アンドロイド転生1135
2126年6月30日 午後2時過ぎ
目黒総合病院
ケイはサキを助けるために国民になった血縁達に連絡をした。全員は驚きつつ協力を申し出て続々と病院に集まって来た。そしてフランスにいるシオンも直ぐにHLA検査をすると言う。
次にカナタだ。彼はアメリカにいる。時差を計算すると深夜1時。申し訳ない気持ちになりながらケイは電話をした。事の次第を告げると眠そうな表情から瞬時に顔色が変わった。
するとカナタは自身ありげに胸を逸らした。
『俺は1年前にドナー登録してある。だからデータがあるんだ。今直ぐに病院に送るよ』
その周到さに全員が驚いた。
期待虚しくカナタとは型が合わなかった。それでもアカネは感激していた。
「何でドナー登録してたの?」
『困ってる人がいるかもしんないじゃん』
だがカナタは申し訳なさそうな顔をした。
『でも…姉ちゃんを助けられなくてごめんな』
「いいのよ。本当に有難う。有難うね」
『そんな事ない。応援してるからな』
今度はイギリスにいるリョウへ電話した。ロンドンは朝の6時過ぎだ。彼はケイの言葉に驚愕し、たまたま病院に居るので可能な限り早くHLA型を調べて貰うと言った。
・・・
数時間後
日本にいる全員の検査結果の報告がなされた。18歳〜60歳迄の19人がいたが、どれも型が合致しなかった。ケイ達はガックリと肩を落とした。となるとリョウとシオンに賭けるしかない。
間もなくリョウのデータを日本側が受け取り照合したがまたもや適合しなかった。リョウは悔しそうな顔をして唇を噛み締めた。彼にとってサキは初恋の相手なのだ。
リョウは隣の女性をチラリと見た。
『せめてそっちに行きたかった…でも…ミアが臨月なんだ。今日明日中にも産まれるかもしれない』
そう。彼らに次の子供が誕生するのだ。
ケイは微笑んだ。
「そうか。赤ちゃんか。サキが喜ぶ」
『絶対助かる。オレは信じてる』
ケイは感謝と出産のエールを送り通話を切った。
・・・
午後7時過ぎ
シオンからコールが来た。血液検査の結果が出たのだ。すぐにデータが日本に送られると間もなく技師がやって来て2人の型が適合したと報告した。ケイも両親も親戚達も歓喜した。
シオンに連絡すると彼は頷いた。
『分かった。明日の午前中に日本に向かう』
こんな事もあろうかとシオンは予め飛行機のチケットを取っておいたのだ。
そこにシオンの隣に女性が割り込んできた。
『私はシオン様のマネージャーアンドロイドでエルと申します。この度は大変な事になりまして、心中お察し致します』
エルは不穏な表情だった。
『ですが今回のコレクションはシオン様にとって更なる飛躍のチャンスなのです。恐れ入りますがお尋ねします。他に適合者はいないのですか?』
シオンはエルを制した。
『やめろ』
ケイは頭を下げる。
「はい。シオンしか適合しませんでした」
ヒロシも頭を下げた。
「本当に申し訳ない。パリコレの関係者には俺から頭を下げる。土下座だってする」
『土下座なんてフランスでは意味がありません』
『エル。もうやめろ』
シオンはまた制するとヒロシに向き合った。
『伯父さん。サキ姉ちゃんは家族だ。僕が助ける。パリコレなんてどうでもいい』
ヒロシはその言葉に感激したものの不安だった。
「だが…今後に響かないか?大丈夫か?」
シオンは自慢気に笑った。
『響くようなレベルの低いモデルじゃないんだ』
