「甘えさせすぎかな」と迷う日に知っておきたい、子どもの心の土台
子どもが泣きながら抱きついてきたとき、
「もう大きいんだから、自分で頑張ってほしいな」
「すぐに抱っこしていたら、甘えん坊にならないかな」
そんなふうに思うことはありませんか。
私はあります。
自分で考えて、自分の足で進める子になってほしい。だからこそ、どこまで助けて、どこから見守ればいいのか迷います。
でも、子どもの発達について学ぶ中で知ったのは、少し意外なことでした。
子どもは、十分に安心して誰かを頼れるからこそ、少しずつ親から離れ、外の世界へ進んでいける。
「甘え」と「自立」は、反対ではなかったのです。
子どもが戻ってくるのは、弱いからではない
公園で遊んでいた子どもが、急にこちらへ戻ってくることがあります。
知らない子が近づいてきたとき。
遊具から落ちそうになったとき。
何かうまくいかなかったとき。
大人から見ると、「大丈夫だから、もう一度行っておいで」と背中を押したくなる場面です。
でも、子どもはその瞬間、安心を補給しに戻ってきているのかもしれません。
抱っこしてもらう。
顔を見てもらう。
「怖かったね」「びっくりしたね」と気持ちを受け止めてもらう。
そうして落ち着くと、数分後には自分からまた遊びに行くことがあります。
このように、子どもが不安を感じたときに信頼する大人へ近づき、安心を取り戻そうとする働きを「アタッチメント」と呼びます。
抱っこの回数よりも、気持ちを受け止めてもらえた経験
アタッチメントと聞くと、「たくさん抱っこをすればいいのかな」と思うかもしれません。
もちろん、抱っこや触れ合いも大切です。
でも、もっと大切なのは、子どもの気持ちが大きく揺れたときに、一人で抱え込まずに済むことだと思います。
転んで泣いている子に、
「それくらい大丈夫」
とすぐ立たせるのではなく、
「痛かったね」
と声をかける。
友達におもちゃを取られて怒っている子に、
「怒らないの」
と言う前に、
「まだ使いたかったんだね」
と気持ちを言葉にしてみる。
問題をすぐに解決できなくても、「分かってもらえた」と感じるだけで、子どもが少し落ち着くことがあります。
この経験を何度も重ねながら、子どもは少しずつ、
「つらい気持ちは、ずっとこのままではない」
「誰かと一緒なら乗り越えられる」
と学んでいくのだと思います。
子どもは「安心感の輪」を行ったり来たりしている
アタッチメントの仕組みを分かりやすく表したものに、「安心感の輪」という考え方があります。
子どもは、信頼できる大人を中心にして、外へ冒険することと、不安になって戻ることを繰り返します。
大人には、その中で二つの役割があります。
一つは、怖かったときや悲しかったときに戻れる場所になること。
もう一つは、子どもが「やってみたい」と動き出したときに、少し離れて見守ることです。
例えば、初めての場所で親のそばから離れない子がいたとします。
しばらくすると、少しずつおもちゃへ近づいていく。
でも、不安になるとまた戻ってくる。
そこで安心できれば、もう一度外へ向かっていく。
戻ってくることは、成長が止まっているという意味ではありません。
次の一歩を踏み出すために、心を整えている時間なのです。
「十分に甘えた子ほど自立する」は、本当かもしれない
「泣くたびに受け止めていたら、いつまでも親を頼る子になるのでは」
そう心配になることもあります。
でも、自立とは、誰にも頼らず一人で何でもできることなのでしょうか。
困ったときには助けを求められる。
安心できる場所を知っている。
そのうえで、自分の考えで挑戦できる。
私は、その方が本当の自立に近いように思います。
「何かあっても戻れる」
「自分の味方でいてくれる人がいる」
そんな見通しがあるからこそ、子どもは少し遠くまで行ってみようと思えるのではないでしょうか。
親は子どもの気持ちを映す鏡になる
親としてできることは、特別な教育をすることだけではありません。
子どもの気持ちを言葉にして返してあげることも、大切な関わりの一つです。
「痛かったね」
「怖かったね」
「悔しかったね」
「もっとやりたかったんだね」
子どもは、自分の中に起きていることを、最初から上手に説明できるわけではありません。
大人が言葉にして返すことで、
「この気持ちは悲しいというんだ」
「私は今、悔しかったんだ」
と、少しずつ自分の感情を理解していきます。
ただし、受け止めることと、何でも先回りして解決することは違います。
子どもが自分で試せそうなら待ってみる。
本当に困っていたら助ける。
その境目はいつも同じではありませんし、親も迷って当然です。
「今は挑戦したいのかな」
「それとも安心したくて戻ってきたのかな」
と一度考えてみるだけでも、関わり方が少し変わるかもしれません。
親にも、安心して戻れる場所が必要
子どもの安心について学ぶほど、私は親にも同じような場所が必要だと思うようになりました。
毎日穏やかに子どもの気持ちを受け止めることは、簡単ではありません。
疲れている日もあります。
「早くして」と何度も言ってしまう日もあります。
余裕がなくて、子どもの気持ちを受け止められなかったと落ち込むこともあります。
でも、一度うまくできなかったからといって、親子の関係がすべて崩れるわけではありません。
「さっきは強く言いすぎたね。ごめんね」
と、もう一度つながり直すことができます。
親だけでいつも完璧に頑張ろうとしなくていい。
誰かに話を聞いてもらったり、少し休んだり、周囲に頼ったりすることも、子どもの安心を支えるために必要なことだと思います。
「戻れる場所」は、いつか心の中に残っていく
子どもは成長するにつれて、少しずつ親から離れていきます。
手をつないで歩いていた子が、一人で走り出す。
何でも話していた子が、自分だけの世界を持ち始める。
親のところへ戻ってくる回数は、少しずつ減っていくかもしれません。
それでも、
「何かあれば戻れる」
「自分の味方でいてくれる人がいる」
という感覚は、心の中に残っていきます。
それが、失敗したときにもう一度立ち上がる力や、新しいことへ挑戦する勇気になるのではないでしょうか。
今日は少しだけ、お子さんの様子を眺めてみませんか。
今は外の世界へ冒険しているところでしょうか。
それとも、安心を補給するために戻ってきているところでしょうか。
特別なことをしなくても大丈夫です。
必要なときに受け止める。
動き出したときには、少し離れて見守る。
そんな日々の繰り返しが、子どもの一生を支える心の土台になっていくのだと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
現在、品川区・港区エリアで、2〜5歳向けのセンサリープレイとアートの幼児教室を準備しています。
子どもが安心できる環境の中で、自分で考え、試し、表現できる場所をつくりたい。そして、ママにとっても「一人で全部頑張らなくていい」と思える場所にしたいと考えています。
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