ばれちゃった!!秘密のミッション、私の「アホな一言」で大公開
Bonjour!!フランス在住のRisaです。
やってしまいました……。
ずっと秘密にしていたのに、私のアホな質問のせいで、全てが水の泡です。
我が家の長男には日本に大切な、まだ会ったことのない「ペンパル(文通相手)」のお友達がいます。
実は、今回の日本一時帰国で、そのお友達と初対面し、一緒に音楽セッションをするというシークレットミッションを密かに企んでいたんです。
それなのに……。
▼文通の始まりのお話は、こちらから👇
ついうっかり、口が滑った水曜日
フランスの小学校は水曜日がお休み。そのため、この日は習い事Dayにしている子が多く、我が家の長男と次男も午後はオーケストラの練習に行っています。
そのお迎えに行った時のことでした。オケの練習を見ながら私の脳裏には、日本で長男とペンパル君が一緒にアンサンブルを楽しんでいる光景が浮かんでしまったんでしょうね。
そして、無意識に口から出た言葉がこちら。
「(ペンパル君の名前)君へのお土産、何がいいかな?」
……あ。
言った瞬間に時が止まりました。
その後はもう、想像通りです。長男からの質問の嵐!
「えっ、会えるの!?」「いつ!?」「どこで!?」
私と夫は、日ごろから子供たちには誠実でありたいと考えています。ごまかしたり、嘘はつきたくないなって、そして、もう全部言っちゃいました(笑)。
フランスから日本へ。お土産選び
サプライズは消え去りました。
でも、結果的には良かったのかもしれません。なぜなら、そこから「長男と一緒に、友達へのプレゼントを真剣に考える」という素敵な時間が始まったからです。
改めて考えると、日本って本当に素敵な国ですよね。
立場が逆なら、フランスのお友達に喜んでもらえそうな日本のプレゼントを考える。素晴らしいクオリティの文房具、アニメグッズ、お箸……日本文化も伝えられて、子供が喜びそうなものがいくらでも思い浮かびます。
でも、フランスから日本のお友達へ、「消え物(お菓子)」以外で、喜んでもらそうなプレゼントを選ぶのは意外と難しい。
「本はどう?(でもフランス語は読めないし)」
「じゃあアステリックス(フランスの国民的キャラ)のBD(バンド・デシネ)なら、日本語版があるんじゃない?」
長男とそんなやり取りをしましたが、調べてみるとアステリックス日本語版は古本でしか手に入らず、断念。
フランスが誇る「第9の芸術」BD(バンド・デシネ)
ここで少しだけ、フランスの文化について。
フランスには「バンド・デシネ(Bande Dessinée)」、通称「BD(ベデ)」と呼ばれているバンド・デシネという文化があります。
日本語で言えば「漫画」にあたりますが、フランスやベルギーなどのフランス語圏において、BDは単なる子供向けの娯楽ではなく、絵画や映画、文学などと並ぶ「自立した芸術」として高く評価されています。
バンド・デシネ(BD)の特徴
日本の漫画(MANGA)とは異なる、独自の文化を持っています。
フルカラーが主流: 多くの作品が大判のハードカバーで、全編フルカラーで描かれます。一コマ一コマが「一枚の絵画」として成立するほど描き込まれています。
アルバム形式: 週刊誌などの連載ではなく、最初から1冊の本(アルバム)として出版されるのが一般的です。
作家性(デッサン力): 作家は「オトゥール(著作者)」として尊重されます。写実的な描写から前衛的なスタイルまで、個人の画風が非常に重視されます。
大人のための文学: 子供向けだけでなく、哲学、政治、歴史、エロティシズム、SFなど、大人を対象とした深いテーマの作品が非常に多いです。
長男もBDが大好きです。
このフランスが誇るBDの文化を、言葉の壁を越えて日本のお友達に届けられないかな?
そこでたどり着いたのが、「BD muette(BD・ミュエット)」でした。
文字のない物語。映画を観るような体験を贈る
「BD muette(BD・ミュエット)」とは、直訳すると「沈黙のバンドデシネ」。つまり、セリフが一切ないBDのジャンルのことです。この最高のお土産探しの冒険がなければ、こんなジャンルの存在すら知らなかったでしょう。
さっそく、プレゼントによさそうな本を探しに図書館に行きました。図書館で見つけたその一冊に、私と長男は衝撃を受けました。
『ある愛の海 (Un océan d'amour)』
作者: Wilfrid Lupano
この物語の舞台は、なんと私たちが今住んでいる「ブルターニュの海」です。
ある日、夫がいつものように漁に出かけますが、巨大なトロール船に巻き込まれ、行方不明になってしまいます。夫の帰りを待つ妻は、夫が生きていることを信じ、たった一人で小さなボートに乗って、広大な海へと彼を探す旅に出ます。
夫の漂流記と、妻の決死の捜索。二人の物語が並行して描かれ、やがて予想もつかない壮大な冒険へと発展していきます。
ページをめくると、もちろん文字が一切ありません。
でも、絵の力が凄まじいんです。
「この人は今、どんな気持ちかな?」「次に何が起きるんだろう?」と想像を膨らませながら読み進めるうちに、気づけば一本の映画を観終わったような、深い満足感に包まれます。夫婦の絆だけでなく、環境問題や消費社会への皮肉もチラリと見えるフランスらしい深さがあります。美しい色彩と構図は、眺めているだけでセンスが磨かれそう。
長男と一緒に図書館で読み終えた時、二人で「これだ!」と確信しました。
サプライズ失敗の「おつり」
サプライズはバレちゃったけれど、そのおかげでこんなに素敵な本に長男と出会うことができました。これなら、おつりがくるくらいの出会いです。
文字はいらない。絵だけで、心は通じ合う。
フランスのBD文化に触れながら、日本のペンパル君がどんな表情でこのページをめくってくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。
誰かに贈りたくなる、そして自分でもずっと持っておきたくなる。
そんな「言葉を超えたプレゼント」を見つけた、フランスの午後のお話でした。
▼日本でもフランスの芸術を子供の本棚に紛れ込ませてもいいかもしれません。フランスのBDに触れてみたい方はこちらから👇
※後から調べて分かったことですが、2015年にはフランスの権威ある漫画賞「Fnac BD大賞」を受賞しており、世界中で高く評価されている一冊です。言葉はなくても、読み終わった後には、波の音と大きな感動が心に残る、年齢を超えて楽しんでいただける本です。
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