ドラマ『コーチ』は、"令和のコーチング"のスタイルが学べる"刑事モノ"という異色の警察エンターテインメントです!
先日スタートした、ドラマ『コーチ』。原作の堂場瞬一氏の"二時間サスペンス"は面白いシリーズもたくさんあったので、期待して観てみました。
なんといっても主演は唐沢寿明!唐沢くん主演ドラマは、おそらくパーフェクトに観てきていると思います。最近では『プライベートバンカー』も非常に面白かったので、きっと今作も…!
唐沢くん演じる向井光太郎の、まずはビジュアルにビックリでした。55歳設定ですが、白髪頭に白いヒゲ、いかにも年配の方がかけるようなメガネ…。実際の唐沢くんが実年齢よりも若々しいので、年齢の逆転現象が起きているかのようでした(笑)。
第1話の"コーチング"対象は、倉科カナ演じる池袋西署の係長・益山瞳でした。瞳は若くして女性管理職になり、自分を見下してくる"年上の部下"・石田や、いかにも"イマドキ"のマイペースな後輩・永谷たちに振り回されて日々ストレスを抱えていました。
「なんでうちのボスは融通効かないかな…」わざと聞こえるように嫌味を言う、"年上の部下"・石田は特に厄介です。
そんな中"人事二課"から"新入り"が来るという異例の辞令が!そこに突然現れた“冴えないおじさん”こそが向井でした。一見するといかにも仕事のできなさそうな"新人刑事"という佇まいですが、実は向井は"警視庁人事二課"から派遣された"特命職員"でした。
「向井さんは、刑事の経験あるんですか?」
「うーん、まぁ、あると言えばありますかね…」
「人事二課にはどれくらい?」
「十年…いやもっといますか…」
「じゃあ、久しぶりの現場復帰ですか?」
「いや、そうなんですよ。だから、緊張しちゃって」
「えーっ、どうして刑事課に?」
「まぁいろいろとありまして…これ美味しいですね。どこのですか?」
「いや…」
こんな調子で、何を聞いても向井にうまくはぐらかされてしまいます。
瞳と向井が初めて会った晩、一軒家で殺人事件が発生します。被害者男性の次男の証言により、兄である長男・栗本智治が捜査線上に浮上します。次男が実家に訪れたとき、智治が血を流して倒れている父の傍で血のついた凶器を持っている姿を目撃されていました。
瞳と向井は智治の家に向かいますが、瞳の判断ミスで智治を取り逃がしてしまいます。向井は瞬時に瞳のミスに気づき、とっさに逃げた智治の車の写真を撮影したりと、刑事としての"有能さ"が隠しても隠しきれません…。
管理職の立場で許されない失敗をしたと、深く落ち込む瞳。捜査会議では自分のミスについて謝罪までしましたが、お咎めなしでした。
瞳は部下と向井と一緒に、智治の別れた妻の元に向かいます。二人の間には里絵という娘がいて、ワンダラーズという地下アイドルの"推し活"にハマっているようで、ここ数日家には戻ってきていないらしく…。
「あぁ、そういうのにハマる年頃ですよねぇ。それにしても色が白い!最近のアイドルってなんでこんなに色が白いんですかね?失礼…だってあまりにも暇なもんで…」
向井のすっとぼけた発言に怒りを感じた瞳は、上司に疑問をぶつけます。
「なんなんですか?あの人」「ここに何しに来たんですか?」
「まぁ落ち着け…」
「とにかく勤務態度がナメてるとしか…」
「そう言わずに、よろしく頼む」
「もしかして、私の監視ですか?」
「いや、そんなわけないだろ…」
「えっでも…」
そんなとき瞳の部下の永谷が智治の経営する喫茶店の中をジロジロのぞき見している男に職質し、不審者に見えたのかと逆ギレされて白黒つけようと近くの交番に連れて行かれてしまいます。
瞳がかけつけると、その男はこう切り出しました。
