その点についての明記はありませんでしたから。
私は、あの答申がまとまった2021年から「なぜそのことが書かれていないのか」と申し上げてきました。「養子の子に皇位継承権を認める」ということを明記しなければ、皇統をつなぐことができないからです。
(深田)
それでは、旧宮家を復活させても意味がなくなりますよね。
(宇山)
ええ、意味がなくなってしまいます。ですから、そこだけは絶対に忽せにしてはならない、そここそが今回の典範改正の「魂」だと申し上げてきました。今回、そこがきちんと盛り込まれたわけですね。
(深田)
しかし、ひろゆきさん(2ちゃんねる創設者)は「今回、養子縁組の候補として挙がっている人たちは、36親等や38親等ほど離れており、非常に遠い存在で、ほぼ他人のような関係だ」と指摘しています。天皇陛下から見れば、非常に遠い親戚で「この人は誰?」と感じるような方が、将来の天皇陛下になる可能性もあるということですよね。それでも問題はないのでしょうか?
(宇山)
はい。皇統というものの考え方は、「血統を基準」にしています。ですから、36親等、38親等というように血縁が遠く離れていたとしても、皇位継承の資格としては問題ないのです。
(深田)
皇位継承の資格としては関係ないのですか?
(宇山)
はい。それは、血縁ではなく、「血統」というルールになっているからです。
(深田)
では、血縁と血統では、何が違うのですか。
(宇山)
血統とは、ブラッドライン(英: Bloodline)のことです。つまり、男性をたどっていくことができる系統を血統と言います。女性を通じて代々たどっていく場合は女系といい、男性を通じて先祖をたどっていく場合に男系といいます。
私にも萌絵さんにも、父と母の2人の親がいます。その上には祖父母が4人、さらにその上には8人、その上には16人、そして32人、64人、128人、256人というように、先祖は遡るほど2の累乗で増えていきますよね。更に256人、512人、1,024人、2,048人、4,096人という具合に、どんどん増えていくわけですが、10代、20代遡るだけでも、何千人もの血縁者が私たちの祖先として存在することになります。それらの祖先をすべて把握されていますか。
(深田)
いいえ、全く分かりません。
(宇山)
分かりませんよね。それに、その何千人もの家系図だって描くことなどできませんよね。そこで、家系図を作る際には一定のルールを設けることになったわけです。何千人もの祖先をすべて遡って家系図を描こうとすれば、A4用紙が何枚必要になるのか分からないほど膨大なものになります。では、祖先をどのように整理し、管理していくのか、ということで考えられたのが、男性なら男性の系統だけをたどっていくというものでした。
父、祖父、曽祖父というように、男性のブラッドラインだけをたどっていく─── これが血統という考え方です。日本の皇室の場合、この男性のブラッドラインをたどるというルールを採用してきたのです。一方、母、祖母というように女性を通じてたどっていく場合は、女系のブラッドラインになります。
(深田)
それは、いつ頃からの採用なのでしょうか?
(宇山)
神武天皇の時からです。それ以来、今日まで一貫して男性のブラッドラインで続いてきたわけです。
(深田)
ですが、天照大神は女性ですよね。
(宇山)
ええ、女性です。神武天皇は男性ですので、そこからは男系です。
(深田)
最初は女系ですが、その次から男系ということですか。
(宇山)
そういうことです。天照大神が女性であるため、そもそも皇祖の大元が女系ということになるのではないか、という考え方もあります。ただし、皇統という観点では、やはり神武天皇が起点になります。
(深田)
天照大神は神様ですから、そこは切り離し、神武天皇を起点として考えるということですか。
(宇山)
神話の世界ですから、ある程度は切り離して考えます。しかし、歴史的には、あくまでも「神武天皇から続く男系皇統を基準とする」という考え方があるということです。そのブラッドラインは、一つの線として描くことができて、男性から男性へとたどっていけるというわけです。
私は「宇山」という名字ですが、私の家系には養子縁組がありませんので、父、祖父、曽祖父と男性だけをずっとたどっていくと、16世紀の出雲の宇山氏に行き着きます。
(深田)
そうなのですね?!それに名字があった家系なのですね。
(宇山)
武士の家系ですので、名字がありました。このように、男性の系統をたどることで、家系を遡ることができるのですよ。
