プレイバック

【著書紹介文(裏表紙より)】
「聞こえているのかね? 私はこう言ったんだ。こちらはクライド・アムニー、弁護士だと」-午前六時半。一本の電話が私立探偵フィリップ・マーロウを眠りから覚まさせる。列車で到着するはずの若い女を尾行せよとの依頼だった。見知らぬ弁護士の高圧的な口調に苛立ちながらも、マーロウは駅まで出向く。しかし、女には不審な男がぴったりとまとわりつき……。<私立探偵フィリップ・マーロウ> シリーズ第七作。新訳版

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レイモンド・チャンドラーによる「私立探偵フィリップ・マーロウ」シリーズの7作目。これを読むのは2回目。実質的にはチャンドラー最後のマーロウものとなる。

フィリップ・マーロウのかの有名な「名セリフ」が含まれる作品ということだが、どうやらその注目度は日本において顕著であり、他の国ではそうでもないらしい。

読み終えた後に再び「チャンドラー講義」の該当ページをめくってみて、なるほど…とも感じたが、あまり深い読みを好むわけではないため(むしろ深い読みができない、に近い)それはそれとして、今回2回目の感想を書いてみる。



本書があまり受け入れられなかったのはロング・グッドバイとの落差もあろうが、マーロウが地元警察と意気投合してしまっているというのも1つの要因。
ところが僕(誠心)は単純にそうは思えなくて、私立探偵としての役割と警察の役割がそれぞれで協力しあっているのだから、いいんじゃないか、と思うし、むしろ警察署長の立ちふるまいに好意を持った(地元権力者とのやりとりは見もの)。

本作では、道義、職業倫理、契約(雇用契約)、常識、受け取るカネ、他人のカネ、口止めとしてチラつかせられるカネ、何が仕事なのか、何を引き受け何を引き受けないのか、依頼とは何なのか、そのあたりの境界が比較的くっきりとマーロウの態度として描かれているように感じる。

もしかするとマーロウ・ビギナー(という言葉があるとすれば)の1作目として、本作『プレイバック』は最適なのかもしれない。一番短い作品であるし(ロング・グッドバイの半分もない)名言も入っているし、今回はしないけれど、引用したいところがたくさんあった(手元にあるハヤカワ文庫版の二刷でいうと、P131,151~152,260,287,293~294,312~313)。歳を重ねたとはいえ、全然ヤワじゃないし。

そしてレイモンド・チャンドラー(作者)がどのような個人的状況の中で本作を書き上げたか…を併せて知ると、まさに最後の力をふりしぼって書き上げたとも言えるのだし、よりいっそうお勧めしたくなる。



それではあえてここで1作逆戻りして(あえて1作とばしたので)、これから『ロング・グッドバイ』を読みます(もう4~5回目の気がする…)。

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