「…ったく情けねぇよな。一人じゃなんも解決できなくて、上司に泣きつくなんてよぉ。張り込みも全然なっちゃいねぇし。何習ってきたんだよ!」
「あの…失礼ですが、警察関係の方ですか?」
「元捜一特殊犯・高野哲雄…」
「もしかして、彼女が刑事だと知ってて、わざと…?」
「先輩からの愛ある指導だ。今度からは職質は慎重にな」
凹む永谷を先に帰した直後、そこへ向井が神出鬼没に登場します。聞き込みをしていたら、偶然瞳を見つけたという向井。
「あのぉ、いつもこんな感じなんですか?」
「えっ、こんな感じって?」
「部下が失敗したら現場に出てフォローしたり…」
「こんなトラブル頻繁にあるわけじゃありません」
「あの彼女は、永谷さんは何歳ですか?」
「二十六です」
「はー、大変ですよね。扱いづらい世代で、プライバシーも尊重しなきゃならないし、頭ごなしに怒鳴るわけにもいかない」
「別に、扱いづらくありませんけど」
「じゃあなぜ、何も言わず帰したんです?係長は部下のこと信用してないんですか?」
「そんなことありません」
その夜、板谷由夏演じる池袋西署署長・今井に声をかけられた瞳。捜査会議で智治を逃がした自分のミスを追及しなかった点について、「甘くないですか?私が女性だから、甘いんじゃないですか。男性ならもっと厳しく言われてたと思います」と瞳は今井につっかかります。
「うん。今って警視庁、いろいろ揺れてる時期よねぇ」
「女性登用を進めてる件ですか?」
「そう…。男女の差をなくして、出世も異動も平等にする…。でもそれって、今の段階じゃ単なるお題目で、現実にするには少しでも女性管理職を増やしていかないといけないの」
「分かってます。私がここに配属されたのも、署長がいるからですよね?」
「うん…警察っていう組織はまだまだ男性優位で、私たち女性同士が助け合っていかないと」
「警察の中でも、男女同権はまだまだ実現しそうにありませんね」
「だから私たちが頑張んなきゃいけないの!女性の後輩たちのためにも…あなたも踏ん張って、さらに上目指さないと!後輩たち、あと続けないわよ」
「はい」
女性が警察という組織で上りつめるには、相当な覚悟も必要だし、精神的にタフじゃなければ務まりませんね。
智治の目撃情報があり、瞳たちは現場にかけつけて身柄を確保します。自白をしない智治に、瞳は何かを隠しているのではないかと慎重になります。
その夜「退職届」を書いていた瞳の元に、またもや向井が現れます。向井は、瞳から辞表を取り上げました。
「まさか、この事件が片付いたら辞めるつもりですか?」
「懐にしのばせておくだけです。その辞表は、私にとっての覚悟なんです」
「覚悟ってなんですか?」
「覚悟は覚悟です。何かあったときに責任を取る…。管理職としての覚悟って、そういうものでしょ!」
「分かりませんねぇ。本当に取り返しのつかないミスだったら、辞表を書く前に懲戒処分になってますよねぇ?本当は、逃げ出したいんじゃありませんかぁ?同僚には腫れ物扱いされて、男だったら絶対に悩まないことまで背負わされて…」
「いい加減にしてください!なんなんですか、あなた!もしかして、私を監視しに来たんですか?」
「監視?」
「私が女性管理職としてちゃんとやっているかどうか、その監視です」
「すごい自己評価ですねぇ!あなたのために?わざわざ二課が?人員を割いたと?」
「とにかく返してください。話聞いてます?」
「おかしいと思いませんか?」
「はっ?」
「栗本の動き…」
「えっ?確かに…本気で逃げるつもりなら、もっと遠くに行けば良かったですよね?でも栗本は、公園で車を放置したあと、渋谷の繁華街で発見…栗本何してたんでしょ?」
向井の言うことはいつも鋭くておそらく図星で、瞳は何かを言われるたびにドキッとさせられている様子でした。さらには捜査のヒントをさりげなく与えてくれたり、向井はかなりの"切れ者"です。
