韓国ドラマの“あの味”を再現したくて、 「万能だれだけの本」を作ってしまった話。
韓国ドラマを観ていると、ストーリーと同じくらい(あるいはそれ以上に)心を奪われるものがあります。
それは、登場人物たちが実においしそうに頬ばる「ごはん」のシーンです。
『梨泰院クラス』でタンバムの仲間たちが囲む、あの熱々の豆腐チゲ。『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で娘のためにアッパ(お父さん)が毎朝作る美しいキンパ。
『暴君のシェフ』でヒロインが雨の中で作るネギのチヂミ。
そして、どんなドラマでも必ずと言っていいほど登場する、麺料理の数々。
「食べたい。今すぐ、あの味を再現したい!」
そんな韓ドラファン共通の切実な願いから、
「万能だれだけの本」という料理本の企画はスタートしました。
「調味料の壁」にぶつかった、編集者の本音
正直に白状します。
この本の企画は、私の個人的な「韓ドラ飯への憧れ」が出発点です。
ドラマの食事シーンに憧れて、いざ作ろうとレシピを検索する。
すると立ちはだかるのは「調味料の壁」でした。
コチュジャン、サムジャン、梅エキス、ダシダ、チュンジャン、あみの塩辛……。
料理ごとに聞きなれない調味料が出てくるし、一品のために全部揃えるのも大変。
「めんつゆみたいに、これ一本で韓国の味になる商品があればいいのに!」 「パッとかけるだけで、ドラマのあの味になる魔法のたれ、誰か作って!」 そんな切実な願いが、すべてのはじまりでした。
「これだけあればいい」という、かつてない便利さに挑戦
世の中には、すでにたくさんの「たれの本」があります。
しかしその多くは、特定の料理や食材にしか使えない限定的なものです。
その結果、一度作って満足し、せっかく買った調味料は冷蔵庫の奥で眠ってしまう……
そんな「使い切れない」結末を、私自身も何度も経験してきました。
そして、ふつうのレシピ本なら、和・洋・中ときたら、
次は「アジア・エスニック」と広くくくって、ナンプラーなどを混ぜてお茶を濁すのが定石でしょう。
でも、それじゃダメなんです。
私がほしいのは、あくまで「あのドラマの、あの味」だから!
だから、あえて「韓国」に絞りました。
「韓国料理だけでなく、和食も洋食も中華も、
本当に使い勝手のいい『これさえあればいい』という万能だれだけで
構成された本があったら、どれほど素晴らしいだろう?」
これまでにない、正真正銘の「万能だれ」だけの本。
この難しい課題を、圧倒的なおいしさで形にできるのは、
料理界に数多のプロがいても、川上文代先生しかいない。
そう確信して、私は先生にこの願望を託しました。
冷蔵庫の余り物が、一瞬で「名シーン」に変わる
川上先生は、私の熱意(と、無茶な注文)を受け止めてくださいました。
試行錯誤の末に誕生した和洋中の万能だれ各2種類に、
韓国だれ2種類の全8種の万能だれです。
完成したたれを使ってみて、私自身が一番驚いています。
冷蔵庫にある適当な肉と、余ってる野菜を煮込んで、
【赤だれ】韓国万能コチュジャンだれを加えるだけで――
ガツンとした「ユッケジャン」や「スンドゥブチゲ」に。
おなじみの「ビビンパ」も、ごはんにこの赤だれを回しかけて混ぜるだけ。一瞬であなたをソウルの街角へ連れていきます。


作りました。
【白だれ】韓国万能塩香味だれでパッと和えれば――
ドラマの中のオンマ(お母さん)の「ナムル」が完成します。
スープに溶かせばカルグクスが作れる、まさに“韓国版の白だし”です。

わざわざ「今日はビビンパを作ろう」と意気込まなくても、
このたれを回しかけるだけで、名前のつかない「余り物炒め」が、
ドラマの主人公が食べているような最高においしい一皿に昇華される。
まさに「名もなき料理」が今日の主役に変わる快感です。


料理が「レシピ」じゃなく「再生ボタン」になる
この本を作っていて気づいたことがあります。
料理がしんどいのは、「何を作るか」をゼロから考えるから。
でも、
・ガツンと元気が出そうな『梨泰院クラス』気分なら → 赤だれでチゲを
・心が温まる『海街チャチャチャ』気分なら → 白だれでワカメスープを
そんなふうに、ドラマを選ぶだけでいい。
つまりこれは、単なるレシピ本ではありません。
キッチンにいながら名シーンに浸れる、“おいしさの再生ボタン”なのです。
一度手に取れば、あなたの自炊はもう、
義務ではなく最高に楽しいエンターテインメントに変わるはずです。
キッチンが、最高のロケ地になる
この本は、失敗しないための本でも、正しい料理を学ぶ本でもありません。 「気分よく、おいしいものを作る」ための本です。
味つけに悩む時間を減らして、そのぶんドラマを観る。
そしてまた美味しそうなシーンを観て、食べたくなる。
このループ、最高じゃないですか? 最高ですよね!
「うまそう」「食べたい」「作りたい」
その純粋な私の「願望」を、料理研究家・川上文代先生の「技」を借りて、最高の形にしてみたのがこの一冊です。
今夜、ドラマを再生する前に。 まずはキッチンで、“あの味”を仕込んでみませんか。
あなたの台所、ちょっとしたロケ地になります。
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