ドラマ『今夜、秘密のキッチンで』最終回は、すべてがまぁるく収まって、まるで満月のようでした!
ドラマ『今夜、秘密のキッチンで』最終回は、明るい未来を予感させるエンディングにじんわり感動でした。
木南晴夏演じる主人公・あゆみと、高杉真宙演じるイタリアンシェフ・Keiとの出会いはまさにファンタジーでした。
"生霊(いきりょう)"と書くと一気にオカルトめいた雰囲気になってしまいますが(笑)、ベッドで意識不明のまま眠り続けていたKeiの魂が満月の夜に"霊"となってあゆみの前に現れ、二人並んで秘密のキッチンで料理をする関係性になりました。
中村俊介演じるモラハラ&マザコン夫・渉からあゆみへの罵詈雑言に、ドラマがスタートした頃はうんざりしました。筒井真理子演じる母・京子から常にプレッシャーをかけられてストレスが溜まっていたことは分かりますが、そのはけ口として妻・あゆみを利用していた渉の人間としての"ちっぽけさ"が際立っていました。
でもKeiの優しい言葉や励まし、なにより身体中に沁みわたる美味しい"イタリアン薬膳"によってあゆみの心は癒され、自分の人生をもう一度強く生きたいと思うように変化していきました。
Keiが意識を取り戻したら、あゆみとキッチンで過ごした記憶は消え去ってしまうかもしれない...。それでもKeiが生き返ることを望んだあゆみの願い通り、Keiは意識を取り戻しました。
Keiには瀧本美織演じる婚約者・藤子もいて、あゆみとKeiはこのまま...?!と思っていたら、運命のいたずらの薬膳教室での再会もあり、レシピノートを見てKeiがあゆみとの時間をすべて思い出し...。
二人はお互いの気持ちを確かめ合ったものの、藤子や家族の存在に気持ちだけで突っ走ることはできずにいました。
ファンタジーから一気に"不倫もの"になってしまったなんてネット記事も見かけましたが、正直このドラマを"不倫もの"として感じたことはまったくなくて、私にとってはあゆみとKeiの″純愛″という印象しかありません。
"霊"のKeiと出会った頃はどんなに好きでも触れ合うことはできず、生き返って記憶がよみがえったKeiとあゆみが抱きしめ合うシーンは、だからこそ尊いと感じました。
ドラマの最終章では渉の会社・坪倉グループでの食品の産地偽装疑惑が持ち上がり、Keiの転落事故にも坪倉グループの誰かが関わっている可能性が濃厚になります。
Keiは坪倉グループの産地偽装についてテレビで告発をし、バイクで何者かに襲われますが、藤子がKeiをかばってケガをしてしまいます。
一方世間を黙らせるために坪倉グループは記者会見を開き、渉は産地偽装疑惑はKeiの捏造で嘘の告発だと発言します。
一日でも早く坪倉家を出た方がいいとKeiから心配されたあゆみでしたが、今はまだ坪倉家の妻であり、すべての真相が明らかになるまではあの家にいなければならないと...。
「渉さんがKeiのこと殺そうとしたんだったら、私、Keiの傍にはいられない。全部落ち着くまで、会わない方がいい」
「分かった...。明日警察に行って、転落した時のことも、バイク事故のことも全部話す。この事件が解決しない限り、俺たちは一緒になれないから」
「じゃあ、行くね...」
Keiはこみ上げる気持ちを飲み込んで、あゆみの言葉を受け入れます。二人がキッチンで会う日はいつも満月がキレイに輝いていて、この日も満月がキレイでした。
帰宅したあゆみは、会見で産地偽装を認めずにKei一人を悪者にした渉を非難します。渉になにも言えなかった頃のあゆみは、もうどこにもいませんでした。本当に強くなりましたね、あゆみ。
「ただいま...」
「会見、認めてくれなかったね。謝ってそっからやり直す道だってあったのに...。しかも若林さんを悪者にするなんて...」
「俺は経営者として最善の選択をしたまでだ。きれいごとで会社が守れると思うな!」
「会社のためなら、人も殺すの?」
「なに?」
「本人から聞きました。あの日若林さんは、誰かに背中を押されて突き落とされたって。産地偽装の告発を恐れて、あなたが指示したの?」