今回も言いたいことを言い終わると、向井の姿はすでにそこにはありませんでした。…とそこへ永谷が、智治のスマホの発信履歴を持ってきます。瞳に頼まれたと、向井が言っていたそうで…。
履歴を確認すると、智治は娘の里絵に事件前に頻繁に電話をしていて、事件後にも何度も電話をしているけれど全部不通になっていました。
永谷が高野に説教されていたときに、里絵が智治のところへお金をせびりに来て揉めていたことを高野から聞いたことを思い出します。これが、事件の重要な手がかりになりました。
瞳と永谷は里絵の行方を一緒に捜査し始め、バイト先も無断欠勤していることが分かります。地下アイドル・ワンダラーズの翔というメンバーに沼り、推し活で百万円以上も借金を抱えていたことが判明。
向井の助言もあり、瞳は智治に本当は里絵が智治の父親を刺したのでは?と問いつめます。智治の行動パターンから、里絵と翔が一緒にいると考えたのでは?と。
実はワンダラーズの所属事務所に行ったところ、翔は重大な契約違反を犯して解雇されていました。事務所に黙ってファンたちから、多額のお金を巻き上げていたそうです。お金が払えない子には、暴力まで振るっていたらしく…。
翔のことを瞳から聞いた智治は、事件の日のことをようやく話し始めます。あの日工藤(翔)という男から電話があり、里絵が祖父にお金を借りに行った際、口論になりナイフで祖父を刺してしまったと…。このまま警察に連れて行こうかという翔に、待ってほしいと現場を確認に行った智治は、そこで弟に目撃されてしまったというわけです。
間違いなく殺人事件の犯人は工藤で、里絵は工藤に監禁されていると思われました。工藤は事務所をクビになったあと知人のスナックの管理を任されていたらしく、そこに里絵はいるはず…!
瞳たちはスナックへ向かい、向井が中の様子を見てこようかと提案すると、自分が行くという瞳。…と工藤が中から出てきたところに瞳が鉢合わせし、工藤を興奮させてしまいます。ドアから離れろという工藤に従い、瞳たちはそこからどう動くか考えます。
「特殊班に連絡した方がいいな」
「今はそんな余裕ありません」
「いや、専門家に任せないと…。何が起こるか分かりませんよ」
「私が突入します」
「どうやって?」
「今考えてます」
「ちょっと待った!!係長、あなたが前線に出てはいけません」
「どうしてですか?私はここで指揮を任されてるんです」
「先陣を切って行くのは、あなたの仕事じゃない。今あなたがやるべきことは、部下を信じて少しでも警察に有利な状況を作ることです!とりあえず深呼吸!」
「えっ?」
「……それでいい。リーダーはあなたです。我々はそれに従います」
向井のアドバイスのお陰で冷静さを取り戻した瞳は、部下たちにテキパキと指示を出していきます。
工藤の説得に向かった石田は、かなり興奮している様子なのでまずいと怖気づきます。瞳は「このまま説得を続けてください。ベテランの底力、見せてくださいよ。責任は私が取りますから」と。
石田は再度説得に向かい、自分の顔を見てみたくないかと工藤を挑発し、工藤がドアに近づいたところを店の裏側にいた向井が突入して工藤にタックルしました。こうして工藤は確保され、里絵は無事に保護されました。
「ちょっとお話できますか?」向井は瞳を屋上に誘います。瞳に対しての、向井の最後の"コーチング″です。
「係長は、何でも首を突っ込まないと気がすまない性格じゃないですか?」
「別にそんなことは…」
「永谷さんがトラブったときもすぐに駆けつけたし、今日も真っ先に突入しようとした…」
「リーダーは傷ついてはいけないって言いたいんですか?」
