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史料でよむ世界史 10.3.2 立憲君主政の成立 世界史の教科書を最初から最後まで


フランス革命における重要な成果の一つは、「自由」と「平等」の思想を掲げた『人権宣言』を発表したことにあります。


『人間および市民の権利の宣言(人権宣言)』

(1789年8月26日)

●第1条 人は、自由、かつ、権利において平等なものとして生まれ、存在する。社会的差別は、共同の利益にもとづくのでなければ、設けられない。
●第3条 あらゆる主権の淵源は、本来的に国民にある。いかなる団体も、いかなる個人も、国民から明示的に発しない権威を行使することはできない。
●第13条 公的強制力の維持および行政の支出のために、共同の租税が不可欠である。共同の租税は、すべての市民の間で、その能力に応じて、平等に分担されなければならない。


しかし、『人権宣言』は、その内容をどの程度実現することができたといえるのでしょうか?


たとえば、「あらゆる主権の淵源は、本来的に国民にある。」という文言がありますが、ここでいう「国民」には、ほんとうにフランスという国の内側にいる住民のすべてが含まれていたのでしょうか?



「『人権宣言』のうたう「国民」の中には、女性が入っていないじゃないか。」


そう看破したオランプ・ドゥ・グージュという女性がいます。


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オランプ・ドゥ・グージュ
Image by Alexander Kucharsky from Wikimedia Commons (Public Domain)

彼女は、『人権宣言(人間および市民の権利の宣言)』が『権宣言(男性および市民の権利の宣言)』にすぎないと批判し、これに皮肉を込めた『女権宣言(女性および女性市民の権利の宣言)』を発表したことで知られます。
人間はフランス語でhomme(発音)、市民はcitoyen(発音)といいますが、これをグージュは、femme(発音)と、女性市民citoyenne(発音)に変え、つぎのように読み替えていきました。


『女性および女性市民の権利の宣言』

(1791年9月)

○第1条 女性は、自由なものとして生まれ、かつ、権利において男性と平等なものとして存在する。社会的差別は、共同の利益にもとづくのでなければ、設けられない。

○第3条 あらゆる主権の淵源は、本来的に国民にあり、国民とは女性と男性との結合にほかならない。いかなる団体も、いかなる個人も、国民から明示的に発しない権威を行使することはできない。

○第13条 公的強制力の維持および行政の支出のために、女声と男性の租税の負担は平等である。女性は、すべての賦役と役務に貢献する。したがって、女性は、(男性と)同等に、地位・雇用・負担・位階・産業に参加しなければならない。(出典:辻村みよ子監訳『オランプ・ドゥ・グージュ』信山社)


『女性および女性市民の権利の宣言』に対する男性の意見

グージュの宣言に対し、男性政治家は反発。

1789年7月21日、シェイエス(『第三身分とは何か』の著者)の発言
「すべての市民が〔公権力の形成に能動的役割をはたす〕能動的市民であるわけではない。少なくとも現状では、女性や、子ども、外国人、さらに公共施設の維持に貢献していない者は、公的問題に対して能動的な影響を与えるべきではない。

公的組織のために貢献〔納税〕する者だけが社会的大企業の真の株主とでもいうべき者である。彼らのみが真の能動的な市民、社会の真の成員である。」
(出典:辻村みよ子「フランス革命期における女性の権利―フランス女権史研究・序説」『成城法学』17巻、1984年、77頁)

シェイエスは「市民」を、政治的権利を行使できる「能動的市民」と、行使する能力・資格のない「受動的市民」に分けるべきだと考えていたのです。

その後も彼女の訴えは実現せず、1793年の憲法においても、参政権は無産の男性に拡大されるにとどまり、結局1793年に処刑されてしまいました。

 「あなた方は彼女の真似をする気ですか? とんでもない。あなた方が自然によって望まれた生き方をしてこそ、あなた方は価値ある存在となり、真に尊敬に値するということがお分かりでしょう。」(『公安委員会報』グージュ処刑に関する記事、1793年11月)
(出典:『新詳世界史B』帝国書院、2017年検定、194頁)


参考

『世界人権宣言』(1948年)

第2条
1  すべて人は、人種、皮膚の色、、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。


女子差別撤廃条約(1979年署名)

第2条
締約国は,あらゆる分野,特に,政治的,社会的,経済的及び文化的分野において,女子に対して男子との平等を基礎として人権及び基本的自由を行使し及び享有することを保障することを目的として,女子の完全な能力開発及び向上を確保するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとる。

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