(深田)
私の家は農民だったので、名字はなく、後から適当に付けられたので、名字にそれほど愛着がありません。
(宇山)
武士の家系であれば、何世紀も遡ってたどることができるのですよ。貴族についても、同じように家系をたどることができると言われています。いずれにしても、名字は別として、家系図さえあれば、血統をたどり、書き表すことができるわけです。「男性だけでたどっていく方法」であれば、そういうことが可能なのです。
実際、天皇の系譜にしても、家系図として一枚の紙にまとめることができます。それは、祖先を一本のブラッドラインに限定して記すというルールを採用しているからです。これが、男系という考え方の意味なのです。
(深田)
つまり、36親等、38親等と離れていて、ほぼ他人であっても、ずっと遡っていけば血統が神武天皇につながっているので、皇位継承者として問題ないということですね。
(宇山)
それで良いのです。皇族、そして皇位継承者に求められる要件は、そこだけなのです。優秀である必要はありません。人気がある必要もありません。おしとやかであるとか優しい人物であることも必要ありません。これまでの天皇の中にも、暴君や暗君と呼ばれるような方はいたと思います。しかし、それでもよいのです。
どのような人物であっても、「ただ血統がつながっている」ということだけを条件とするルールにしているからです。なぜそのようなルールにしたのかといえば、無用な争いを起こさせないためなのです。もし、実力や能力のある人が天皇になれるという仕組みであれば、「それなら自分が取って代わろう」という覇権争いが起きてしまいますよね。
(深田)
そうですよね。
(宇山)
極端に言えば、「盆暗でも暗君でも構わない。とにかく血統がつながってさえいれば天皇になれる」ということが、覇権争いなどを起こさせないための先人の知恵だったのです。そして、これを守ってきたのが男系の皇統というわけです。だからこそ、日本は王朝の覇権争い、つまり皇統をめぐる覇権争いが起きなかったのです。
(深田)
「南北朝の争い」はどうなのですか?
(宇山)
あれは例外ですね。
(深田)
振り返れば、ほかにも多少はあったと思いますが、例外としてはそれくらいだったということですね。ところで、麻生さんの妹でいらっしゃる信子様のお子様は女性だけなのですよね。
(宇山)
ええ、そうです。
(深田)
それでも、その方々が養子候補として関わってくるのですか。
(宇山)
その点については徐々に話を移していきますが、もう一つ案が通っています。それが、「女性皇族は婚姻後も皇族の身分にとどまる」という案です。例えば、その女性皇族が養子縁組をすることも考えられます。女王(※3)が男系男子と結び付くような形です。その場合、そこから新たに男系の皇統が派生してくることになります。
※3)女王:皇室典範第6条「嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、三世以下の嫡男系嫡出の子孫は、男を王、女を女王とする。」
例えば、今、萌絵さんが挙げられた三笠宮家の女王が、旧十一宮家の男系男子の方とご結婚されるとします。そのお二人から生まれる子供は、父親が神武天皇につながる男系の血統を引いていますから、「男系の子供」ということになります。その子供を皇族として扱いながら、同時に「養子の子」に皇位継承権を与えるという仕組みと組み合わせることによって、奥様である三笠宮家の女王も皇族のまま身分を維持することができるのです。これが今の第一案です。
第二案では、旧宮家の男系男子が養子縁組や婚姻によって皇族になることが可能になるというものです。ご夫婦そろって皇族となりますから、そこから生まれた子供も皇族というわけです。そして、そこには「養子の子には皇位継承権を認める」というルールも適用されることになります。
そうなると、先ほど萌絵さんがおっしゃったように、麻生さんの影響力が大きくなり、かつての藤原家の摂政のような立場になってしまうのではないか、果たしてそれでよいのか、といった議論が出てくるわけです。今、その点に対する強い批判は存在しています。ただし、麻生さんはすでにご高齢です。麻生さんが「俺の目の黒いうちは」とおっしゃるのは、ご自身は間もなく表舞台から去ることになる、という意味合いだと受け止めています。
(深田)
しかし、ご本人に死ぬつもりはないのではないですか。
(宇山)
