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朝食のハムとソーセージを楽しみにしていたのに、「リン」の存在を知ってしまった話

健康診断の結果を見ていて、
ふと正常値をちょっとだけはみ出している2つの数値に目が留まりました。
「クレアチニン」と「eGFR」です。
それまで、ほとんど意識したことのない項目でした。
肝機能や血糖値なら気になります。
でも、クレアチニン? eGFR?
正直、「なんなのかよく知らない」という数値でした。

ところが調べてみると、どちらも腎臓の状態を知るための大事な指標だとわかります。
しかも腎臓は、かなり悪くなるまで自覚症状が出にくい臓器だというのです。
「えっ、そんなに静かに進むの?」
ここで私の心配性が顔を出しました。

静かに進むって、いちばん怖いやつでは?
もしかして、見えないところで何かはじまっちゃってる?
今まで何十回も健康診断を受けてきたのに、私は何を見ていたんだろう?

ちょうどその頃、私は腎臓に関する本づくりに取り掛かろうとしていました。
誤解のないように言っておきますが、私は健康オタクではありません。
誰がなんと言おうと、健康オタクではありません。
「ぜんぶ集めました。」シリーズで、食事や睡眠や血管や肝臓など、健康の本をたくさん作っています。
でも、それは健康への意識が高いからではなく、単に心配性だからです。

何かを知ると、気になる。
気になりはじめると、心配の塊がむくむくと膨張していく、、、
「放っておくとどうなっちゃうんだ…!?」
「腎不全て、大変な病気じゃなかった…!?」
「ゆくゆくは人工透析が必要に…!?」
今回も、腎臓について調べはじめると、どんどん心配になってきました。

そして、もうひとつ、知らなかったことに出合います。
それが「リン」です。

糖質や塩分なら知っています。
でも、、、リン?
調べると、リンは加工食品に多く含まれていることがある。
そして、腎臓の機能が低下している人は、
とりすぎに気をつけたほうがいいというのです。

その瞬間、頭に浮かんだのが、週末の朝ごはんでした。
休日の朝は、だいたいハムかソーセージ。
フライパンで軽く焼いて、パンとサラダと食べます。
長年の、ちょっとした楽しみです。

もちろん、ハムやソーセージを食べているから腎臓が悪くなる、
という単純な話ではありません。
でも、「自分はそんなに悪いことはしていない」と思っていた食生活の中にも、健康的でないものがある。

その事実には、かなりショックを受けました。
編集の仕事をしていると、こういうことがよくあります。
血圧の本を作れば塩分が気になり、
睡眠の本を作れば寝る前のスマホが気になり、
そして今回、腎臓の本を作ればハムとソーセージが気になる。

これまで健康系のシリーズは、本当にいろいろ作ってきました。
食事、運動、睡眠、血圧、血糖値……「いいこと、ぜんぶ集めました」と、ずいぶん集めてきたものです。

もし、その知識がすべて私の体に生かされているなら、私は今ごろ、血糖値も問題なし、体のどこも痛くなく、毎朝5時にすっきり目覚めて軽くジョギングをし、野菜を山盛り食べ、階段を軽やかに駆け上がる、ものすごく健康的な中高年になっているはずです。

しかし、現実は違います。
毎晩少ないとはいえない量の酒も飲みます。
寝る前にスマホでドラマを見るのはやめられません。
編集者の体は、どうやら本の数だけ健康になるわけではないようです。

だから私は健康オタクではありません。
ただの心配性です。

とはいえ、その心配性のおかげで「知らなかった」を知ることができます。
知ると、少しだけ行動が変わります。
最近は、週末の朝ごはんでハムやソーセージを食べる回数を少し減らして、その代わりに自分でサラダチキンを作るようになりました。

大改革ではありません。
たぶん健康というのは、そのくらいでいいのだと思います。
完璧を目指すのではなく、昨日まで知らなかったことをひとつ知って、選び方が少し変わる。
私にとって、クレアチニンとeGFRは、腎臓をはじめて自分ごととして考えるきっかけになりました。
そして、リンの存在を知ったことで、いつもの週末の朝ごはんが、少し違って見えるようになったのです。

『いいこと、ぜんぶシリーズ』は、健康オタクが作っている本ではありません。
「これ、大丈夫かな」「私も気をつけたほうがいいかな」と、毎回ちょっと不安になりながら、一冊ごとに少しだけ生活を見直している、そんな心配性が作っている本です。
『腎臓にいいこと、ぜんぶ集めました。』も、こうして生まれたのでした。


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