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“0コンマ何秒”を縮めたもの。「聞こえたんですよ。地元の応援が」

6/12に行われた日本選手権5000m。
山本有真選手は、4連覇中の田中希実選手
(豊田自動織機)にラスト50mで追いつき、
大逆転で初優勝。
14分59秒89と、15分を切る
日本歴代6位の結果を残しました。

その“0コンマ何秒”を縮められた理由を、
本人は「地元の応援が聞こえたから」
だと話します。

『まさか』と思ったら、最後はゴールしていた

日本選手権前は、アメリカのボルダーで
山﨑りさ選手と合宿を行い、大会に臨んだ山本選手。
試合は、中盤から史上初の5連覇を目指す
田中希実選手が独走。
そのまま逃げ切るかと思われました。

ただ、山本選手の中にはラスト3周で
「行けるかもしれない」という
気持ちがあったと言います。
「最近5000mは感覚の悪いレースが続いていましたが、3000mでも余裕があって、4000m通過しても余裕があって。田中さんがラスト3周(1200m)で出た時『もしかしたらいけるかも』とは思いました」

積水化学の野口英盛監督から
「行けると思ったところで行け」と
言われていたのもあり、山本選手はスパート。
ラスト1周までに、急激に差を縮め、
最後の直線で田中選手の背中を捉えます。

「ラスト100mで田中さんの背中が見えた時、『勝ちたい』よりか、『田中さんにずっと日本の先頭を走らせちゃいけない、一人で抱えさせちゃいけない』という気持ちがあって、“抜かそう”と強い気持ちが生まれてきました」

ラスト50mでついに田中選手を追い抜いて、
日本選手権5000m初優勝を飾った山本選手は、
自分でも「信じらない」と、
素直な気持ちを口にします。

「ラスト50mで『まさか』と思ったら、最後はもうゴールを切っていた感じです。自分が日本選手権で優勝するのは、想像もしていませんでした」

高校三年生の涙以来のスタジアム

陸上女子5000mで、ひとつの目安と
なっているのが「15分の壁」。
今回、山本選手は14分59秒89でフィニッシュ。
「出したい気持ちはあった」という15分の壁を、
0.11秒、上回っての優勝でした。

壁を乗り越えられた理由を、彼女は
「応援の声のおかげ」だと話します。

「パロマ(名古屋市瑞穂公園陸上競技場)に戻ってこれたのは本当に嬉しい。私は、ここで最後に走ったのが高校三年生のインターハイ2週間前で、1500mに出たら疲労骨折してしまい、出場を決めていたインターハイの1500mと3000mどちらも出られなくて、悔しくて泣いてた記憶で終わってるんです。インターハイも出られなかった選手が、次に走った時には、日本選手権で優勝してると思わないですよね」

「その時一緒に走ってた地元の友人たちが、みんなスタンドに応援に来てくれて。聞こえたんですよ。すごい元気な声が。それがすごく嬉しくて。地元からの応援が最後の直線の力になり、“0コンマ何秒”を縮めて14分台になったのは、自分でもすごく実感しています」

「地元の愛知県で優勝できて、本当に嬉しかった」
と応援からもらった力に、言葉では表せない、
感謝の気持ちを示した山本選手。

たくさんの人に愛されて飾った歓喜の優勝は、
また9月に地元・愛知で行われるアジア大会へと
つながっていきます。


文・写真:守本和宏/ナノ・アソシエーション
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