ご本人は死ぬとはお思いではないでしょうが、「俺の目の黒いうちは」という言葉からは、いずれ政界からは去らなければならないということがうかがえるように思います。自分がやらなければ、最後の総仕上げまで誰もやり遂げないといった思いがあるのでしょう。
そもそも、この問題に取り組むこと自体、非常に不人気なのです。私も前回、この番組で男系の皇統が重要だと申し上げたところ、コメント欄では「お前は男系カルトか」「愛子様をないがしろにするのか、けしからん」と強く批判されました。それは政治家も同じなのです。
(深田)
私がこの議論で非常に不思議に感じるのは、どのように養子を迎えるかという話と、なぜ愛子様ではだめなのかという二つの議論についてです。そもそも、子供ができないという問題は、今の日本人女性にとって共通の悩みなのです。そうであれば、人工授精によって受精卵をつくるなど、なぜ科学的な方法について議論しないのでしょう。そうではなく、わざわざ争いが起こるような議論ばかりが続くのです。
「天皇陛下にお子様ができればよい」ということであれば、今はそれを解決する手段があるのに、なぜ誰もそのことを言わないのかと思います。だから、麻生さんには「何らかの思惑があるのではないか」と疑われても仕方がないのではないですか。
(宇山)
それは、やはり世論への配慮をしているのです。確かに、受精卵などを活用するという方法は、科学的には合理的な解決策だと思います。しかし、そこまでして皇統をつなぐことについては「倫理的にどうなのか」という世論が必ず起こってくることになるでしょう。
(深田)
しかし、私は必ずしもそうではないと思います。今、不妊治療の病院に行けば、20代の女性も大勢いますし、日曜日には何時間も待つほどです。それほど、子供ができないことは珍しくない時代になっています。ですから、40代、50代、60代、70代といった上の世代の人たちも、「不妊治療を行わなければ子供を持つことは難しい時代になっていて、それが当たり前になりつつある」ということを受け入れないといけないと思うのです。
(宇山)
従来のやり方だけで維持するのが難しいのであれば、今後、そうした科学的な方法も検討していく必要があるというのは、おっしゃる通りだと思います。実際に多くの国民が、不妊治療を経て子供を授かるという経験をしているわけですからね。
(深田)
私は48歳ですから利用できませんが、40歳くらいまでなら人工授精や体外受精に対して助成金が出ます。こうして国や自治体は、子供を授かることが難しいご夫婦に対して支援を行っています。また、不妊は女性だけの問題ではなく、男性側の精子の状態などが原因となる場合もありますよね。そうした治療支援にも税金を使っているのです。
それにもかかわらず世論が反発するというのであれば、「側室を設ける」といった議論よりも、「卵子や受精卵を凍結保存し、必要なときに活用する」という考え方のほうが、多くの人は納得するのではないでしょうか。しかし、今回の皇室に関する論点整理では、そうした議論が全く含まれていません。私はそこに最も違和感を抱いています。この点については、なぜ盛り込まれなかったのですか。
(宇山)
やはり、「今の国民世論ではついてこない」という判断があったのではないですか。確かに、比較的若い世代の場合には、それほど抵抗を感じない方も多いと思います。実際に不妊治療を経験している方もいますから「なぜそれを天皇や皇統にも適用しないのか」と言われれば、それはその通りかもしれないです。
しかし、世論全体を見渡せば、保守的な考え方を持つ人たちの中には、「科学や医療の力を使ってまで無理に行うのか」と受け止める方もいるのです。そうした方法は、今では「一般的な医療」といった位置付けになっているとはいえ、それでも上の世代の方には「そこまでして行うのか」という感覚が残っています。そのような世論も考慮し、受精卵の活用などについては、なかなか議論できなかったのだと思います。
ただし、今後、悠仁親王殿下がご結婚あそばされ、その後、なかなか妊娠に至らないということになれば、不妊治療において科学の力を最大限活用することは、十分に認められると思います。あらゆる手段を尽くした上であれば、それに異議を唱える人は、絶対にいないと思います。
しかし、「受精卵を冷凍保存しておき、何百年か後に皇統が途絶えた際、その受精卵を取り出して代理出産などによって皇統をつなげばよい」というところまでは、まだ社会の議論は追いついていないのだと思います。
(深田)
私もそこまでは言わないのですが、卵子を凍結保存しておき、2年に1人ずつ産めば、20年間で10人になります。もちろん、出産する側は大変だとは思うのですが、そうすれば皇統は途絶えないではありませんか。