「捜査一課長が、自分で犯人に手錠をかけることはありませんよ」
「私は一課長じゃありませんよ」
「でも25年後にはそうなってるかもしれない」
「女性初の捜査一課長ですかぁ?」
「ハハハ…その女性…というのを一回外してみませんか?」
「えっ?」
「あなたは若くして警部補になった。しかも女性ということで、周りはいろんな期待もかけるし、心配もする。それでかえってギスギスしてしまうこともあるでしょう」
「向井さんは男性だから、分からないでしょ」
「確かに女性のことに関しては、分かりません。ただ、若い人のことならよく分かります。あなたは若くして階級が上がった人に共通する問題点を抱えているだけです」
「それは…?」
「責任感がつよすぎるゆえに、プレッシャーも抱えている。たくさんの若い管理職候補がそれでつまづいて、潰れていきました」
「私も潰れるって言いたいんですか?」
「今のままだとね。管理職は一切現場の仕事をしなくていい。すべて部下に任せて、責任を取るだけでいいんじゃないですか?」
「それはさすがに極端じゃ…」
「もちろん心がけの話です。部下を信じて任せる…危なっかしいと思っても手を出さない。それができるようになれば…眉間のシワも消えますよ」
「あっ!」
「ハハハ…」
「いや…」
「ハハハ…」
「はい」
「じゃあ、私はこれで。一足先に本部に戻ってます」
「えっ?異動じゃなかったんですか?」
「さぁ…」
「どういうことですか?」
「分からなくても、業務に支障はありませんよ。ハハハ…」
こうして無事に、今回の任務を終えた向井。木村多江演じる人事二課課長・富永と向井の会話。どうやら富永が向井に、"コーチ"の依頼をしているようですね…。
「彼女はどうです?」
「まぁ…もう大丈夫なんじゃないか?」
「はなまる…ですか?」
「やることはやったし、伝えることは伝えた。それを生かせるかどうかは、彼女次第だよ」
「なんか、声はずんでません?」
「気のせいだろ」
「もしかして、一課に戻りたくなったんじゃありません?」
「まさか…人事課の仕事でいっぱいいっぱいですよ。フフフ…よいしょ」
瞳は向井の言葉で考え方を改め、部下を信頼して仕事を任せるようになりました。部下もまた変化しました。向井の的確な″コーチング″により、瞳は刑事として一皮むけた感じがしました。
富永の机に並べられた数枚の人事記録。何かしらの悩みを抱えた署員たちを、向井の"コーチング"を通じて、刑事としてだけではなく、人間としても成長させていく異色の警察エンターテインメントが開幕しました。
〈彼らに的確なアドバイスを与え、魔法のように潜在能力を引き出していく向井。そして苦境を乗り越えた若手刑事たちはやがて結集し、大きな事件に立ち向かっていく。
さらに向井の衝撃的な過去が交錯し物語は予想外の展開に...。刑事としても優秀な向井はなぜ今、人事課にいるのか? 物語が進むにつれて謎が明らかになっていく 「コーチ」に、ぜひご期待ください!〉!
ホームページのこの言葉から、向井が"コーチング"した若手刑事たちとの関係性がそこで終わるわけではなく、みんなが集結して何かしらの大きな事件に立ち向かうためにタッグを組むという展開があるようなので、そこも楽しみです。
謎多き向井という人物の過去も徐々に明かされていくようですし、1話完結ながら脈々と全体が繋がっていくというストーリーにワクワクが隠しきれません。
"誰と出会うかで人生は変わる"という言葉がありましたが、私にもそういう人が、これまでの人生でいました。その人の言葉でそこからの生き方が変わったし、変われて良かったと思うし、このドラマはなかなか深いものを描いていると思われます。
ドラマ『コーチ』は、今クールの注目作だと感じます!オススメします!
