50代で派遣。娘との寮生活から、心と身体を立て直した話
「落ちるところまで落ちた…」
そう思っていた日々がありました。
家を失い、自由を追いかけて失ったものの大きさに、押しつぶされそうになっていた頃。
僕は、娘とふたり、寮付きの派遣の仕事で暮らし始めました。
今回は、「50代からの再起」の始まりの話です。
派遣社員・寮生活のなかで見えてきた「普通の暮らし」のありがたさ、心と身体を少しずつ立て直していったプロセス、そして娘とのかけがえのない時間について綴ってみようと思います。
寮から工場へ。50代ひとりだけの現場で働く
僕が働いていたのは、20代の若者がほとんどの現場。
50代は僕ひとりだけでした。
朝は5時台に起き、娘の弁当をつくり、寮から工場へ向かう毎日。
欠勤や遅刻をすれば、家賃が発生する契約だったので、体調管理は死活問題です。
だからこそ、睡眠時間をしっかり取ったり、ストレッチや軽い筋トレを日課でするようになったりと、 健康に対する意識も変わっていきました。
そして工場では、できるだけ誰とも深く関わらないようにしていました。
自分や娘のことを話すこともなく、必要以上に喋ることもなく、「住む場所と生活費のため」と割り切って働いていたからです。
工場には、借金、破産、過去のトラブルを抱えている人も多く、 僕には、そこが社会の底のように思えてなりませんでした。
でも、それが当時の僕の現実。
過去の実績も、肩書きも、まったく通用しない場所でした。
それでも真面目に働いていれば、少しずつ信用され、 ときにはリーダー的なことを任されたり、重要な役割を担うこともありました。
「もっと効率よくできるのに」と思うこともありましたが、 あまり波風立たせないよう、やるべきことをただ丁寧にやることに専念しました。
娘からの感謝の一言が救いだった
どんなに職場で孤独や失望を感じても、 家に帰ると娘が
「おかえり、パパ。おつかれさま」
と言ってくれました。
「いつもありがとう。」
「明日もがんばってね。」
そんな何気ない一言が、毎日の支えになっていました。
ときには、仕事のストレスや愚痴を、娘にこぼしてしまったこともあります。
でも、話せる相手が娘しかいなかったからこそ、 少しずつ、自分の弱さも受け入れられるようになっていった気がします。
そして働き始めて半年が経とうとしてたころ、僕はノートに言葉を書くようになりました。
たった一行でも、思っていることを外に出すだけで、 自分の気持ちが少しずつ整っていきました。
固定された暮らしが、心と身体を立て直す土台になった
寮は二人暮らしには狭いワンルームでしたが、全国を旅していたキャンピングカーと比べたら、 エアコンのある部屋、水や電気が使い放題の生活は、 本当にありがたかったです。
当たり前だったことが、こんなにも安心につながるのかと、 改めて気づかされました。
生活リズムも整い、睡眠をしっかり取るようになり、健康や暮らしを立て直すきっかけになりました。
また、現場で身体を動かすことで、 運動不足だったキャンピングカー生活の頃よりも、心身の調子が良くなりました。
一方で、これまで会社員をほとんど経験してこなかった僕が、「会社員っていいな」と思うようにもなりました。
安定した給料や住まい、社会保険、厚生年金など、とことん守られています。
もう一度、自分の足で立ちたいと思った
実は、退社を申し出たとき、派遣先の会社から正社員登用の話をもらいました。
それは、同僚の中で唯一、約1年無遅刻無欠勤で働いた僕の姿勢が、少しは認められたということだったのかもしれません。
50代でどん底のシングルファーザーになった僕にとって、特にお金と住まいが保証されるという条件は、喉から手が出るほどありがたいものでした。
でも僕は、その道を選びませんでした。
思考を止めれば、確かに社員として安心に生きられるのかもしれない。
でも僕は、自分の人生の時間、すべてをコントロールできる人生を目指して、24歳で覚悟を決めて起業したのです。
やっぱり、そこは譲れない。
僕は、もう一度、自分の足で立ちたいと思ったのです。
娘のためにも、僕自身の人生を取り戻すためにも。
おわりに
この頃の僕は、まだ夢も理想も描けていませんでした。
ただ、「生活を守ること」「不登校の中学の娘との日々を大切にすること」
それだけに意識を向けて過ごしていました。
でも、振り返って思うのは、再起とは、夢や理想からじゃなく、まずは小さな暮らしの積み重ねから始まるんだということです。
ひとつひとつ、丁寧に。
心と身体を少しずつ取り戻していく日々が、どん底を抜け出す道でした。
そうやって、少しずつ、僕の人生はまた動きはじめていきました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
「また読みたい」と思っていただけたら、 フォローやスキで応援してもらえると、とても励みになります。
よければ、僕の最初の記事(自己紹介)も読んでもらえると嬉しいです。
せきたつや
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは、娘の夢のために大切に使わせていただきます🍀