(宇山)
そうですよね。今後、本当に皇族の数を増やしたいというご夫婦の意思があるのであれば、医療の力を借りてそうした選択肢を採ることは十分に可能ですし、支援して良いと思います。
(深田)
今回、そうした議論が全く含まれていなかったことは、非常に残念だと感じます。
(宇山)
ただ、ご存じの通り、保守的で旧来の価値観が強い政治の世界という環境の中では、受精卵の話をするだけでも総バッシングを受けてしまいます。先ほども少し申し上げましたが、政治家が「男系皇統をつなぐべきだ」と主張するだけでも総バッシングです。はっきり言えば「票を失う」のです。
(深田)
そうですね。男系を維持するために遠い親戚から養子を迎えることにも一悶着ありそうですし、「愛子様を天皇に」という議論にも一悶着あります。それであれば、代理出産など、ほかの方法を検討してもよいのではないかと思います。
(宇山)
ひろゆきさんの話ではありませんが、やはり「38親等も離れた遠い親戚が…」という説明になると、私たち庶民はどうしてもその感覚に引っ張られてしまいます。なぜなら、私たち庶民は普段、「血縁」を基準に人間関係を考えているからですよね。しかし、「血統」を基準に物事を考えている人は、ほとんどいないでしょう。
(深田)
そうですよね。
(宇山)
実生活では、いとこ、はとこなど、近い親戚から付き合いますよね。
(深田)
私自身は、はとこには会ったことも、見たこともありません。
(宇山)
見たことはないのでしょう? やはり近い親戚からお付き合いしていきますからね。
(深田)
ええ、いとこが限界ですね。
(宇山)
いとこが限界でしょう。そうした庶民生活の感覚からすれば、何十親等も離れていて、14世紀まで遡らなければ祖先がつながらないと言われたら「何の話ですか?」となるのですよ。
(深田)
庶民の感覚では、そうなりますし、「14世紀まで遡るのですか?」と思ってしまいます。
(宇山)
私もその感覚は分かります。しかし、日常の血縁とは異なり、皇統は異なるルールによってつながれているのです。その仕組みを理解した上で、「38親等だ」「何親等だ」という議論をしなければならないと思います。
また、萌絵さんも先ほど指摘されたように「なぜ愛子様ではダメなのか」という議論もあります。私もコメント欄で、「お前は愛子様を無視するのか」といった批判を数多く受けました。
(深田)
そもそも、愛子様は現行制度では皇位継承権をお持ちではありませんよね。
(宇山)
現行の皇室典範では、もともと資格がありません。では、なぜ男系派は女性天皇を認めないのかという話ですが、愛子様は男系の女性皇族です。歴史上、男系の女性天皇は8代10人いらっしゃいました。ですから、愛子様が男系の女性天皇として御即位されること自体は、歴史上の先例に反するものではありません。
しかし、それを認めた場合、仮に愛子様が一般の男性とご結婚あそばされ、お子様が生まれれば、今度は「愛子様のお子様にも皇位継承権を認めてよいのではないか」「なぜ愛子様のお子様ではだめなのか」という世論が、必ず起こってくることになるのです。
(深田)
過去を振り返ったとき、未婚の女性が女性天皇になった例はあるのですか?
(宇山)
女性天皇は、基本的に未婚か、あるいは未亡人となられた方であり、即位後は独身を通されるのが原則でした
(深田)
なるほど、女性天皇は即位後は独身を通すのですね。それから、歴史上では愛人をめぐる問題もありましたよね。道鏡(※4)でしたか。あのように愛人に惑わされ、その相手が皇位に就くような事態につながる可能性もあるということですね。
※4)道鏡事件: 奈良時代、称徳(しょうとく)天皇の寵愛を受けた僧侶の道鏡が皇位に就こうとした事件。
(宇山)
もしも、そこに子供まで生まれたら大変でしょう。そうなれば、道鏡の子供による「道鏡王朝」が誕生してしまいます。そして結局、それが「女系天皇」につながることになってしまうのです。
道鏡のような事態を起こさないために、たとえ男系の女性天皇であっても、結果的に女系による皇統の乗っ取り(簒奪)につながる可能性があるとして、「女性天皇そのものを置かないようにしよう」という考え方が生まれました。明治に井上毅が皇室典範を作成した際、そのような決まり(男子限定)となったのです。
(深田)
そもそも歴史的に見ると、女性天皇は、皇位継承をめぐって混乱が生じているときの一時的な立場として置かれていたという印象があります。ただ、その際には必ず何らかの混乱が起きていますよね。