「殺人なんて、そんなリスク負うはずないだろ!あの転落事故は、俺も会社も無関係だ!」
「無関係だ」と言い切る渉の言葉を、あゆみは信じることができませんでした。
一方Keiは藤子に、転落事故についての自分の本当の記憶を打ち明けます。藤子にも心配をかけたくなくて、自分の過失だったと言ったと...。
でもあゆみが渡してくれたレシピノートを見て、自分が坪倉グループに殺されかけたことを確信し、警察に行ってすべて話してくることを伝えます。
あゆみが一人になったキッチンには、 安井順平演じる林太郎が現れます。林太郎さん、その後もなかなか成仏できませんが(笑)、渉の策略で会えなくなったあゆみとKeiをつなぐ貴重な存在でしたよね。林太郎さんはこのドラマにおける、最重要&最強キャラでした。
林太郎は、この先どうするのかとあゆみに尋ねます。渉とはこれ以上家族でいることはできないけれど、今すぐ縁を切って自分だけ逃げ出すことはできない...。渉にはちゃんと罪を償ってほしいから、すべてを終わらせてから家を出るというあゆみでした。
あゆみは渉にそこまで献身的に尽くせるのは、森優作演じる渉の秘書・小林だと思い当たり、小林を呼び出します。
「うちのパントリーから若林さんのレシピノートが見つかりました。小林さんが山から持ち去ったんじゃないですか?」
「なんのことでしょうか...」
「産地偽装を隠蔽するために、小林さんが突き落としたんですか?誰かが命じたんですよね?坪倉のことを思うなら、ホントのこと話してください。お願いします」
「私が勝手にやったことです。社長はなにもご存知ありません」
「小林さんは、自分の意思で事件を起こすような、そんな人じゃないと思います。会社の指示が、あったんですよね?今すぐ警察へ行ってください」
「それはできません。この先、どんな捜査が及んだとしても、真実を口にするつもりはありません。レシピノートは、山で拾ったと言い張ります」
「なんで...?」
「社長や、先代が築き上げたものを守りたいだけです」
「小林さん、小林さん!」
Keiは渉のもとへ行き、警察に産地偽装と転落の件についてすべて話したことを伝えます。
二人は以前、理想のイタリア料理について話をしたことがありました。渉が目指すのは"毎日食べても飽きない母親の手料理のようなマンマの味"だとKeiに言い、一緒に新しいお店を作ろうと二人で盛り上がった時もありました。
残念ながらその後Keiは、坪倉グループの産地偽装に気づいてしまったというわけです。Keiはあゆみのことを思い、渉に自分の思いをぶつけます。
「今のあなたは自分の言葉を自ら汚している。あゆみさんに対しても、そうなんじゃないですか?あゆみさんが言っていました。坪倉社長は、自分が一番苦しい時に救ってくれた人だって。プロポーズの言葉を、ずっと信じようとしてた。あゆみさんのためにも、罪を認めてください」
あゆみは自宅に戻った渉に小林と会ったこと、小林がKeiを突き落としたと認めたことを伝えました。渉は、自分は産地偽装に気づいたKeiを見張れと指示しただけだったと告白しました。それは渉が初めて、産地偽装について認めた瞬間でした。
会社の業績が悪化して、初めはその場しのぎのつもりだったのに止めることができなかったと苦しそうに吐き出した渉。
坪倉の看板を守ることが、社員や家族を守る唯一の道だと信じていたと渉は言いました。でもあゆみは、小林の人生をすでに狂わせてしまい、Keiや藤子にケガもさせていると...。
「自分の罪を償ってください。私がどん底にいた時、救ってくれたのは渉さんだった。ホントはあなたにも、優しいところがあるって私は知ってる。あなたには、正しい道を選んでほしい」
Keiにもあゆみと同じようなことを言われて、渉の中でなにか思うところがあったんでしょうか...。
翌朝、渉は京子を呼び出し、京子の目の前であゆみにこれから警察に行って産地偽装を認めてくることを伝えます。京子と二人きりにしてほしという渉は、京子に自分の素直な気持ちを吐露します。
