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アンドロイド転生1578

2133年8月13日 午後 (滞在3日目)
ホーム 会議室にて

滅亡派の心を動かし、国民にしたいと願う存続派たち。そこで、タケルとアオイも一役買って出ることにした。しかし、滅亡派代表のケンジは頑ななだった。

タケルは、窓の外で遊ぶノアとスイを指した。
「…平家の血が繋がったんです。そしてあなたの息子も」 
ケンジの息子はリョウだ。彼はイギリスで結婚し、4人の子供に恵まれた。

アオイは声を張り上げた。
「そうです!そして、今度はシオンの子供が生まれます。存続派が若者を街に送ったからです!」
「そんな事は分かってる!」

アオイはケンジをジッと見つめた。
「本当に分かってますか?他にも国民になった村の若者たちは、次々と子供に恵まれています。平家の血は確実に広がっているんですよ」

するとケンジは腰を下ろし、腕を組んで憮然とした表情になった。
「国民になりたい奴はなればいい」
「あなたもなりましょう…」
「俺はならん。1人でも村に残るぞ」

その言葉に、存続派代表の1人であるタカオがゆっくりと口を開いた。
「ケンジさん、それはないです。俺たちは家族だ。何があっても見捨てない」

タカオの言葉は、会議室に静かに響いた。それは、滅亡派と存続派という対立を超えて、村人たちが互いを思いやる心を持っていることを示していた。

ケンジは黙り込み、やがて立ち上がると杖をついて会議室から出て行った。その後を妻が追い、何人かが後に続き、議論は終息したかのように見えた。

その時、村長であるケンジの兄が重い口を開いた。
「すまんな。あいつは頭が固い。だが、あいつの傷は深いんだ。後悔なんだろう。みんな、聞いてくれ。あの日の夜のことを…。私は6歳、ケンジは5歳だった」

・・・

(回想) 2049年 84年前の夏 丑三つ時
ホームにて

部屋の引き戸が、木が裂けるような激しい音を立てた。リョウヘイ(亮平)はその音に飛び起きた。隣で寝ていた妻も跳ね起きる。熊が村に現れ、家に入り込んだのかと思ったのだ。

夫婦は耳を澄ませ、微動だにしなかった。だが、彼らを挟んだ布団の真ん中で横になる6歳と5歳の息子たちは物音にも動じず、ぐっすりと眠っていた。

リョウヘイが引き戸に目を向けると、僅かに開いた。暗闇だが月明かりが差し込み、男の手が伸びて、そのまま力なく下に落ちたのが見えた。どさりと何か重いものが倒れる音がする。

リョウヘイは布団から飛び出して引き戸を開けた。そこで目にした光景に、彼は驚愕する。従兄弟のAが、背中を真っ赤に染めて倒れていたのだ。リョウヘイはAの肩を揺すった。

「おい! しっかりしろ!」
「兄ちゃん…逃げろ…」
「く、熊かっ!!」
「ち、違う…」
「猪か⁈」

Aは声を振り絞った。
「や、やつらが…来た…」
「奴ら⁈」
「タウンの…早く…逃げろ…」

Aはリョウヘイの体を「早く行けと」言わんばかりにグイグイと押した。息も絶え絶えで、大きく咳き込むと大量に血を吐き、そのまま瞼を閉じた。意識を失ったのか、または命を落としたのか不明だ。

リョウヘイは呆然となる。すると遠くから女性の悲鳴が聞こえ、「助けて!」と叫んだが、その後は聞こえなくなった。そしてバタバタという沢山の足音。更に笑い声。まるで獲物を追うかのように狂気混じりだった。


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