複雑な気持ちになっても幸せですか?夏の甲子園。西武の辻2軍コーチには1日で喜びも悲しみも。息子が主将を務める履正社は初戦突破。母校の松商学園は敗退。笑顔と無念が交錯
複雑な気持ちになっても幸せですか?夏の甲子園。西武の辻竜太郎2軍野手チーフコーチにとって、気分は「晴れのち雨」の一日だった。息子の竜乃介選手が主将を務める履正社は初戦を突破。ただ続く試合で母校の松商学園は敗退。同一日に笑顔と無念が交錯することとなった。
11日の全国選手権。辻コーチは気持ちとしては長い一日を送ったかもしれない。第3試合に息子のチーム、第4試合には母校が登場するからだ。
自らは西武の2軍コーチとして、ベルーナドームにいた。午後6時開始の巨人戦があったからだ。
辻コーチは大忙しだった。試合前の練習が終わった後に、竜乃介選手の活躍をテレビで見守った。「3打席ぐらいまで見られた」という。
息子の晴れ舞台。しかも大阪代表の履正社にとって、2023年夏以来の甲子園。竜乃介選手にとって、入学後初の甲子園となった。最後の夏に主将として甲子園切符を手にした。
初戦は愛知の享栄戦。竜乃介選手は4番でスタメン出場。二回の第1打席でセンターへヒットを放った。この日、4打数1安打。履正社は6-2で初戦を突破した。
試合前に辻コーチは「野球人生で本当に幸せなこと。楽しんでやれよ」と激励していたという。
第4試合には辻コーチの母校、長野代表の松商学園が登場した。辻コーチも高校1、2年の夏に甲子園に出場。4番打者としてヒットを放った。後に明治大学へ進み、オリックス、楽天でプレーした。
つまり、辻親子はそろって「甲子園で4番打者としてヒットを打つ」結果を残したのだ。親子の甲子園出場はあっても、4番としてヒットというのは、かなり異例ではないだろうか。
ただ辻コーチにとって、その後は雨模様となった。母校は三重高校に3-5で惜敗。3回戦進出を逃した。
もしも松商学園が勝っていたら、次戦で履正社と対戦することになっていた。甲子園で「親子対決」へ。「そうなったら面白いね」と松商OBの間で話題になっていたそうだ。
松商が敗れたため、幻に。辻コーチは「自分は松商学園で3年間育ててもらい、本当にお世話になった。気持ちは複雑だけど…。(親子対決が実現すれば)こんな幸せなことはないと思っていた」と語っている。
それでも、自分の母校と、息子のチームが、それぞれ甲子園に出場して、同一日に試合をすることは、とても幸せだろう。
履正社は15日に三重と対戦する。竜乃介選手が「父の仇討ち」を果たせるか楽しみだ。
そして、辻一家には夢が膨らむ。辻コーチの父、竜乃介選手の祖父である辻哲也さんは中日でプレーしていた。辻コーチの竜太郎の名前は、ドラゴンズの「竜」が由来だ。
現在、甲子園で活躍している竜乃介選手も、この先、プロ入りすれば、3世代にわたって、プロ選手となる。
高校野球、そして、その先のプロへ。履正社の辻竜乃介選手の活躍にエールを送りたい。
