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アンドロイド転生1070

2120年9月26日
東京某所 動物保護施設にて

カナタは、半年前からこの保護施設でボランティア活動をしていた。今は小さな生き物に、そっとミルクを与えていた。先程ここに運ばれて来た。親を亡くした2匹の子狸は、目がやっと開いたばかり。そこに、先輩活動員がやって来た。

「ポンタとハナコは順調か?」
「ポンタはガンガン飲むけどハナコはイマイチで…スポイトからすぐに口を離すし、吐き出しちゃうんです」
「貸してみろ」

先輩はハナコを掌で包むと顔を顰めた。

「体温がちょっと低いかも。温めてみよう」
「はい」

カナタはハナコに服を着せて温熱タオルを巻き、優しく抱くと指で頭や首周りをそっと撫でた。そしてまたミルクを与えてみる。ハナコは最初は嫌がったもののそのうち飲み始め、2人は安堵のため息をついた。

先輩は仲間に呼ばれると、「あとは宜しく」と言って走って行った。助けが必要な自然動物は数多くいる。鳥、狐、兎、猪。鹿や猿などもだ。傷ついたり病気をしたり親を亡くしたり。

100年前の世の中は、犬猫の保護活動が盛んだったが今はない。過剰な犬猫がいなくなったからだ。もちろん、殺処分もない。それだけ人の意識が変化した。だが自然動物には保護も救護も必要だ。

カナタはその情報を知ると、即座に行動を起こした。家に1番近い自然動物保護施設「あおぞら」に登録したのだ。明るい彼は、約50人の活動員とすぐに打ち解けて、早々と役に立つ一員となったのだ。

さらに彼は、あおぞら以外にも昨年からパートナードッグ制度にも参加していた。犬と共に病院や介護・養護施設に訪れ、人々と心の交流を図る大事な役割を担っている。

カナタの住む家には大型犬のボルゾイが飼われており、彼と犬は親密な関係を築いていた。だから彼はある日、養父のサイトウ氏に頼んでみた。

「シェリーをパートナードッグにしたいんだ」
「アイツはそんなに優秀かなぁ?」
「シェリーは頭がいいし優しいよ!」

承諾を得て、犬と共にカナタも訓練所に通った。ふたりは見事試験に合格した。シェリーの賢さとカナタの人間性が認められたのだ。

意気揚々とパートナードッグ活動をスタートさせ、カナタはますます忙しい毎日を送っていた。ボランティアだけではなく、部活動のダンスやプライベートも大切だ。

幸いな事に成績が優秀な彼は勉学の心配はなかった。試験では常に首位だった。教師から、自分は極めて高い学力を持つと言われていた。勉強に時間を割かなくても良いのは幸運だった。

養父母は週末の朝に彼に問う。今日はどんな予定だと。ちなみに今日は午前中はシェリーと病院に訪問。午後からはあおぞらへ。夕方は仲間達とダンスの練習。その後は恋人のアイリと夕食を軽く一緒に食べる約束をしていた。

「行って来ます!」

カナタは、養父母に声をかけ、溌剌とシェリーとともに家を出て行った。2人はカナタを見送りながら笑う。

「アイツはいい奴だ。大成するかもしれん」
「そうね。そんな魅力があるわね」

・・・

カナタは夕方まであおぞらで精力的に活動した。

「お疲れさまです!」 
「お疲れさま」

仲間たちと挨拶を交わし合う。職員アンドロイドが人間たちを見送った。夜間は彼らが担うのだ。全てをアンドロイドに任せても良いのだが、人々は動物達と交流したいのだ。

カナタは、仲間たちと手を振り合う。誰の顔にも満足の表情が浮かんでいた。そして、シェリーの頭を撫でた。犬は主人を見上げる。その瞳は信頼の眼差しに満ちていた。

「よし!シェリー!これからダンスだぞ!」

ふたりは夕暮れの街を走り出した。


※カナタとシェリーのボランティアのエピソードです


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