【エッセイ】お金も時間もあったら、何したい?
「ひつじちゃんさあ、
お金も時間もあったら、何したい?」
旦那からの突然の問いかけに、
思わず目をぱちくり。
朝食を片付けていた手が止まる。
旦那からのクエスチョンはかなり珍しいので、
もう一度聞き直したくらいだ。
「これがあってできない、とか、お金がかかるから、とかそういうのはナシね。」
と補足してもらったところで、
改めて考えてみる。
そういえば、あんまり考えたことなかった。
日頃から物事を現実的に考えるわたしにとって、
馴染みのない問いかけなのだ。
わたしの、『やってみたいこと』ってなんだろう?
時間もお金も制約がなかったとしたら、
本当にやりたいことが見つかるのだろうか?
考え始めた途端、
頭の中に霧がかかったかのように真っ白になる。
ちょっと待ってねえ、と言いつつ、
その隙に皿を戸棚に片付ける。
ちょっと考えれば何かしら出てくるかと思ったけれど、想像以上にパッと出てこないものなのね。
リビングに目をやると、
子どもとブロックで遊びつつ、
チラチラこちらを気にして答えを待っているもんだから、
思わず、旦那に同じ問いを投げかける。
「サーフィンやりたい」
悩む素振りもなく、
気持ち良いほど真っ直ぐなボールが返ってきた。
サーフィン。
体を使ったスポーツが大好きで、
新しいことに挑戦してみたい旦那らしい答えだった。
そういえば、
前に家族で海に行った時にサーフィンをやっている夫婦らしき人たちがいた。
よっぽど気になったのか、
その日のうちにサーフィンの初心者講習会を調べていて、
後日、
費用面などまとめた情報を話してくれた気がする。
ああ、やりたいんだなあ。
目を輝かせて説明する姿に、すぐ察した。
でも、
そういう聞き慣れない話を聞くたび、
色んな心配事が頭の中で浮かんできて、
急に不安になる。
もし、海で溺れたらどうするつもりなのだろう。
子どもがまだ小さいのに、
万が一の覚悟はできそうにない。
それに、今は別の習い事のような趣味がある。
余裕があるわけではない我が家に、
これ以上の趣味は難しい。
こんな状況で、
彼がもし、やりたいと言い出したら、
わたしは何を言えばいいのだろう。
そんなことを瞬時にかき集めてしまうから、
ただ、「へえ」と素っ気なく返事をしてしまった。
それ以降、
サーフィンの話はめっきり聞かなくなっていたのだ。
だから、もう一度聞けてよかった。
旦那なりに、今は状況的に難しいと理解しつつ、
でも、いつかやってみたいんだ、という心の声が聞けたのが嬉しかった。
それなのに、わたしときたら、
「ああ、前にもやりたいって言ってたよねえ」
と言うのが精一杯だった。
もっと他に何かあるだろうに。
でも、今日はこれで勘弁して欲しい。
いつか叶えられる日がきたら
真っ直ぐ応援できるように、
それまで気持ちの準備をしておくね。
🏄
結局、
朝の質問には答えられなかった。
長年の染みついた現実的に物事を捉える思考と、
すぐ不安を結びつけたがる癖が邪魔をして、
頭の中はモヤがかかったまま。
でも、
せっかく素敵なクエスチョンをもらったのだから、
焦らずゆっくり考えてみるとする。
今、目の前にある子育ても、いつかは落ち着く。
その時が訪れたらいつでも動けるように、
そこそこ貯金して健康第一に過ごしていかなくては。
だってわたしの人生だもんね。
霧が晴れたら、その先に、何が見えるかな。
今はただ、まだ見ぬ景色を待ち侘びている。
おわり
*最後まで読んでくださって、ありがとうございます🏄