「あなた正気?自分がなに言ってるか分かってるの?」
「俺はこれから、警察に行きます。母さんも転落事故の件、自首してください。若林慧を突き落とすよう小林に命じたのは、母さんですよね?あんな異常な忠誠心を植え付けられるのは、あなたしかいない。分かっています。全部俺のためだったってことは...。俺が会社をついでから、もっと業績を上げていれば、産地偽装なんて愚かなマネをしなければ、母さんをこんな犯罪に手を染めさせることはなかった。あの日、小林がとっさにレシピノートを奪ったのは、俺がその中にある"四季のポルペッテ"にこだわっていたから...。覚えていますか?俺が昔から一番好きな料理は、母さんの作ってくれたミートボールです。彼のレシピノートを見て、あの頃を思い出して、新しい店を一緒に作りたいと思ったのは本当の気持ちです。俺が産地偽装を指示したことも、母さんが犯した過ちも、全部認めてまたあの頃みたいな親子に戻ろう...」
「あのシェフが、すべてを台無しにすると思ったのよ...。渉が必死で守ってきた坪倉の看板も、積み上げてきた信頼もすべて...。転落事故も、バイクの事故も、小林に指示したのは私。渉が小林に、若林慧を見張れって言ってるのを聞いて、隙をみて突き落とせって...。私が念じたの。渉...ごめんなさい」
巨大な坪倉グループに、親子して振り回された挙げ句の果てでした。食品を扱う会社にとって、産地偽装は大きな罪です。殺人未遂も、殺人教唆もまた、大きな大きな罪です。
「すまなかった。笑顔にすると約束したのに...」
警察に向かう前の渉に、Keiから教わった金針菜のスープを振る舞うあゆみ。もう、坪倉から自由になってね...というあゆみの言葉に、涙を流す渉。二人の心が、ようやく最後につながったような気がしました。
渉は組織的な産地偽装を認め、Keiの転落事故について渉の秘書・小林が殺人未遂の疑いで逮捕。京子も、自分が指示したと関与を認めていると...。これで一連の出来事は、一件落着しました。
陽菜は念願だった本当の母親のもとへ行き、息苦しかった坪倉家での生活からやっと解放されました。陽菜の母への気持ちを知りながらも、義母としてあゆみはきちんと寄り添ってあげていました。だからこそ、これからも二人はいい関係でいられると感じました。
藤子はKeiとあゆみの出会いについては信じられないけれど、受け止めるとKeiに言います。二人の運命は、そうじゃなければ説明がつかないと...。
藤子は、自分たちは婚約解消したからもう来なくてもいいし、腕のケガもすぐに治して仕事に復帰するから大丈夫だと強がります。
そして、「今まで、ありがとう。今度こそ、本当にお別れしよう」とKeiへ手を差し出します。潔く身を引いてくれた藤子に、思わずお礼を言いたくなりました。
せっかくさまざまな障害もなくなり晴れて自由の身になったのに、Keiの料理人としての未来を考えたあゆみは、Keiから離れようと思うことを林太郎に告げます。
それだけではなく、「今のままの自分じゃダメだと思って。私も自分の力で立って歩いていけるようになりたい」と。本来の強さを取り戻した、あゆみらしい言葉でした。
林太郎がパトロールへ出かけたタイミングで、Keiが連絡がつかないからとあゆみのもとを訪ねてきます。
「夏のポルペッテ」のレシピを二人で完成させた時のように、「牛肉のストゥファート」に竜眼肉を入れて、レシピを完成させようとする二人。久しぶりに二人並んでキッチンに立つ姿に、ジーン。
「ん?」
「いや、あんなに苦手だったのに、料理がこんなに楽しくなるなんて...Keiお陰だなぁって思って」
「ミールキットの方は、どう?進みそう?」
「まだ、これから。落ち着いたら、ちゃんと動き出すつもり...。Keiの方は?」
「本格的に自分の店を始めようと思ってる」
「えっ?」
「ばあちゃん家をリノベしてさぁ」
「すごいね。ついに夢が叶うんだ」
「あゆみさんも、俺と一緒に叶えてよ」
「えっ?」
「前に言ったでしょ。二人で店を作っていこうって」