(宇山)
ご結婚ということになれば、なおさらですね。だからこそ、そのような混乱に皇室を巻き込まないため、また、道鏡事件のようなことが令和の時代に起きないようにするためにも、「女性天皇はなるべく控えよう」というのが先人の知恵なのです。仮に愛子様が天皇になられれば、世論としても必ず「(女系であっても)愛子様のお子様を次の天皇にしていいじゃないか」という議論が出てくるでしょう。
ただし、ここで一つ考えなければならない問題があります。愛子様がご結婚されるお相手が一般の男性ではなく、今、報道などで名前が挙がっている賀陽家の御曹司のような、旧皇族(旧宮家)の男系男子であった場合はどうなるのか、という点です。
(深田)
その場合は、「男系がつながっていく」ということですよね。
(宇山)
ええ。愛子様とその男系男子との間に生まれたお子様には、父方を辿っても男系の血統がつながることになります。ですから、その系統を新たな皇統として認めていくという意味で、今回の政府案の第一案、つまり「女性皇族が婚姻後も皇族の身分にとどまる」という仕組みによって、新たな皇統をつないでいくのだと私は理解していました。しかし、もう一つの柱である第二案(養子案)を見ると、その当てが外れたのです。
どのように当てが外れたのかというと、今回の皇室典範改正案(第二案の養子案)には、「養親(養子を迎える親)となることができる対象は、親王、内親王、王、女王に限られる」と記されています。つまり、天皇陛下や皇后陛下などの内廷皇族(※5)、そして秋篠宮家のような皇嗣・皇嗣宮は対象から除外されているのです。
そうなると、愛子様のお父様とお母様は天皇皇后両陛下ですから、両陛下は養親になることができません。つまり、天皇ご一家が旧宮家から直接男系男子を養子として迎えることができない設計になっているのです。
※5)内廷皇族: 独立した宮家を持たず、天皇や上皇と共に生活を共にする皇族の総称。
(深田)
それは、なぜなのですか?
(宇山)
理由は、皇統が攪乱させられるからです。例えば、天皇陛下が「この人が気に入ったから養子にする」というような形で次々と養子を迎えることができれば、誰が正統な皇位継承者なのか分からなくなってしまいます。そのような混乱を避けるための措置なのですが、私は、これは余計な措置だったのではないかと思っています。
(深田)
そうすると、悠仁様がいなくなってしまった場合、今の系統はそこで終わってしまうということですか。
(宇山)
終わることになります。また、私がこれまで主張してきた、「愛子様からの系譜によって皇統をつなげていく」という考え方もなくなってしまいました。
私は、愛子様が女性皇族のままとどまりながら、養子縁組を行うという仕組みを想定していました。養子縁組をするということは、その方が今の内廷皇族である天皇陛下のお子様になるということです。
そして、お二人とも皇族の身分にとどまることができれば、そのご夫婦から男系の皇統をつないでいくことができます。そうして、仮に将来、秋篠宮家に何かあった場合には、愛子様の系統から皇統をつなげればよいのではないかと、私はずっと申し上げてきました。 しかし、今回の皇室典範改正案をよく見ると、それができない仕組みになっているということです。
(深田)
天皇陛下は、ベルギーご訪問前の記者会見で、少し苦言を呈していらっしゃいましたよね。
(宇山)
そうですね。「皆が納得できるような形にしてもらわなければならない」という趣旨のことをおっしゃっていました。
(深田)
天皇というお立場は、やはり国民に寄り添わなければならないのですから、国民に寄り添えないような人物になってはいけないという含みもあったのではないかと感じました。
(宇山)
そうでしょうね。皆が納得できる形にしてほしいというお考えは、その通りだと思います。
(深田)
ただ、あのようなご発言を聞くと、ご自身の後継者が誰になるのかということさえ、ご自分たちだけでは決めることができないのだと感じます。私たち一般人から見ると、非常に不自由なお立場なのだと思いますね。
(宇山)
そうなのです。まさに良いことをおっしゃいました。皇族というのは、今おっしゃった通り、ご自身の意思だけで自由に物事を決められるお立場ではありません。私は、これこそが「ノブレス・オブリージュ(※6)」であり、皇族として生まれた方々の宿命だと思っています。
※6)ノブレス・オブリージュ:高い社会的地位や身分を持つ者には、それに見合う重い責任や義務が伴うという概念。
