象は、鏡に映った自分を自分だと認識できる?
鏡に映った姿を見て、それが「自分自身」だと理解する。人間にとっては当たり前のこの感覚、実は多くの動物にとっては簡単なことではないとされています。そんな中、象はこの高度な自己認識能力を持つ、数少ない動物の一種だといわれています。
「ミラーテスト」という自己認識の実験
動物が鏡の中の自分を理解しているかどうかを調べる方法として、「ミラーテスト(マークテスト)」と呼ばれる実験があります。
動物本人には気づかれないよう、体の一部に印をつけたうえで鏡を見せ、その印を気にするような仕草(触ろうとする、確認しようとするなど)を見せるかどうかを観察するという方法です。もし印を気にする様子が見られれば、鏡に映っているのが自分自身だと理解している証拠と判断されます。
ちなみに人間の赤ちゃんも、生まれてすぐにはこのテストに合格できず、自己認識ができるようになるのは1歳半から2歳頃だとされています。
ブロンクス動物園での実験
2006年、アメリカの動物園で、野生生物保護に取り組む団体と共同で、3頭のメスのアジアゾウを対象にした実験が行われました。象の目の前に、縦横2.5メートルほどの巨大な鏡を設置し、その反応を観察したのです。
その結果、3頭のうち1頭の象が、額につけられた目印を、鼻を使って触ろうとする仕草を見せたとされています。残りの2頭には、そうした反応は見られなかったといいます。この1頭の反応は、象が鏡の中の姿を自分自身として認識していることを示す、重要な証拠だと考えられました。
なお、これより以前に行われた別の実験では、象の自己認識は確認されていませんでした。その理由は、当時使われた鏡が小さすぎたためではないかと考えられているそうです。
自己認識できる動物は、ごくわずか
このミラーテストに合格した実績がある動物は、チンパンジーやボノボ、オランウータンといった大型類人猿、イルカ、そしてアジアゾウや一部の鳥類など、非常に限られているとされています。これらの動物には、複雑な社会生活を送るという共通点があるといわれています。
一方で、私たちに馴染み深いイヌやネコ、ウマなどは、鏡に対して何らかの反応は見せるものの、自己を認識している明確な証拠は得られていないとされています。
鏡の中に「自分」を見出す、という知性
体の大きさや力強さだけでなく、こうした高度な自己認識能力を持っているという点も、象が「賢い動物」と呼ばれる理由の一つなのかもしれません。
諸説ござんす。
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