Keiの言葉に戸惑い、表情が曇るあゆみでした。完成した「牛肉のストゥファート」は美味しくて、それを一緒に食べる二人は幸せそうに見えました。
「またこうして食べてもらえるなんて...しかも俺、幽霊じゃない。ちゃんと生きてる」
「うん...」
「全部終わったのに、どうして連絡くれなかったの?」
「まだ、会うべきじゃないかなって思って...」
「あゆみさん、もしかして俺から離れようとしてる?」
「そう...じゃ...ないんだけど...」
「またあの時みたいに、嘘をつこうとしてる?」
「えっ?」
「俺を生き返らせるために、このキッチンでの記憶がなくなることを隠してたでしょう?」
「いや、あの時は確かにそうだったけど、でも、今度はちゃんと話そうって思ってた」
「俺のために離れようとするなら、望んでない」
「最初は、私もKeiに迷惑がかかるから離れようって思ってた。でも、それだけじゃないって分かった。私気づいたら、Keiにもらってばっかりだった。金針菜のスープも、薬膳の料理も、頑張ろうって気持ちも...強くありたいっていう思いとか、全部Keiからもらったもので、このストゥッファートのレシピだって、Keiが考えてくれたもので、私気づいたらもらってばっかで、なに一つ返せてない」
「そんなことない。俺だってあゆみさんからいっぱいもらってるよ」
「このままの自分じゃダメなの。変わらなきゃ」
「俺は、今のままのあゆみさんが好きなんだ」
「ありがとう、Kei。でもね、今の私は自分の力で立ててない。だから、あなたと並んで歩くことができない。いつか私も、Keiに贈り物ができる人間になりたい。だから、ごめん...」
「分かった。じゃあ、新しい店ができたら、予約を入れておく」
「予約?」
「あゆみさんがいつか、俺にプレゼントを届けてくれるその日まで...席空けておくから」
こうして、二人は離れることになりました。あゆみの気持ちは、よく理解できました。弱かった自分を強くしてくれたのはKeiであり、確かにこれまであゆみはKeiからたくさんのものをもらってきました。
今度は自分がKeiにあげられる人になりたい...。Keiの後ろをついていくのではなく、隣に並んで歩けるようになりたい...。
そして、月日は流れて二年後。あゆみは、ミールキットの会社を立ち上げていました。加藤シェフにも力を借りながら...。あゆみの表情は生き生きとしていて自信に満ち溢れ、より美しく見えました。
加藤は、Keiの鎌倉のレストランが載っている本をさりげなく置いていきました。あゆみはその記事を読み、お店の名前が「LA LUNA PIENA(満月)」だと知ります。二人が秘密のキッチンで会う日は、いつも満月でした。
お店ののれんには、金針菜が描かれていました。初めて二人が秘密のキッチンで出会い、Keiが作ってくれた金針菜のスープ。Keiはあゆみのことを、ずっと大切に想ってきてくれたことが伝わってきました。
そして満月の夜、機は熟したのでしょう。あゆみは、Keiのお店へ向かいます。「すみません、今日はもう閉店で...」と、声をかけたお客さんがあゆみだとすぐに分かったKei。
あゆみは「月がキレイですね」とKeiに言葉を返し、満面の笑顔で抱きしめ合う二人...。ここからまた、二人の第二章が始まるんですね!このハッピーエンドは、最高に嬉しかったです。
Keiの鎌倉のレストランで、二人仲良くキッチンで料理をしている姿が目に浮かびます。あゆみのミールキットも、そのうちKeiと一緒にレシピを考えていくのかな...。二人の明るい未来があれこれ浮かんできます。
今回あゆみが木南晴夏で、Keiが高杉真宙で、本当に良かった...。二人の演技の相性が、素敵なほどかみ合っていたように感じています。
最終回、あまりにもすべてが美しく収まってしまいましたが(笑)、こういう気持ちいいラストが私はやっぱり好きですね。
ドラマ『今夜、秘密のキッチンで』は、大人のファンタジック・ラヴストーリーの世界観を堪能させていただきました!大好きなドラマでした。