私たちがこうした議論をしていると、「皇室のことは皇族方がお決めになるのが筋であり、臣民である下々の者がとやかく言うこと自体が不敬だ」とお叱りを受けることがあります。しかし、それは大きな間違いです。今の立憲君主制のもとでは、君主や帝王ご自身が政治的な意思決定を行う仕組みにはなっていません。
その代わり、君主は一切の政治的責任を負わないお立場に置かれています。つまり、帝王や君主は「誤りを侵さない存在として扱われる」という無謬性(むびゅうせい)によって守られているわけです。
一方、制度や物事を決定するのは臣下、つまり私たち国民です。どのような皇位継承制度にするのかを決めるのは私たち国民であり、その決定から生じる責任も国民が負わなければなりません。帝王に責任を負わせず、あらゆる政治責任から隔絶してお守りすることこそが、立憲君主制の根本的な仕組みなのです。
ですから、今回の皇室典範をどうすべきかについても、本来は国民自身が議論し、ときには言論を戦わせなければなりません。それこそが立憲君主制の下で暮らす国民の責務なのです。この仕組みを理解せずに「皇室のことをとやかく言うな」と主張する人こそ、君主を無謬性の庇護から引きずり出そうとしている意味で、かえって不敬だと言えます。そうやって無謬性によって守られている帝王や君主の立場を考慮することも重要なのです。
そして、先ほど萌絵さんがおっしゃったように、皇族方には自由がほとんどありません。人権も、財産権も、プライバシーも大幅に制限されています。そのような過酷とも言えるお立場になるために、わざわざ養子縁組によって皇籍復帰してくださる方が本当にいらっしゃるのかどうか─── ここが今後の極めて大きな焦点となります。
ご自身の民間での人生を投げ打ってまで皇籍復帰を受け入れていただくには、ひとえに「皇統を守る」という揺るぎない覚悟と信念が必要です。そうした信念を持つ方が、現在の旧十一宮家の男系男子の中にいらっしゃるかどうかを含め、これから政府との具体的な打診や折衝が始まっていくのだろうと思います。
また、もう一つの案である「女性皇族が婚姻後も皇族の身分にとどまるかどうか」について、今回の政府案では「女性皇族ご自身の意思で選択できる」と記されています。「皇籍を離れたい」と考えれば離脱でき、「残って公務を務めたい」と考えれば皇族にとどまることができるという仕組みです。
しかし、私はこの点についても強い疑問を感じています。仮に「私は皇籍を離れます」と選択された方がいた場合、世論から「なぜ皇室に残ってくださらないのか」という批判や圧力が必ず集まってしまうでしょう。
(深田)
その意味で、眞子様の去り方は見事でしたね。「小室がニューヨークに行ったことも含め、すべて私が決めた。文句があるなら私に言ってください」という姿勢で去っていかれたわけですから、私は、非常に覚悟のある方だと思いました。本当に、肝の据わり方がすごいですよね。
(宇山)
あそこまで肝が据わっている方は、また別でしょうけれども、本当にすごいと思います。
(深田)
逆に、国内に留まっていたら、いろいろな波乱を巻き起こしていたのではないかと思います。
(宇山)
「もうこのような生活は嫌だから」と皇籍を離れる方が相次げば、国民から「なぜ皇室を去るのか」という批判が必ず起こるでしょう。反対に、皇族として残る選択をされたとしても、「残る必要はない」「出ていけばよい」と非難する人々も一定数出てくるはずです。結局のところ、ご本人がどちらを選ばれたとしても、批判は避けられません。
だからこそ、どちらを選んでも批判に晒されることが目に見えている形で、今回の法案の条文が作られていること自体が適切なのか、という根本的な問題があるのです。
もし婚姻後も皇族としてお留まりいただく制度にするのであれば、「制度として残留以外の選択肢はない」と一義的に定めることも、本来は国民側が果たすべきことです。それを女性皇族ご自身の判断に委ねる仕組みにしてしまったことが、果たして良かったのかどうか ── この点についても、今後深く問われなければならないと思います。
(深田)
そうなのですね。この皇室典範改正問題は本当に難しい問題ですから、なぜこのような制度になっているのか、なぜこのような議論になるのかと、様々な疑問を感じていました。今回は作家の宇山卓栄先生に、そのあたりの疑問について詳しくお答えいただきました。どうもありがとうございました。
(宇山)
ありがとうございました。
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